一人目の仲間
お読み頂きありがとうございます。
更新不定期ですみません。
5話の投稿になります。
-----以下変更点-----
ステータス表記をランク表記から数字表記に変更(解り辛いというか上げ辛いので。)
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常人の100倍。
仮に普通の人が魔物を百匹倒してスキルがレベルアップするのだとしたら、俺は100倍の一万匹。
気が遠くなるな。
しかも百匹倒してレベルがあがるというわけでもないのだろうからかなり絶望的な状況な気がする。
「ちなみに『スキル成長』が成長することとかって…」
「現在まで…『スキル成長』が成長したとの情報は…一件も……ありません…。」
「……なんとかなりませんかね…?その…『女神様の超常なるパワー』のようなものとかで。」
「残念ながら私にはそのような力は…」
「そうですか…。」
俺と女神様はそろって俯いた。
沈黙。
気不味過ぎる!!!
確かにデメリットスキルこそ授けられてしまったものの、どんな武器でも扱うことができ、
各種魔法も使えるということなら何とかなる…だろう。
「女神様のせいではありませんのであまりお気になさらないで下さい。」
「本当に申し訳ありません…。」
「ですからお気になさらないで下さいって。」
「はい…すみません……。」
以降、無限るーp…となりそうだったので話を変えた。
「とりあえずは俺はどうしたらいいんでしょうか?魔物を狩ればいいんですかね?」
「そうですね。当面の間は魔物を倒していって力をつけて頂くのがいいかと思います。各種スキルがあるとはいえ、油断はなされませんように。」
「わかりました。呼ばれた以上は出来るだけ頑張ってみます。」
「ありがとうございます。私も頑張りますね。」
「頑張るとは?」
「私も貴方に同行します。」
「え?」
「当たり前ではありませんか。貴方を異世界から呼んでおいて、『スキルは授けたので後は魔神討伐よろしくお願いします。』なんて言うような薄情者に見えましたか…?」
「いえいえいえいえ、そうではないんですけど。女神様がこの世界に普通にいるって中々不味いのでは?と、思いまして。」
「服を着替えれば普通の女性に見えると思いますので大丈夫ですよ。ただし、この世界に顕現するにあたって私の神々の力はほぼ失われてしまいますが…。私が力になるにはそれしかないのです。」
「それなら尚更じゃないですか!女神様を危険な目に合わせるかも知れませんし…っていうか申し訳ないですが合わせると思います…。」
「お願いします!どうか私も貴方の力になりたいのです!」
「と、言われましても…。」
俺は目をつぶって思案した。
正直、美しい女性と旅が出来るのであればそれはもちろん男として嬉しいに決まっている。
元いた世界では女性との交友はほぼ皆無だったし…。
だが、俺はこの世界についてよく知らない。
魔物を狩るって話にしても俺は今まで普通の一般人だったわけで、いくらスキルがあるといっても限度があるだろう。
女神様も神としての力が使えなくなると言っていた。
どの程度強いのかも未知数だが、序盤であっさり二人仲良く殺され…なんてことにもなりかねないと思う。
俺は目を開けて再び女神様の方を向いた。
「女神様、やはりご一緒には行けません。」
「どうして!こんなにお願いしてるのに!」
女神様が昂っていらっしゃる。
「ですから、やはり危険です。私は戦闘に関してはド素人ですし、魔物から女神様を守れる自信がまったくないんですよ…。」
「でしたら!自分の身は自分で守るから!」
言葉遣いが段々怪しくなってきてるんですがそれは。
「と言われましても…。」
「連れてって!連れてってよぉ!」
「子供か!!!」
思わずため口でツッコむ。
「もういいや、演技も疲れたから。」
「え?」
「いいから黙って私を連れてけぇー!!!!!」
「もしかしてそれが素ですか?」
「そうよ!文句あるの!?」
「さっきまでの口調とか神々しい雰囲気はどこへ…」
「あんなものサービスみたいなものよ。いい?天界っていうのは何も無くて暇なの。それこそ日向ぼっこや世間話なんかをして毎日を過ごしているのよ。」
「魔神がどうとかって話は?」
「あれは本当よ。でも私も何百年と退屈していたからちょうどいいわね。異世界から選ばれし者を呼んで、旅に同行することにしないと天界規定で私はこの世界に顕現できないの。」
「というとつまり、『天界が暇だから魔神討伐ってことで一緒に旅行をさせろ』と?」
「察しがいいわね。そういうことよ!」
「なんかすごくだまされた気分なんですが。」
「魔神に関しての事は本当よ。このまま放っておくとまた戦争になりかねないのはね。現に魔神軍近くの街は度々競合いになっているわ。」
そんな状況なのに旅とか言ってるのかこの女神は…。
天界というのはそんなに退屈なところなんだろうか。
「殺されても責任はとれませんよ」
「構わないわ。私もみすみす殺されるつもりはないし。」
「わかりました。このまま延々と『一緒に行かない』『行く!』とやりとりをしていても仕方がなさそうなので。」
折れた。
「じゃあ決まりね!それとリョータ。」
「なんですか?」
「敬語はやめて。さっきからずっとムズムズして気持ち悪いのよね。」
「敬語使われ慣れていないんですか?」
「そう。だから友人に接する感じでお願い。」
「んー…。わかった。じゃあアリシア、改めてよろしく。」
「よろしく!」
異世界で一人目の仲間が出来た瞬間である。
「それで、とりあえずどうする?」
「近い町に向かいながら魔物を倒しましょ。少しずつ戦闘にも慣れて行ってもらわないといけないしね。」
「わかった。」
「っとその前に。リョータ、ちょっと10秒くらいあっち向いててくれる?」
「ん?わかった。」
「もういいわよ。」
振り返ると、アリシアの服装が白いワンピースに変わっていた。
「すごいな。魔法か何か?」
「あんまり使うことはないけど女神の力ね。力が制限されてるからミスリルアーマー!とかには出来ないんだけど。」
「それでも便利そう。」
「じゃあ、改めて行きましょうか!」
草原のど真ん中のあまり舗装されていない道を歩き出した。
「なぁアリシア。」
「何?」
「この道の50mくらい先に見えるあの青いのは何だ?」
「あれはスライムね。弱いけど油断すると頭を覆われて窒息死したりもするから気を付けて」
「そんな死に方は嫌だなぁ…」
「まだリョータは武器もないからせっかくだし攻撃魔法を試してみたら?それならあんまり近寄らなくてもいいし。というよりスライム相手に殴り掛かっても衝撃はほとんど吸収されちゃうから魔法しか選択肢がないわね。」
「わかった。とりあえずやってみるか。」
俺とアリシアは敵に向かって早足で歩きだした。
タイトルは小説を書き始めるに当たってとりあえずでつけてしまっているので、近々正式なものに修正する予定です。(タイトル変更って出来るのかな…)