表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼく の かんがえた さいきょう の PC  作者: ぽむ
第二章 開拓星フロンティア
16/17

016 不老不死

「そう言えば教授、教授は将来的に自力での不老不死を目指すんすか?」


「ああ、もちろんだ」


「でも、日本ではそれ程でもないですけど海外じゃ結構批判的な意見も多いみたいっすよ」


「まぁ不老不死には目立つデメリットがあるからね」


「あ、それ知ってるっす。不老不死になる事で永遠に死ねなくて永遠に苦しみを味わうとか言うやつっすよね」


「いやいや、彼の提供する不老不死はそんな物騒なものじゃないよ。あくまで不老不死で在るための手段を教えているに過ぎない訳で、生きるのに飽きたならその手段を放棄すれば良いだけだ」


「え? じゃぁそう言うデメリットは無いって事ですか?」


「無いね」


「じゃぁ不老不死のデメリットなんか無いんじゃないすか?」


「そうだね。確かに不老不死を手に入れる人間にとってはデメリットは無いと言っていい。


 問題があるとするなら、彼の提供する不老不死が完璧すぎる事かな」


「??? どういう事か解らないんすけど……」


「彼の提示する不老不死の最大のデメリットは不老不死でない人間達の社会に対するデメリットだ」


「社会に対する?」


「そう。簡単な所で言えば働き手が居なくなる可能性を心配しているんだよ。だから経営者や政治家などの支配層が危機感を覚えている」


「働き手ですか……」


「生物の行動原理を考えてみるとその辺は解りやすいかな。端的に言えば、不老不死の生命というのは引き籠もりになる可能性が非常に高い」


「引き籠もり……」


「だって働かなくても死なないんだよ? しかもタイムストレッチボックス持っていれば其処で永遠に引き籠もって、infinityでネット三昧のぐうたら生活しても死ぬ心配とかは全くない訳だ」


「あー……」


「それ以外にも様々な弊害が予測されるしね」


「例えば何すか?」


「彼の提示する不老不死は食べる必要も無ければ寝る必要もない完全なものだ。人間の三大欲求は趣味嗜好の域まで重要性が下がっててしまう。即ち本当に何もしなくても永遠に生きていられる完全な不老不死であるが為に、それに伴って、もともと本能から派生していた生物としての行動原理の強制力が消滅してしまう。


 食べる必要が無ければ当然食欲は大幅に減退するだろうし、死なないという事は自分の生きた証し、自分の意思を受け継ぐべき子孫を作る必要もない。


 もっと言えば今現在ある人間社会に従属する必要もないし、人間社会も不老不死の人間を束縛できない」


「束縛できない? どういう事っすか?」


「簡単に言えば、社会におけるルール、法律というのは結局の所『ルールを破ったら最悪殺すぞ』という暴力に訴える事でルールを守らせる訳だ。これが通用しなくなる」


「あー……」


「そもそも社会という群が何故出来たのかを考えると、人間という種が弱く、群をなさないと他の種との生存競争に生きていけなかったからだ。人間という種は様々な動物からひたすらコソコソと逃げて逃げて、逃げ回って生き残った臆病な種なんだよ」


「そうなんすか?」


「ああ。人間は猿から進化したとか良く言われているが、普通に猿から進化した所で人間にはならない。その確たる違いが体毛だ。


 地上の哺乳類の殆どが全身に毛が生えているにも関わらず、何故人間だけが頭以外の体毛が極端に減ったのか?


 これは地上における生存競争に敗れ、海や湖などに生活の場を移さざる得なかったからだと言われている。水面から頭だけ出して、ビクビクしながら地上を伺う生活が多かったと言う見解だ。


 体毛が異常に無くなったのは、体毛がない方が陸上に上がった時に身体を冷やさずに済むからだと言われている。まぁその代わりに服を着るようになった訳だけどね……


 他にも水中生活を裏付けるようなブラッドシフトとというイルカなどの水生哺乳類だけに見られる現象も人間は持っている。そう言った事でも人間が過去に水中生活をしていたのは明らかだ。


 それら様々な事から人間と言う種は、陸上を追われて海まで引き返し、しばらくは生活していた物の、恐らく鮫などの外敵で再び陸上生活をせざる得なかった極端に臆病な生物だったと推測される。海岸線で言ったり来たりの生活だったんだろうね」


「臆病っすか……」


「しかし臆病であったからこそ群れを成し、慎重な行動でしっかり考えるようになったとも言える」


「なるほど……」


「そうそう他にも人間には他の動物にはない面白い違いがある。地上の哺乳類の多くは、目を見てもの殆ど白目の部分が見えないだろう?

 でも人間の目には白目の部分が結構ある。これも人間特有のものだが、ここにも人間という種の特性が良く出ている」


「どういう事です?」


「多くの地上の動物で白目部分が少ないのは、相手に自分を悟られない為の物だ。簡単に言えば何処を見ているか解らないようにするために黒目部分が大きい。


 『目は口ほどにものを言う』という言葉が在るが、自然界の基本として周囲は敵だらけなのだ。そんな自分の意図や感情を簡単に読まれるような特性の変化は『自分の身を守る』という観点からすれば生命としては退化に近い。


 だが、人間は自分たちがあまりに弱いからこそ、外敵に自分の思考を知られるよりも、群の中でのコミュニティを円滑に行う事が重要だと判断した。


 その結果本人の意思が解りやすい人間、意思や感情を隠しきれない白目の多い人間が信用され群の中でそう言った形質をもつ個体が多く子孫を残す事で今の白目の比率になったと言われている。


 その他にもコミュニティを重視していると解る判断材料として、人間の表情筋は地球上の生物の中で最も発達している。


 逆を言えばそれ程までにコミュニティを重視し、群を為さなければ人間は生き残れなかった程に追い詰められていた言う事になる」


「へぇ…… 目の事とか初めて聞きました」


「しかし不老不死はそれをも否定してしまう」


「え?」


「そもそも、人間が社会を作るのは弱いからだ。一人だと死んでしまうからだ。でも不老不死だったら一人で十分だろう?」


「あー……」


「他にも不老不死の人間相手には様々な取引が通用しなくなる。


 例えば人間の多くは会社組織に属し働く訳だが、これは何故だね?」


「そりゃ、給料を貰うためです」


「そう。生きていくためにはお金が必要だから働く。でも死ぬ心配がないなら働く必要は無い。極端な話をすればお金が必要になったその時だけ短期で仕事をすればいいのであって、定職に就く必要がない。経営者からすればこれ程使いづらい人間はない。


 国家という枠組みにしてもそうだ。国が社会保障として様々な恩恵をもたらしてくれるからこそ税金を払う訳だが、そもそも社会保障というのは生きるための保障だ。死なない人間にそんな物は必要ないだろう?


 実際アトランティスには勤労の義務はない。法で縛る意味がないと解っているからじゃないかな」


「なるほど……」


「まぁそんな訳で、不老不死反対派はそんな人間が増えたら社会の枠組みが破綻すると思っているんだろう。


 ま、私個人の意見を言わせて貰えばそんな事にはならないと思っているけどね」


「え? そうなんすか?」


「まず普通に考えて不老不死を手に入れるには最低限100年間みっちり勉強をしなくてはいけないんだよ?

 それは即ち最低で100年分の生活消費が必要と言う事だ。これは今までの人間が一生で消費する生活消費よりも多くなる。


 もっと言うなら、若返りによって定年という物が意味のない物になってしまった。年金を消費するだけの老人とかも必要ない。


 それに不老不死同士が結婚し、子を成したとしても産まれてくる子供は不老不死ではない普通の人間だ。結果養育費だって必要になる。


 即ち消費も増えるし、働き手も増える。あとは時代に合わせてどんな商売をするかと言うだけの問題だ。」


「たしかに……」


「それにね、人間の進化のためには今回の不老不死や人間の存在強化は良い機会だと思ってる」


「どういう事です?」


「先程も言ったが、人間という種はすごく臆病な種なんだ。あまりに臆病すぎて人間という種の進化をも妨げている。


 例えば人間以外の動物で突然変異的に強い個体が現れたとする。すると、普通の動物ならばその個体はボスとして君臨し、以降はそのボスの血を引く強い種が主体となって行くだろう。これが繰り返される事によって種がより強力な種へと進化していく訳だ。


 ところが人間の場合、突然変異的に強い種が現れると、迫害などで自分たちの手に負える内に殺してしまう。普通の人間に手に負えない強さになってしまったら法で縛れなくなってしまうし、その力が自分に向けられると恐いという感情から、数の暴力によってそれを排除しようとしてしまう。これは人間が理解できない物に恐怖し排除しようする本能みたいなものだ。これを覆すには突然変異側がその殺意をはね除けるだけの強さが必須条件になる。


 しかし歴史が証明しているように、小さなコミュニティしか存在しなかった遙かな過去ならともかく、一定以上に成長した社会は魔女狩りよろしく突出した強い個体も、数の暴力によって容易に迫害し殺してしまう。当然子孫も残せない。


 結果として人間は今も臆病な個体のままでいる。特に今のような全世界で情報が共有できるような横の繋がりがある社会では、特撮怪獣ぐらい突出した強さを持つ突然変異が表れても容易に駆逐されてしまうだろう。結果として新たな力を持つ突然変異が繁栄する可能性が事実上0になってしまった訳だ。


 だからこそ今回の試みには意味がある。彼の力は正に全人類、いや全宇宙が束になってもまるで問題がない程に強い。その力によって今後そう言った今まで迫害対象となる強さを得る個体が現れても、彼がその存在を保証してくれる。人間はやっと大手を振って自力での進化の道を歩む為の切符を手に入れた訳だ。


 正直な話、人間種の遺伝子操作やクローンなどは倫理の問題から禁止されているが、人間という種が行き詰まりを感じていた以上、いずれ避けては通れない道となる筈だった。科学に身を置く私個人としては、遺伝子操作やクローンなどは人間に適用してこそ真の意味があると思っていたぐらいだ」


「あはは、それってマッドサイエンティストの思考ですよ」


「まぁ確かにね。実際に有効な結果を得るためのには多くの人体実験による検証例が必要になるだろう。


 しかし妊娠中絶を行い無駄に大量に命を芽を刈り取るのと、クローンを作成し人類の発展のために役立てるのとどちらが有用だと思うかね?


 新薬の臨床試験と言葉を換えて、一般人に対し人体実験をするのと、クローンに対して実験をするのとどちらが有効だと思うかね?


 まぁクローン人間の人権を尊重すれば『そんな事はしてはいけない事だ』となるのだけど、今は消えた国家が洗脳教育によって他民族への人権をねじ曲げ貶めたり、宗教が他宗教の人間を人間として扱わないのと何がちがうというのかね?


 彼らは無駄に殺すだけだったが、クローンの場合は所謂『人類の礎のための尊い犠牲』という奴だ」


「いや、それって…… もの凄い詭弁ですよね」


「まぁね。こんな詭弁を幾ら述べた所で、今の社会では絶対に許可される事のない事だ。少なくとも公にはね。なぜなら今の社会は建前という物を非常に重視する。その所為で社会という枠組みの中で明らかにマイナスになる要素にまで『救済という破壊活動』を行ってしまっている。


 例えば、犯罪者に対しての刑罰の軽さ。大昔は盗みをしたら手を切断された。死刑も沢山行われた。それによって再犯をさせないと言う意味では非常に効率の良い刑罰を与えていた。だが、今の世の中では犯罪者は懲役も終えてないのに、刑務所が一杯だからと言う訳の解らない理由で、保護観察身分として直ぐに出所し、簡単に再犯をする。それによって犯罪者が無事で、何の罪もない一般人が更に被害を受ける。しかも牢獄の中は衣食住の保証されたある意味快適環境だ。少なくとも公園で寝泊まりする浮浪者よりは格段に住みよい環境なのは間違いない。罪のない人から集めた税金を使って犯罪者を手厚く養ってあげている。犯罪を犯す者にとってこれ程の天国はない。


 結局、犯罪者の救済をする事で、そうでない一般人の被害や負担を増やし、社会構造を破壊している訳だ。


 犯罪者に関しては他にも、心神喪失状態だったから無罪とか、薬物で正常でなかったから無罪という、訳の解らない犯罪者にとってだけ(・・)都合の良い法律も何故か存在する。まぁこれは元々権力者による『悪魔が囁いたんだから俺は悪くない!』という抜け道を法的に合法化しただけの悪法でしかない訳だけどね。本当にそんなキ印な奴ならば、害しか産み出さないのだし、それこそ社会不適合者として完全隔離するか処分すべきだ。


 しかしそれらの更正を信じ、一時の気の迷いだから本人には罪がないとか、寛大に許す事こそ神の道だという取って付けた建前でそんな事がまかり通る。被害者がそんな事で納得するはずがないのに、被害者じゃないからこそ言える無責任な言葉だよね。


 他にも老人の問題。昔は働けなくなり社会への貢献が低くなれば、姥捨て山よろしく普通に捨てられた。身障者なども同様だ。生物の基本として弱肉強食はどうしても外せない要素だ。強い者が弱きを守るというのは、人間がこれまで培ってきた正義感という物差しからすれば正しいのかも知れない。しかし最初はその人の手の届く範囲で、余裕の中での救済の筈が、いつのまに救済を義務づけられ、余裕が無くても救済を求められる。救済を求める側は救済されて当然だと叫ぶ。それは本当に正義と言えるのかね? まるで精魂込めて収穫した作物にたかる害虫のようじゃないか。


 しかし、それをおかしいと感じない程に今の社会は暴走している。


 また、末期癌などの患者に至っては本人が死を望んでいてもそれが許されない。


 生命に生きる権利があるのと同様に、何処で死ぬのか、どう死ぬのかは本人の権利であるはずなのに、それを他人の都合で剥奪する。自由意思の人権を謳っておきながら、容易く例外を作る。


 今の人間の社会はある意味、人を騙し、嘘を付きあって発達した側面が多々ある。そしてその悪意を隠すために利用されてきたのが建前だ。


 自殺がいけないというのも最初は死んでしまうとその人物を利用し、利を得ている周囲の人間が困るからに過ぎない。


 あー、ちなみに、この利は物質的な物だけじゃない。心の安定という物も含めての利だがね。


 しかし『自殺は神の教えに背く事。人として産まれたからには何が何でも生き続ける事こそ正しい』と言う建前を重視するあまりに、社会の歯車として役に立たない所か被害を及ぼす者までも無理矢理生かし続ける事になってしまった。


 こうした様々な建前によって産まれた社会の無駄は、今や多大な重しとなって社会という生命体を縛り付け、容易に動く事も出来ない程になってしまっている。先程の詭弁を否定する理由もその一つだね。


 人間以外に対しての遺伝子操作やクローンは良いのに、何故人間にだけが駄目なのか。人権を声高に尊重するなら動物権や植物権だって声高に叫んでも良いはずだ。


 まぁそんな事をすれば、人間は何も食べる事が出来ずに飢え死にしてしまうから当然言わない訳だが、それを言わない建前として、宗教では『人間は神に選ばれた種だから、他の種よりも優れた種だから、人間のために他の種が犠牲になるのは当然の事だ』と嘯く。しかしそんな物は自分の都合しか考えない建前も良い所だ。


 歴史を紐解けば人間は動植物だけでなく、人間自身をも奴隷として人権を無視し、それを奪ってきたのだ。『私達貴族は神に選ばれたが、お前達平民は違う、敵国の者達は人間ですらなく家畜だ』とね。所詮建前という物はその時の都合によって幾らでも変更されてしまうものだ。それは歴史が大いに証明している。法律もそうだ。結局は権力者が一般人を都合良く統治するための建前に過ぎない。奴隷という身分はなくなったが、奴隷のように自由無く働かされる人間は今でもいる。


 そもそも善悪という枠組み自体も人間が勝手に定めたものに過ぎない訳だ。『勝てば官軍』などと言う言葉が在るように、戦争においては国際法などは在って無いようなものだ。本当に世界を支配できる程の力を持っていれば法など落書き以下の存在になる。ルールや理屈なんて物は弱者を縛る枷にはなるが強者を縛る枷にはならない。所詮は強者が弱者を罰するための建前に過ぎない。


 そもそもの国際法にしたって常任理事国の拒否権等というものが在るように、所詮は力持つ物の都合の良い建前だ。国会議員を無闇に守るための法律も無数にあるしね。実際に国会議員と言うだけで逮捕の幅がかなり狭くなる」


「か、過激ッスね……」


「まぁしかし、彼の提案はそう言った多くの建前の幾つかを吹飛ばしてくれた。今の社会で倫理的に問題になりそうな遺伝子操作などについても、実験をやる前から全ての解答が提示されているし、神を盾に様々に自分に都合の良い暴論を吐いてきた宗教家もその根拠となる神を失い、信用はどんどん低下している。嘘だと知れた人間がでっち上げた神、そしてその教えの多くは実在しない神に責任転嫁する事で正当性を説く歪なものだ。


 『神が言ったから、お前は悪だ』そう言って多くの物を攻撃したが、結局の所は『俺が個人的に気に入らないから、神の名前を騙ってお前を悪にする』と言う意味でしかない。しかもそれに伴う責任を自分は一切負う必要がない。なにせ『全ては神が命じた事』で自分が考えた事ではなく、あくまで命令に従っただけだからね。しかしそんなのは犯罪を犯した者が『悪魔が俺に囁き操ったんだ』と言い訳するに等しい。ただの責任逃れだ。そもそも宗教というものが『神』という建前によって信者を思考停止に陥らせ、操るために発達した所が非常に大きく、そしてそれは詐欺の手口と同じだ。


 実際に採られる手段も詐欺や洗脳と全く変わらない。幾つかの真実と耳障りの良い言葉の中に自分の都合の良い嘘をちりばめておく事で、操る者に真意を悟らせない。気づかないうちに絡め取られた後は、コミュニティからはじき出されると生きていけない状況に追い込んでおいて、本人が後で疑問に思っても、命令にそむけないようにする。それが多くの宗教の本質になる。


 本来なら悪魔の証明と同じく、神の存在を証明できないからこそ宗教の根本をなす建前が通用していたが、実際に神の御技を持った者が現れ、それまでの宗教における神との無関係を公言した以上、その建前、嘘が通用しなくなってしまった。


 そもそもお布施についても神に直接お布施が届かない時点で本来なら詐欺でしかない。活動その物に疑問が発生した以上、宗教は今後勢力をどんどん失っていく事になるだろうね。


 それに信仰するにしても、居ないと解った宗教の神よりも、実際の恩恵をもたらし、実在する彼を信仰した方が100倍解りやすい。しかも彼は一切お布施をと言う名の寄付を受け取らないし、本当の意味で平等で中立だ。


 まぁだからこそ余計に、宗教家や支配者層は、自分の持っていた権利を失わないように声高に叫んでいるのだろう」


「色んな所で産業的なダメージはありましたけど、そう言う所でもダメージがあったという訳ですか……

 宗教に疎い日本じゃあんまり話題なりませんでしたけど、海外じゃ普通に神を掲げる宗教は根付いてますもんね」


「まぁ宗教も元々は群を円滑に統治する為の手段の一つとして産まれたものだから、清濁併せ持つのは当たり前の事だ。しかし、声高に『自分は清だけだ』『間違いなど一切無い』と言い過ぎたのが敗因と言えるかも知れない。


 ま、それはともかく。宗教に関しても、不老不死の人間相手じゃ通用しなくなってしまう。何しろ死後の楽園を約束するのが殆どの宗教の手口だ。『教えに背くと死後に地獄に堕ちるぞ!』と脅して信者を集めていたのに、死なない相手に死後を騙るのは愚かな事でしかない。


 そもそも、彼の霊学を学べば魂の在り方も明確だ。宗教の掲げる様な曖昧な死後等は存在しない。死後に魂だけで自己を保てるかどうかは霊学の習熟具合によるし、それが未熟であるなら魂は自己を保てず、霧のように霧散して大いなる意識層に還元されるだけだ。


 学問として、誰でもが死後を認識できるようになってしまった以上、宗教程意味の無くなった物はないだろう」


「なる程…… 確かにそうかも。

 でも不老不死になると引き籠もりになるんすよね? それって進化なんすか?」


「まぁ、産まれた時から不老不死であったなら、何の欲求もなく何も行動もせず、何の思考もしない生きているだけの動かない物体に成ってしまう可能性は大いにあるのだけど、あいにく不老不死を手に入れるには最低で100年はみっちり勉強しなくてはいけない。


 そして其処まで勉強が出来るというのは、知識欲が旺盛でなければいけない。そして知識欲というのは、本能に左右されない知能を持った生き物だけの欲求だ。それも人間のように文明だけじゃなく『文化』を発達させた生命の特権とも言える。


 生きるために必須の知恵だけ、文明だけの世界では知識欲という余裕は産まれない。生活に余裕がでる事で、生きる事以外の知識、文化がうまれ、それ求める事で初めて知識欲、知る楽しみを知る。


 恐らく、だからこそ今なのだと思う。知識欲が旺盛な今だからこそ人類が不老不死化し、新しい進化を得ても、芽生えた知識欲によって先に待つ知識を得る事への欲求が、行動を起こす原動力となる。


 結果として不老不死だからと言って、動かず死んだような生物にならずに済むのだ」


「そう言えば、神たまは文化が大事ってよく言ってますね」


「そうだね。一定以上の文化を持っていて初めて、その種に干渉し、不老不死を与える価値があると言う事なのだろう。


 それに、人間がこれまでに蓄積した知識だけでも、既に人間の寿命で学びきれない程に膨大な知識がある。欲張りな私としては出来ればあらゆる知識を吸収してみたい。机上ですむ様々な理論だけでなく、鍛冶とか農作業とかスポーツ、武術、そう言った物も含めてしまうと、その全てを学ぶには人生が何十回分でも到底足りない事になってしまう。


 だからこそ彼の提示してくれた不老不死は非常に有り難い。あらゆる事に気の済むまで学び、修行する事が出来るのだからね」


「普通の人生は、時間が無くて何かを切り捨てて何かを取るというのが当たり前ですもんね。不老不死さえ取ってしまえば時間を気にしなくて良いからそう言う切り捨てをしなくても言い訳か…… 確かにいいかも」


「まぁ、まだまだ先は長いがね。それに人類の不老不死化を進めるに当たっての最大のメリットは戦争が起きなくなる事かな。起きても小規模な物になるだろう」


「え? どういう事ですか?」


「戦争というのはハッキリ言えば喧嘩に過ぎない。国同士において法律なんて在ってないようなものだからこそ、正義や主張はそれぞれにあり、それが衝突して戦争になる。


 だけど、一般国民としてみれば酷く迷惑な話とも言える。上層部の勝手な判断で、戦争に参加したくない人間まで戦争に駆り出される。戦争に参加したくなくとも『参加しないと死ぬぞ』『参加しないと非国民として殺すぞ』と脅す事で、戦争の原因となった直接の当事者以外も駆り出され、規模が無意味に大きくなり、最終的に戦争という形になる。


 しかし、そんな物は本来は『当事者だけで勝手にやってくれ、俺達を巻き込むな』って言うべきなのだ。しかし今まではそれは出来なかった。だが、これからは違う事になる。不老不死になった者は死ぬ事がないからこそ『そんな喧嘩は当事者で勝手にやってくれ』で済む事になる。そしてそれを言い出せる者が居ると言う事は非常に重要なのだ。


 それに彼の提示する不老不死の方法は0からの肉体再生も可能にする。これは有機物を設計に沿って創造できると言う事だ。創造する対象を自分の身体ではなく、他の動植物にすれば普通に食料の作成も出来る。もちろんどれ位の精度で作成できるのかは霊学の熟練度で変わってくるのだろうが、これの意味する所は大きい。懇意の不老不死の知人がいれば、戦争拒否時に匿って貰える可能性があると言う事にもなる。


 まぁ不老不死の知り合いが近くに居なくとも、タイムストレッチボックスの時間の進みを早くして戦争が終るまで引き籠もると言う手だって考えられる。少なくとも戦争を拒否する事が容易くなる。最悪でもアトランティス領地に逃げ込んでも良いしね」


「あはは、まぁこのフロンティアとかに来ちゃえば戦争とか絶対に持ち込めなさそうですもんね」


「それにだ!


 そもそも、争いに第三者が介入しても被害が拡大するだけなのは解りきった事なのだ。それを権力者が勝手に無関係の人間を様々な建前で国民を参加せざる得ない状況に追い込み、巻き込むのが戦争の正体だ。


 そして戦争の多くの原因は『生き残るため』だ。だが、生き残る手段が戦争以外に提示されているのにそれを行うのは愚かでしかない。


 だいたい知識の本質は無駄な争いや被害を回避する為の物だ。昔は食料を得るために簡単に隣の領地に攻め入り戦争を起こした。だが農法が確立される事によって、食糧難が減り、飢える領民が減った事でそれを理由に戦争を起こす理由が減った訳だ。


 まぁ豊かになればなったで、力を得た者が更に欲を出して戦争をするなんて事もあるがね。もしくは自己生産が出来ない無能領主な為に、ひたすら戦争を繰り返し、盗賊よろしく奪う事でしか国を回せないと言う自転車操業しか出来ない愚かな戦争動機も一応ある。もちろんその手の国は最終的に衰退する訳だが……


 ちなみにアメリカの起こす戦争はその全てが二番目の経済欲だ。なにせ自分たちの本土が危険でもないのに、資本家が更に儲けるために様々な建前を述べて戦争に介入したり、自ら起こしている。アメリカは純粋な資本主義なだけに大統領も資本家に儲けさせるための方針を採らざる得ないから当たり前なのだけど、ここまで徹底しているのはある意味すがすがしい。


 まぁしかし、今後はどんな建前をたてようとバレバレになるから、自己欲で多くの無関係を巻き込む戦争を起こすのは難しくなるだろう。

 彼の力はその全ての建前を正面から潰した上に、下手すれば醜い本音を世界中に公開できるだけの力もあるから自己欲で戦争を起こそうにも迂闊に動けない状況になるだろうね。


 ただまぁお金や権力に過剰に執着するというのも、弱い自分を守るための鎧を強化したいという生存欲求に基づく本能でしかないわけで、不老不死を実現すれば過剰にそれを求める事も無くなる筈だ。そう言う意味では、危険な支配者層こそ不老不死を求めるべきかもしれない。


 まぁ実際の所はそんなのは到底無理だろうけど…… 恐らく彼らの場合は、勉強するよりも評価ポイントで若返りを稼ぐ方に執着するんだろうなぁ……


 結局の所、最終的には世界における人類の在り方は二分化されるだろう」


「ふーむ、二分化ですか…… 具体的には?」


「勤勉に不老不死を目指し、そのままのんびりと知識を集め、最終的に彼の求める、新たな神に近い存在になる事を目指す者。そう成れたらいいなあと、遊びつつのんびりと知識を集める不老不死組」


「のんびりですか……」


「そりゃそうさ。なにせ彼に追いつこうと思ったら、最終的に何百宇宙時間以上の超遠大な計画だ。偶に息抜きをしつつのんびりと不老不死人生を歩む事になるだろう。彼の提示するポイントで自由な世界をプレゼントというのもそんな長い生活を退屈無く過ごすための暇つぶしの一つなのだろう」


「あー、そうなのかも……」


「そしてもう一つは、不老不死を目指さない、もしくは目指せないもの。生きている意味を感じなければ死を選ぶ物も居るだろうし、単純に勉強という努力が嫌で目指さない物も居るだろう。


 しかし今の支配者層は別の意味で不老不死を学べないだろうね。多くの支配者層はある程度の教養は身につけている物の、彼らに求められてきた最大の武器は世渡りという交渉だ。それは相手の心理を読んで口車や力を見せつける事で、自分の利益を得るための手段だ。


 そしてこの行動というのは弱い人間が群の中で生き残るために特化し、発展してきた本能に根ざす行動原理だ。だからこそそれに染まった人間はそれを否定しずらいし、真実の道だと疑うことなく信奉している。一定以上他人の態度を気にする人間は、それを指摘しても他人を伺う事を止める事が出来ないのと同じだ。


 しかしこれは不老不死側の人間と比較すれば、その在り方は相反するものと言わざる得ない。不老不死であるというのは他人に依存せずとも良いと言う事だからね。これまで他人を利用する事でその地位を得た人間からすれば、一人で完結しようとする存在は理解しがたい存在だ。


 人間という種は様々な事柄を分業し、手分けをして事に当たるからこそ大きな事を成せる。支配者層はそれをまとめるのが仕事であり自分がそれを出来る必要はない。長く支配者層に居る人間程そういう思考になる。


 それは確かに正しい事で、これまでの人間社会の在り方として真当なものだ。しかし長年その思考に染まってしまえば、これを勉強すれば不老不死になれますよと言われても『何故今さら自分がそんな物を勉強せねばならないのか?』という疑問が多く心を占めるだろう。そしてそれは成功者程、強く表れる。


 しかしそんな疑問を抱いて勉強をした所で身が入るはずがない。君も経験があるんじゃないかね?『こんな勉強、社会に出た後で何の役に立つんだよ?』って思うような教科は成績が振わなかったはずだ。


 恐らく支配者層はそんな物を学ばなくても、これまで十分に贅沢に暮らしていたからこそ、新しい勉強を始める事は出来ないし、始めても身につきはしないだろう。それらの知識を得ると言う事はある意味今までの自分の人生を象ってきたアイデンティティを否定する行為に似たものだ。


 結果的に、支配者層はその地位を守るためには、ポイントを稼いで若さを保つだけが唯一の方法になる。しかも勉強をしないなら、個人ポイントは早々に尽きるだろうから評価ポイントに頼らざる得ない。


 そう考えると、評価ポイントという物は旧来の社会構造において支配する側の救済措置なのかもしれない」


「救済措置ですか……」


「うん、だって彼らにとって個人ポイントというものは、稼ぎづらい物に成る訳だ。しかしその事は勉強する人としない人では寿命が大きく変わってくる事を意味する。彼らとしては『こんなに社会に貢献しているのに、なんで俺達は早死にしなければならないんだ!』って不満がでるだろう?


 だからこそ、その社会への貢献度を解りやすく評価ポイントとして数値化したのだろう。


 まぁ私としては他人の顔色を伺って生きるのは面倒だから評価ポイントは早々に無効にしたがね」


「なるほど…… でも確か評価が落ちるとそれによって付けた効果はどんどん剝がされるんですよね?

 て事は評価ポイントで若返りによって寿命を延ばしている人は信用を失うと即死する可能性も在るのか……」


「そうなるね。

 でもおかげで、それこそ必死になって他人の信用を稼ごう、保とうとするだろう。そしてそれを維持するためには汚職や嘘は厳禁だ。1回の嘘でそれまで築いた信用が瓦解する事も十分あり得る。逆に言えば本当に清廉潔白な上に優秀な人間でなければ評価ポイントで永遠に生きるのは難しい。常時選挙による合否を受けているようなものだからね。


 だが実際の所、真に清廉潔白なだけの人間なんて居ないものだ。おそらく、想像以上に困難な道になるだろうな」


「なんとなく蟻とキリギリスを思い出しました」


「あー、確かに近いかもしれないね。蟻のように地道に自力の不老不死を目指すもの。評価ポイントで不安定ながらも比較的容易な長寿を目指すものって所か」


「あ!でも、不老不死のための勉強を本格的にしなくても、フロンティアで狩りをして生活するだけでも開拓ポイントは十分に溜まるじゃないですか。


 そう考えると、新たに勉強はしたくないけど長生きしたいって人はフロンティアに住むのもありかもしれませんね」


「たしかに。企業参入の入札が毎回すごい事になるのはそのあたりにもあるのかも知れないな」


「……あ、そう言えばフロンティアの開拓ポイント制って何時まで有効なんでしょうか? ある程度の開拓と入植が進めばその後は開拓と言うより都市開発になる訳だし……」


「む、そういえばそうだな。 シロ、そのあたりはどうなってるんだ?」


「開拓地がフロンティアの有効陸地の20分の1を占めたら開拓ポイントサービスは終了だワン。予定では20年も掛からないと予測されているワン」


「え? たったそれだけでサービス終了なの? それ早くないすか?」


「でも安心するワン。代わりにフロンティア住民ポイントサービスが付くようになるワン」


「え? どういう事?」


「簡単に言えば、今の開拓で得られる『開拓従事ポイント』の比率が見直されて、『フロンティア住民ポイント』と名前が変わるだけだワン」


「なんだ……そういう事か…… 吃驚したよもう……」


「ふむ、比率としてはやはり下げる方向になるのかね?」


「多分そうなるワン。今の状況は楽ちんすぎるから駄目だワン」


「そう言えば、狩りで狩る魔物もわざわざリポップなんて複製までして今の食を支えている訳だし、甘過ぎと言えば甘過ぎっすね。リポップ処理もちゃんと家畜を軌道に乗せるまでの暫定処置だって公言されてる訳だし」


「そうだワン。ちゃんとグランドマスターの手を借りずとも自給自足出来るようになって貰わなければ困るワン」


「ふむ……と言う事は、規定値を越えたあたりでリポップする必要がない程に魔物も手強くなると言う可能性もあると言う事か……」


「それは、その時になってのお楽しみだワン。でもちゃんと順序よく修行してれば問題はないワン」


「………そう言えば少し前から気になっていたのだが、今の時代に前時代的な狩りをさせるのはやはり彼の方針なのかい?

 ゲーム感覚で取っつきやすくと言う理由ではないんだろう?」


「予測が付いてるのに聞くのはどうなのかなって思うワン」


「なるほど、そう言う返答をするって事は私の考えで当たっていると言う事か」


「え? どう言う事っすか?」


「簡単に言えば、自分の命が他の命で賄われている事を実体験として認識させると言う事なのだろう」


「?」


「今後不老不死を目指すからこそ、命の意味を考えさせる場を与えているって事だよ。


 多くの人間はスーパーに売っている加工済みの肉しか知らない訳で、命の重さ、軽さ、意味、それらが良く解らない物に成ってしまっている。


 まぁ良くファンタジー小説にあるような『現代日本人が異世界に行って、生物を殺して気持ち悪さに吐く』みたいなのは甘ったれるにも程があると言う事かな。


 それは自分が直接関わっていないからと言って、今まで生死と言うものに目をそむけ、逃げていた証しに過ぎない。

 少なくとも不老不死でない限り人は何かの命を消費して自分を賄っているんだ。それを見ない振りをするなと言う事なのだろう。


 実際、私の小さい頃は良く庭で鶏を飼って、適当に育ったら絞めて食っていたりもしたものだ。だが今の子供は農家暮らしでもなければそんな経験はないだろう?」


「…………ああ、そういう事ですか」


「もし、不老不死になればそれは更に表面化してくる。不老不死者が何かを殺す必要性がないからこそ、何かを殺さねば生きていけない普通の人間を、それを理由に見下したり批難するかもしれない。しかし、それは当たり前の事なのだとしっかり認識させると言う意味を兼ねているのだろう」


「流石だワン! 大正解だワン」


「なるほど、そう言う見下しや偏見はありそうっすね……

 不老不死じゃないにしても、命を奪う職業は賤業って言われる事が多いですしね」


「しかし、その賤業が無ければ人間は何も食べていけないのが現実だ。

 もし殺す事に罪があるならば、それを食している人間も罪があるはずなのに、殺す人間だけを賤業と蔑称し、自分の罪まで着せて、自分だけは綺麗なままで居ようとする。それはただの責任転嫁と現実逃避でしかないだろう。


 そんな事も解らない、勘違いをした甘ちゃんが現代には沢山居るわけだ。だからこそ、自分の手で生き物を殺すだけで吐きそうになるなんて馬鹿馬鹿しい描写が当たり前のように書かれる。


 これも間違った建前が社会に蔓延した弊害の一つだな」


「あはは…… きついすね。でもまぁ、そうかもしれません。


 確かに吐くとか言う行為は畜産農家を馬鹿にした、唾棄すべき職業と貶めてるのと変わらないっすね。


 いや、畜産農家だけじゃないッスね。人間自体は何かしらの闘争と命のやり取りの中で生きているんすよね。戦争に直接参加していなくても、自分の代わりに戦ってくれている人が居るから、自分が戦わなくて良いだけっすもんね。兵士は自分の奴隷でも何でもなくて、あくまで代わりに戦ってくれているだけ。警察とかもそうですね。


 吐くみたいな生理的反射として忌避するっていうのは『俺にこんな事させやがって!』って心底そう思ってなければならない。それらを心底賤業と思い、その状況に陥った自分をもの凄く可哀想と嘆くナルシストの感情かもしれないっす。


 実際はただの逃げでしかないのに」


「そうそう、そういう事だ。流石に浩一君は良く解ってるね」


「まぁ、今じゃ立派に解体作業の出来る狩人っすから」


「まぁ吐くというのはショック症状的な物も在るのだろうけど、精神的なショック症状という物は結局の所、事が起きる前に心の準備が出来ているかどうかに過ぎないしね。


 生と死。人間はそのどちらからも逃れられない。だからこそちゃんと考える必要がある」


「生と死ですか…… そう言うのも含めてのんびり考えるのも良いかもしれませんね」


「ああ、自分の死生観は自分で見つけ自分で決めるしかない。頑張りたまえ」

ちなみに日本列島という島は狭い上に平地が少なく、地震が多くて台風も来るし、津波や火山といった自然災害が豊富であったからこそ、自然の驚異を神として畏れ、万物に八百万の神が宿るという信仰の原型になったと言います。


作中で目の事が出ましたが、日本人特有の黒目というのは碧眼よりも視線などが読みやすい訳で、他の地域よりも過酷な環境だったからこそ、コミュニケーション重視の黒目が生き残ったのかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ