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一話
「姉さん、結婚おめでとう。」
「ありがとう。」
さて、僕はこれからどうしよう。
僕達の両親は僕が中学生の時に交通事故で亡くなった。
両親は駆け落ちだったために、親戚や祖父母はいない。姉弟は取り残された。
高校生だった姉が保険金でなんとか生活をやりくりして、朝、新聞配達をしてくれていた。
そんな姉が結婚。
僕は高校生。
早すぎる結婚に動揺していた。
「ま、住む家が変わって、今までの暮らしに、男が増えたと思えばいいのよ。」
「はぁ?僕も一緒でいいのかよっ。どうせ、転校すんなら、特待生で寮にでも入ればすむだろ。」
姉は急に悲しそうな目をした。
「私、あんたが結婚するまで面倒見るって決めたから一緒じゃないとヤダ。」
子供のように頬をふくらませた。
「はぁ、分かったよ。ったく、んで姉さんの旦那さんはそれでいいのかよ?」
「ああ、俺?別にいいよ。ってか弟と一緒に住みたい。なんか、俺らの子供みたいじゃん。」
何処からか、わいてきた。
そして変な発言が聞こえた。
これが姉さんの旦那。
何故、姉さんがこんな馬鹿みたいなやつに惚れたのかは、いまだ僕には分からない。