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禁忌魔術師の後継者  作者: 赤鳥 異常
トミヤ君によろしくね
11/12

曖昧だけどよろしくね。

とある少女の夢の話と一人の少年の物語。

今回も駄文です。

誤字脱字、文章の矛盾がありましたらご報告お願いします。

父、六花富利(ろっか とみり)と母、六花零弥(ろっか れいや)の間の長男として産まれた僕の人生は至って平凡だった。特筆するような特徴もなければ人に話せないような悲惨な出来事も無い。人と違う所があるとするなら、それは物心が芽生えるのが遅いくらいだ。僕に物心が着いたのは五歳頃だった。それ以前の記憶は一切無かった。


僕の家庭は少し特殊だった。両親は二人とも無職でいつも家には居なかった。いつもフラりと帰ってくると少しの金だけ置いて、また消えてしまう。そんな両親を少しも変だと思わなかった僕は異常なのだろうか。少しの金では大した食費を得られず一日二食食べれるかも怪しかった。しかし、僕はそんな生活に不満もなければ不幸だとも思わなかった。


小学校の頃に僕達は出会った。オッドアイが原因でクラスで浮いていた一松。ゲームに没頭して現実を見ようとしなかった二月。

犬猿の仲でクラスに嫌われていた三葉と四季。名五は、いつも寝ていた。貧乏が原因で嫌われていた僕。クラスの輪から外れた僕達はいつの間にか親友になっていた。


両親が殆ど家に居なかったため実質一人暮らしの生活は僕が十二歳の誕生日に終わった。学校が終わって家に帰ってみるとちゃぶ台の上に一つの篭が置かれていた。中には赤ん坊が寝息をたてており手には一枚の手紙が握られていた。


『その子供の名は六花零漓と言ってな、お前の妹だ。』


細く汚い字は一目で母の字だと分かった。そして、その頃から少しお金は増えたが、妹を育てるには少な過ぎたため僕の食費を少し減らした。また、育児の為に中学への進学を諦めようかと思ったが一松の家族が助けてくれたお陰で中学にも通えた。


しかし、高校への進学を考えていた時に事件が起きた。一松の両親が事故死し、姉の真樹が突然失踪したのだ。独り身となった一松に零漓を預けることが出来なくなった。三歳の妹を一人にするわけにもいけないので高校への進学を諦めようかと思ったが零漓は一人で留守番できると譲らず結局高校に進学した。


高校に進学した時に異変が起きた。両親が一切家に帰らなくなったのだ。しかし、お金はポストに投函されるようになったため何の問題も無かった。そういえばこの頃は地震がよく起こったが僕の家だけで他の家は全く揺れてない謎の現象が起きた。


この頃から零漓はよく架空の人物の絵を描くようになった。一度僕の絵を描いてくれたのだが笑顔で零漓に渡された絵には一人の白髪の少女と無数の白の薙刀が描かれていた。彼女は絶対に架空の人物しか描かないらしい。


そして、高校二年の冬に僕の生涯は終わった。僕の最後は別に劇的という訳では無く至ってあっさりとした終わり方だった。


放課後、珍しく一人で帰り道を歩いていると意外な人と再開した。


「真樹さん?」


目の前には行方不明になっていた一松の姉、一松 真樹が立っていた。しかも、外見が失踪したときと同じ身長で一切成長していなかった。


「久し振りだね富也君」


「久し振りだねじゃないですよ。みんな心配していたんですよ。特に一松なんて自殺しようとしたんでよ。今まで何をしてたんですか?」


「今は女帝やっていて国を運営してるんだ。それでね富也君にも一緒に来てもらいたいんだ」


「えっと、何を言っているんですか?そもそも女帝ってどういう意味ですか?それ以前に零漓が待っているんで後日にしてもらえませんか」


「五月蝿いな、富也君の事情はどうでもいいんだよ。早く行こうよ、ほら!」


その時、腹部に何が突き刺さる音がした。恐る恐る下を向いてみると巨大な骨刀が僕の胴体を貫いていた。


「え?」


僕の意識はここで途切れた。




















「何で君は死んだのですか?」


ここは何処かと辺りを見渡すと、いつもの白く横に長い駅のホームの様な空間で僕はベンチに座っていた。そして、隣にはあの時零漓が描いた絵そっくりのボサボサの白髪の女の子が座っており不思議そうに僕を眺めていた。


「えっと君はマナちゃんだっけ」


「そんな事はどうでもいいと思う。ところで、何で死んだのですか?」


「そんなの僕に聞かれても困るよ。推測だけど真樹さんが僕を殺したんじゃないかな。知りたいなら彼女に聞くといいと思うよ」


「嫌です。僕はあの人は大嫌いですから関わりたく無いのです。死んでも絶対にお断りです」


「それが駄目なら彼女に聞くといいよ。彼女ならきっと僕以上に僕について知っていると思うよ」


「彼女って誰ですか?」


「君のお母様だよ。あの人なら六花富也について誰よりも知っているから、何故僕が死んだかも教えてくれるよ」


「そうなんですか」


僕は彼女の事を紹介するとマナちゃんは直ぐに向こうの方へ走っていった。どうやら余程知りたいらしい。


そんなマナちゃんを眺めながら僕はポツリと呟いた。


「トミヤ君によろしくね」


これが僕の本当の最期でだった。


真夜中、一人の幼女はベットから飛び降りると直ぐ様ベランダに移動した。そして、あの夢と昔住んでいた『あの場所』を思い浮かべながら右手に巨大な白銀の鍵を出現させて抱えると、ポツリと呟いた。


「曖昧だけどよろしくね」


何の気なし言った一言は彼女は一切意識していない。しかし、彼女はそんな事には気づかずにいた。その時は様々な感情が彼女の中を堂々巡りし、あの異変を気にする余裕が無かった。まるで誰がに設定されているかのように。

新たな登場人物

六花富利(ろっか とみり)

六花零弥(ろっか れいや)

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