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御殿山の魔術師  作者: リノキ ユキガヒ
のんべんだらり
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やってもうた

都合よく安い駐車場が空いていたのでそこにバイクを停めて、私はそそくさと、大型の家電量販店に向かった。

この瞬間、いつも思う事がある。「あーあ、昔はバイクで駐禁を切られる事はなかったのになぁ。世知辛い世の中になりましたワ」

と、まぁとりあえずボヤいてみるが、そんなものは秋葉原の謙遜に掻き消されて行く。

先ほどの外国人の彼ではないが私も颯爽と入店すると、一目散にヘッドホン売り場へと向かった。

まぁ、正直目新しい発見はなかったので見流す程度で終わってしまった。

おもむろに私は広いフロアを見渡すと

「さて、どうするかな…」

と、呟きながら下りのエスカレーターへ乗った。

店を出ると陽はすっかり落ちており辺りは少し殺風景な光景が広がっていた。

昔に比べれば秋葉原も夜遅くまでやっている店は増えたが繁華街に比べるとやはり少し見劣りする。

まぁ、新宿や渋谷がある意味異常なのかもしれないが…。

私は、秋葉原にこれ以上用事が無い為、帰ろうと先ほどバイクを停めた駐車場に向かった。

駐車場に着くと料金を払いバイクを駐輪スペースから引っ張り出した。

メットホルダーにかけてあるヘルメットを手に取ると、メットの中にあるグローブを取り出して、とりあえずメーターとハンドルのトップブリッジにある隙間に押し込んだ。

メットを被ると、そこからグローブを取り手にはめた。

そして、バイクに跨るとエンジンを始動させた。

軽い振動が太腿に伝わってくる。クラッチを握りギアをニュートラルから一速に入れると「ガチャン」という音一緒に車体が少し震える。

メーターの所にあるニュートラルを示す緑色のランプが消えるのを確認してから、私はアクセルを軽く煽りクラッチを慎重にリリースしていく。

それに答えるかのようにバイクはゆるゆると秋葉原の裏路地を進んで行く。

私はこの時に先程の道案内した外国人の事を思い出し、メットの中で呟いた。

「日本橋を経由して帰るか」

別に日本橋にさしたる用事は無いが、ニュースとかで新しい商業施設が出来てここ最近騒がれているので、少し覗いて帰ろうか?といった軽い気持ちからだ。

目新しい建物を見るのは中々いい気分転換にもなったりもする。

それに秋葉原から日本橋は隣町位の距離しか離れて無いので、寄り道した所で大した時間もかから無い。

「昭和通りはこっちかな?」

と、ヤマカンでハンドルを切り、日本橋へ向かう幹線道路、昭和通りに出ようとする。

ところがこれが裏目に出てしまい変な見知らぬ道路に出てしまった。

東京の道路事情に詳しい方ならご存知かもしれないが秋葉原界隈の路地は入り組んでいる上に、一方通行などの通行規制が激しく、まるで迷路だ。

なので、ある程度知ってる道でも油断すると迷うことは珍しくない。

「あちゃー、やってしまったか?」

私はメットの中で思わず叫んでしまった。

仕方なく標識通りにバイクを進め何とか大通りに出ようともがいてみたが後の祭りであった。

仕方なくバイクを停めて辺りを伺った。

道に迷った時は下手に動くより現在地を確実に把握して順路を組んだ方が早く脱出できる場合が多い。

まぁ、さも自分の経験談の如くいってはいるがこれは配車の大槻さんからの受け売りだ。

とは言え最近はスマホのGPS機能で大体の位置は把握できるので便利な時代になったもんだ。

そう思いながら私は、ライディングジャケットの内ポケットにしまってあるスマホを取り出し、地図アプリを立ち上げた。

「?」

スマホが圏外でインターネットに接続出来無い。

「え?おかしいな。こんな東京のど真ん中で圏外なんて…」

私は一瞬スマホを握りしめたまま固まってしまった。

改めて辺りを用心深く見渡した。

何か違和感を感じる。自分のいる所は確かに秋葉原だ。住所でいうところの神田界隈で間違いはないだろう。

しかし、何だろう。いかに秋葉原にある商店の大多数が夜の8時に終わるとはいえこの暗さは一体?


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