初めての戦闘
6話の投稿です。
タイトル変更は自由に出来そうだったので、とりあえず(仮称)をつけて一旦保留にしました。
いよいよ初戦闘です。
青い物体に近づくことおよそ20m。
ようやく俺の目にも明確にスライムの形が認識できた。
こちらには既に気づいているようではあるが、特に動かずこちらの様子を窺っているようだ。
「んでアリシア、魔法っていうのはどうやって使うんだ?」
「まず、身体の中にある魔力を集中して一点に集めるの。一番オーソドックスで簡単と言われるのは両手に集める方法ね。んで、その魔力を自分が行使したいもののイメージに具現化するような感じよ。」
「魔力集中みたいなこといきなり出来る気がしないんだけど?イメージを具現化ってどうやんのかもくわしk「そんなものはやってみてダメだったら考えなさいよ!はい、とりあえずやってみる!」」
全部言い切る前にとりあえずやれ!と言われてしまった。
完全初心者なんだから少しは優しく教えてくれたっていいだろうに…。
とりあえず言われた通りに身体の中の魔力を集めるイメージをする。
すると意外なことに体内にある魔力のようなものを感じることが出来た。
身体中を水流が流れるような清らかなイメージといえばいいだろうか。
ただ、お世辞にもあまり魔力が多いとは言えないようだ。
まだレベル1だし当たり前なんだろうけど。
魔力を集めるイメージは出来ていそうなので、いよいよ具現化に挑戦する。
やはり最初の魔法といえば火の魔法だろう。
ゲームなんかでもお馴染みだからイメージもしやすそうだし。
俺は両手に集まった魔力を火の玉に変換するように念じ、両手をスライムへ向ける。
「おぉ!?いけそうだ!喰らえ!『ファイヤーボール』!!!」
叫んだ瞬間、両手にあった魔力がゆっくりと消費される感覚と共に俺の両手の平から小さな火が放たれた。
ジッ…
火は見事にスライムに命中したが、スライムの表面の粘液を微かに蒸発させるに終わってしまった。
「ぶっ!!!」
後ろを振り返るまでもなく、アリシアが噴き出したであろうことがわかる。
「ふぁ、ふぁいやーぼーる、あのちっちゃい火みたいなのがファイヤーボールって、、、リョータお笑いのセンスあるわね。」
「うるせぇよ!初めてなんだから仕方ないだろ!」
正直めっちゃ恥ずかしい。
おもわず技名まで叫んでしまった。
耳まで赤くしてアリシアに反論していると、スライムがゆっくりとこちらに近づきだした。
「リョータ、具現化のイメージを少し変えてみて。両手に集まった魔力を一気に射出するのよ。そうね…拳銃の発砲みたいな感じで!」
アリシアがアドバイスをくれるが、正直さっきの一発のダメージがアレだけだったので厳しい気がする。
もたもたしている間にスライムはあと15~20mのところにまで近づいて来ている。
這うスピードは地味に速い。
迷っている暇もなさそうなので、言われるままもう一度魔力を両手に集めるイメージを開始する。
再び身体中から両手に魔力が集まったのを感じ、俺は一気に打ち出すイメージで魔法を行使する。
「こんどこそ!『ファイヤーボール』!!!」
先ほどと違い、両手にあった魔力は一瞬で消費され俺の手から拳より少し小さいくらいの火球が射出される。
射出された火球はまっすぐスライムへ飛んだ。
どうやら俺の魔法の命中精度は悪くないようである。
問題は威力だが…。
火球がスライムに命中した途端、熱々に熱した中華鍋に水をかけた時のような音が辺りに響く。
と共にスライムは溶けて地面へと広がった。
そのまま動かなくなったのでどうやら倒せたらしい。
「やったじゃないリョータ!魔法に関してはなんとなくわかった?イメージとかそのあたり。」
「まだ何となくだけど。集めた魔力の使い方が難しいな。イメージによってあんなに効果がかわるもんなんだな。」
「そうよ。大事なのは行使する時のイメージなの。それ次第で同じ魔法でも全然効果が違ってくるわね。」
「そうみたいだな。銃を撃つイメージした途端、ちょろっとした火だったのが火球になったから驚いた。」
「ただ、あまり自分の身の丈に合わないイメージをしちゃダメよ。今のリョータが大砲とか核兵器みたいなのをイメージして魔法を使おうものなら、魔法はろくに発動せず魔力を根こそぎ持っていかれて完全に動けなくなってそのまま死ぬわね。」
「肝に銘じておく…。」
「レベルが上がれば魔力や知識も増えるから段々と強いイメージでも大丈夫になるわよ。」
「となるとやっぱり魔法の経験を積みがてらレベル上げだな。」
「そうね。ガンガン倒しましょ!」
そこから町に向かいながら出てくるスライム数十匹をアリシアと倒した。
スライム自体は遠距離から攻撃すれば何とかなるので、俺でも十分に優位に戦うことが出来たのは嬉しい誤算だった。
これがコボルトやゴブリンみたいなのが相手だったらこうもいかないんだろうな。
魔法に関しては、道中のアリシアのアドバイスもあって少しずつ魔法の使い方も覚え
『ファイヤーボール』
『ウォーターボール』
『ウィンド』
が使えるようになった。
威力はまだ大したものではないけれど。
とりあえず最低限のコントロールは出来るようになったんじゃないかと思う。
アリシアも俺にアドバイスしていたのだから当然だがいくつかの魔法が使えた。
まぁ女神様だもんな。
「天界からこの世界に来るときに制約がかかったからレベルは1からだし、使える魔法やスキルもかなり制限されちゃったけどね。」
「アリシアが天界にいた時の強さのままでいてくれてたらかなり楽できたんだろうなぁ…。」
やはりというか何というか、女神様の偉大なる力で楽々魔神討伐!とはいかないようだ。
「でも連れてきてもらったからには私も頑張るわよ。魔法以外だって教えられることはたくさんあると思うし。」
「頼りにしてますよ女神様。」
「女神の私にどーんと任せなさい!」
それから1時間程経って空が紅く染まりだした頃、ようやく異世界初となる町が見えてきたのだった。
やっぱり最初の戦闘といえばスライムですよね。
今後はどんな魔物を出そうか今からわくわくしています。
なろうのシステムをよく理解していないのですが、ブックマーク機能というものがあるのですね。
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