表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
御殿山の魔術師  作者: リノキ ユキガヒ
のんべんだらり
3/33

うっかり

 なんて事を思いながら駐輪場からバイクを引っ張り出す。

 メインスイッチにキイを差し込むとスイッチをONの位置に持っていく。

 そしてセルスターターのボタンを押すと「キュルルル」とクランキングする音の後に「ボウン」とエンジンの始動音が聞こえてくる。

 そのままアイドリングが続けば

 エンジンの起動は成功だ。

 私は暫くバイクの側に佇みライディングジャケットを羽織りながら様子を伺った。

 アイドリングは途切れる事無く続いている。どうやら起動は成功したようだ。

 私はフルフェイスのヘルメットをかぶり、グローブを付けるとバイクに跨った。

 職場の倉庫から幹線道路である大宮パイパスまでものの五分とかからない。

 側道からでて大宮バイパスに接続する。

 夕方なので帰宅ラッシュなのだろうか心持ち混んでる気がする。

 特に急ぐ用も無いので流れに身を任せてマッタリとバイクを運転して行く。

 大型トラックの排気ガスの臭いが鼻に少しつくが、走行風が心地いい。

 今の次期、仕事は閑散期なのでコレといった疲労感がある訳ではない。

 今の私の気分だと、都内にある大型家電量販店に行ってしまいそうだ。

 そんな事を思っている内に自宅前の交差点を通り過ぎてしまった。

 私は「あちゃ~」とメットの中で呟くとバイクをそのまま国道17号・中山道まで走らせた。

 そしてそのまま都心へとバイクのノーズを向けた。

 幸い。帰宅ラッシュの為か都心へ向かう道は混んでおらず、20分位で千代田区は秋葉原まですんなり到着した。

 そして、駐車場を探しがてらチョット入った裏路地にバイクを停めておりた。

 たまたま、降りた向かいの自社ビルっぽい建物の表に自販機が設置されているのでそこで缶コーヒーを買い一息付いた。

 私は、缶コーヒーを一口煽ると「ふうっ」と軽く息を吐き、バイクのタンクの所に肘を付きその身を預けた。

 そして低いとはいえ林立するビルの谷間から空を仰いだ。

「だいぶ、日が長くなったなぁ~」

 そう呟くと缶コーヒーをブラブラさせながらボンヤリと茜色の空を見ていた。

 すると、観光客と思われる男性の外国人が地図を片手に私いる通りに入ってきた。

 辺りをキョロキョロ伺う素振りからどうも道に迷っている様子だ。

 何を思う訳も無く、彼の様子を伺っていると目が合ってしまった。

 彼は私に微笑みながら近寄ってきて辿々しい日本語で道を訪ねてきた。どうやら日本橋へ行きたいらしい。

 私は彼の持っている地図を覗きこむとこちらも辿々しい英語で、地図を指差しながら

「ごーつーニホンバシ、ショーワすとりーと、ごーすとれーと、ショーワすとりーと、でぃすびるでぃんぐ、びはいんど」

 と、いった感じだ。

 外国人の彼は辿々しい日本語で「アリガトゥ」と言うと颯爽と立ち去った。

 私も自分の目的の為にその場をバイクに乗って立ち去る。

 この辺に安い駐車場があったはずだから空いていればそこに停めよう。

 その道すがらに

「日本橋かぁ…。最近行ってないなぁ」

 と、メットの中で呟いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ