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ガンドさん

閲覧頂きありがとうございます。

9話投稿です。

ちょっと話の進行が遅いかな…?と思いながら書いています。

進行スピードに関するご意見がありましたらお送り頂けると助かります。


ドアの前には、鞘に納められた剣を持ったガンドさんが立っていた。

元々強面なのに、剣なんか持っているからチビりそうなくらい迫力がある。

内面はすごく優しい人なんだけど。


「おはようさん。どうだ?昨日はちゃんと眠れたか?」


「おかげ様でそれはもうぐっすりと!」

アリシアは元気そうに答える。


「俺はまぁ、ぼちぼちですかね…。」

俺は疲れた声で答える。


「リョータお前しっかり寝てないのか?狩りに行くんならちゃんと体調管理はしないとダメだぞ。生死に直結するんだからな。」


「明日からは気を付けます…。」

今後一つしかベッドがない部屋に泊まる際は「生死にかかわるから」でアリシアを説得しよう。

さっきから心なしか申し訳なさそうな顔でこっちをちらちら見てるしな。


「んで、だ。」


ガンドさんが持っていた剣を俺に差し出す。


「これが昨日話した剣だ。昨日の夜のうちにいくらか手入れをしといたからこのまま使って問題ないはずだ。」


「お忙しいのにすみません。手入れして頂いた分のお金は稼いでお支払いします。」


「そんなに大したことじゃないから気にするな。そうそうこれも渡しておかないとな。昨日のバイト代。ちょっとオマケしといた。」


そういって俺とアリシアに銀貨を3枚ずつ手渡す。


「宿と御飯まで用意して頂いたのにお金までもらってしまっていいんですか?」

御飯は美味しく宿もいい部屋だったのにお金までもらってしまっていいのだろうか。


「無一文が余計な心配してんじゃねぇよ。いいから取っとけ。」


「すみません。ありがとうございます。」


「話を戻すが、その剣は使えそうか?重さとか長さとか。試しに振ってみて確認してくれ。使いにくい物を持っていくと却って邪魔になっちまうからな。」


「わかりました。」

俺はガンドさんから受け取った剣を鞘から抜いた。

手に鉄の重さが伝わってくる。

鉄製なので軽いということはないが、両手で持つほどの重さではなさそうだ。


「持った感じは重過ぎるといったことはなさそうです。これは片手剣ですかね?」


「その通り、それは片手剣だ。魔法を使うって話だったからちょうどいいと思ってな。」


俺は右手で剣を上段に構え、縦に振りぬいた。


ヒュン、と小気味良い音が部屋に響いた。


「驚いたな。リョータお前剣のスキル持ちか?」


「一応は。まだ経験が無いので小ですが。」


「魔法も使えて剣のスキルまであるのか。そりゃあバイトの誘いを断って狩りに行こうとするハズだ。」


「すみません…。」


「あいや、別に責めてるわけじゃねぇんだ。それだけ使えるならバイトなんかより魔物を狩ってくれた方がうちの町も助かるからな。」


「というと?」


「魔物ってのは放っておくと増えていくからな。ある程度狩らないと町にまで入ってくることがあるのさ。この辺りはスライムしか出ないからそこまで大きい被害も出ないけどな。」


「入られたことがあるんですか?」

俺はスライムに凌辱される町を想像して尋ねた。


「最近はないが、昔にな。ちょうど町に魔物を狩れるやつが少ない時でなぁ。といっても一般人で何人かが軽いけがをした程度だから問題ない。」


まぁスライムだもんな。


「それはそうと、お前達今日はどの辺りまで行くつもりなんだ?」


そう言われると具体的に考えてなかったな。

確かアリシアは『少し行けば別の魔物が出てくるエリア』と言っていた。

もしかしたらその辺考えてくれてるのだろうか?


「そういえば考えてなかったわね。」


デスヨネー。


「それならここから北に少し行ったところに少し荒れた平原があるんだが、そこなんかどうだ?近くに森なんかもあるんだが、視界が悪いから駆け出しにはおススメ出来ん。平原なら見渡しもいいから戦いやすいぞ。」


「じゃあ、今日はその平原に行ってみるか。アリシア、それでいいか?」


「私は構わないわよ。」


「平原にはゴブリンが出る。小さい鬼みたいなやつだな。武器は木の棍棒が主なんだが、たまに剣を持っているやつがいてな。注意が必要だ。」


「剣を持った個体は異様に強い、とかですか?」


「いや、強さ自体は棍棒持ちと大して変わらん。問題は持っている剣の方でな。」


「強い剣なんですか?」


「逆だ。まったく手入れがされていない錆びて汚れ放題の鉄の剣。それで斬られると破傷風になったりして厄介なんだ。」


「うわぁ…。」


「リョータ、剣が持ってきたのが出てきたらお願いね…?」


「お前なぁ…。」


「まぁ逆に言えば気を付けるのは剣を持った個体だけってことだ。後はそんなに強くもないから問題なく戦えるはずだ。お前らなら大丈夫だろう。」


「わかりました。覚えておきます。」


「それから今日の宿はどうする?うちに泊まるなら安くするぞ。」


すぐに他の町へ移動するつもりは全くないので、ガンドさんの提案は嬉しかった。

横目でアリシアを見ると小さく頷いたので、アリシアもそのつもりなのだろう。


「ぜひお願いします。色々してもらってばかりで申し訳ないので、邪魔でなければ夜はまたお店の手伝いをさせてもらえますか?アリシア、いいよな?」


「もちろん。」


「気にすることはないんだが、手伝ってもらえるならこっちとしてもありがてぇ。狩りが終わって働ける体力がありそうだったら頼む。」


「わかりました。では狩りから戻り次第声を掛けさせてもらいますね。」


「おう、待ってるぞ。相手が弱いからって油断して死んだりするなよ!」


「「はい!」」


俺たちの返事を聞くと、ガンドさんは満足そうな顔をして部屋を出て行った。




「あのおじさんいい人過ぎない?顔は怖いけど。」


「俺もそう思う。初対面のやつに対してあそこまで面倒見てくれる人は中々居ないよなぁ。顔は怖いけど。」


「夜ちゃんとお店を手伝わないと罰が当たるわね。」


「そうだな。よし、行くか!」


俺たちは宿を後にした。

どこにいっても面倒見のいい人っていますよね。

かくいう私もそういう人に何度助けられてきたか…。

次回分は早ければ本日午後か、明日中には投稿予定です。


これからも引き続きよろしくお願いします。

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