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~Episode1 出会い~

 2031年4月、僕、煤良木集(すすらぎしゅう)は高2になった。特に何の実感もなく、何も考えずただただ始業式を過ごしていた。僕には特別誇れる事は何もない。どちらかというと、平均よりも低い事が多く、成績もその一つである。

「やっと終わった~」

「なぁなぁ、今日遊ぼーぜ」

 ふとそんなことを考えていると、いつの間にか始業式は終わり、早くも何人かでグループを作り、遊びに行っていた。

鮮紅(せんこう)の奴、今日は来てるんだ」

 僕の席の斜め前の席に座って帰る準備をしている女は鮮紅紅葉(くれは)。あまり学校に顔を出さなくてあまりしゃべらない、というかほぼ無口でそしてものすごい美人である。髪はセミロングで僕的にはドストライクである。

 ……それは置いといて、彼女は入学当初は告白されまくりだったが、今はそんな人はいない。クラスでもちょっと?浮いていて、

 いつも学校にいるときは一人である。

「まぁいいや。さっさと帰って寝るか」

 そう独り言をいい、そそくさと教室を出ていく。そういう僕もあんまりなじんでなくて

誘ってくれるような人はあまりいないのである。少なくともこの新しいクラスには一人もいないのである。

「なんか『である調』って連呼するとウザいな」

 そんなくだらない事をいいながら帰っている時、

「どけぇ!!」

「え?」

 いきなり大声を出し、突っ込んでくる人間がいた。思わずびっくりしてしまい、裏返った声を出してしまった。うん?あれ?…………僕のバックがねぇ!と気づいたのはそしてあの男にひったくられたと気づいたのは間抜けな事にその日家に帰ってからだった。


 次の日、バックを奪われた僕は当然授業道具も無く、先生にも説明するのが面倒で、毎時間怒られていた。休み時間も適当に時間をつぶしていると、ある女子生徒達の話し声が聞こえてきた。

「最近、ひったくりがいるんだって~」 

「え~。ホント~?」

「いや本当にいるらしくて、この辺で多発してんだって」

「ふ~ん。まぁ、別に高校生のバックなんかとったって意味なくない?」

「いやいやなんか噂なんだけど犯人のターゲットは無差別で、金目の物狙いじゃないみたいなんだよね」

「じゃあ、ただの変態じゃん」

「かもね~」

 …………ということは僕はその特に金目の物狙いでもないただの変な奴に取られたってこと?こうなると奪い返したいなという気持ちが出てきたり、出てこなかったり、正直もうどうでもいいかななんて風にも思っていた。

 するとふと後ろから声が聞こえてきた。 

「なぁなぁ」

「…………………………」

 誰かがしゃべっている。

「お~い」

 誰に話しかけているんだろう?

「2年1組14番好きなタイプはショートヘアーでちょっとHな女の子。趣味はPC。特に何の特技も無い、とてもとても残念な煤良木集君♪」

「え、ちょッ」

 全てをさらりと言い当てられ驚くのと同時に相手の口を塞ぐ。

「なんで知ってんですか!っていうか誰ですかッ!」

「俺は文寺鉄(ふみでらてつ)。みんなテツっていうからそれでいいぜ。ああでも俺3年だから先輩をつけろよ」

「ああ、わかりました。テツ先輩」

 ……じゃなくてなんでこいつは人の個人情報知ってんだよ。プライバシーの侵害だろ。こいつは社会でそんなことも習わなかったのかよ。

「それは極秘の情報元って事で。っていうか先輩にこいつとはなんだこいつとは」

「ええッ!なんで心の声が」

「お前声に出てるじゃん」

 僕の声を途中で遮ってそういった。え?まさか今までの事全部声に出てたってこと?

「まぁそうだろうな」

 まただ。心の声にまた返事が返ってきた。

 なんか泣きそう。

「もういいです。でテツ先輩は何の用ですか?」

 自分の中で最高の不機嫌な声を出しそう言った。

「ひったくられて今日一日叱られっぱなしの残念な後輩を見に来た。」

「何の接点もないのに。」

「嫌そうな顔で言うなよ。…………まぁいいや、本題に入ろうか。」

 一瞬空気が変わったような気がした。気のせいか?

「俺は今被害者を回って犯人の特徴とかを聞いて回ってんだよ。それで、お前はなんか覚えてるか?」

 本当はなんとなくではあるが覚えていた。

だが、

「さぁ?」

 と答えた。それはこの事件に協力したくないとかこの人にいきなり不機嫌な、というか不快な思いにされたからという理由ではなく

ただ単に


         面倒事はまっぴらごめんだ。


 そう思ったからなのだ。するとあいつは、

……いやテツ先輩は思ったより簡単にひいてくれた。

「なんか思い出したらここに来いよ」

と言い残して。





 突然だが学校帰りに誰かに助けて欲しいといわれたらどうする?ちなみに別のお話に切り替わったとか急なストーリー変更なんかではない。僕は煤良木集。先程までテツ先輩と話していた煤良木集だ。なのに、なぜか包丁と拳銃を持った相手と対峙している。どうしてこうなったんだろう。

 

 始業式があった次の日の帰り、突然7歳くらいの小さい子供が走って僕のところにやって来た。

「助けて、お兄ちゃん!」    

「え?僕は君みたいな妹を持った覚えはないんだけど」

「追われてるの!」

 僕の言葉はスルーですか。

「そこかぁ!」

 大声を出して追いかけてきたのは、僕のカバンをひったくった奴だった。目は血走っていて殺そうとしているのか手には包丁がにぎられていた。相手は何を勘違いしたのか僕も敵だと認識したようで、

「お前もかぁ!まとめてぶっ殺してやる!逃げんなよぉ!」

と言い、追いかけてくる。こうなるともう逃げるしかない。

「おい。走れるか?」

 ぶんぶんと首を横に振る幼女。しかたがないのでおぶってダッシュ。結果は、まぁ無理。

運動部でもないのに無理無理。

…………で結局、対峙することとなった。

「はぁ、はぁ」

「やっと、追い、つめた、ぜ」

 相手も肩で息をしていた。やっぱり疲れている様子だった。けどこれどうしたものか。相手は刃物どころか銃を持ってるんだし。十でもないし重でもない。銃なんだよ。僕なんか相手になるわけないし、下手したら死ぬし……下手しなくとも死ぬか。こういう時にラノベみたく覚醒するみたいな風になればいいのになぁ…………。そういえば最近読んでた本も超能力系の話だったけなぁ。


「欲しい?力が」


「え?」


「たとえそれが人の道からはずれるようなことだとしても?」


「は?」

 なんだ?頭の中に直接流れ込んでくるようななんというか……そう!まるで頭に直接熱湯を流し込まれているような感覚。まぁそんな体験したことないんだけど。

「どうする?決めて」

 気が付くと目の前には鮮紅がいた。え?こいつが話しかけてたの?

「はやく答えて。イエスオアノー?」

「あ、あの」

「なんでここに?」

「イエスオアノー?」

 なんか今日はよくスルーされる日だなぁ。 

「じゃ、じゃあイエスで」

「うん、わかった」

 小さい声でうなずくと手をにぎってきた。その手が光った。僕はそこからどうなったかは覚えてない。ただ僕はその時、彼女に任せればよかったんじゃない?と気づいてしまい猛烈に後悔していたのを覚えている。




「ん?ふぁ~あ」

 良い朝だ。小鳥も鳴いている。

「おはよう」

「ん。おはよう」

「…………って、ええっ!」

「ななななんでここに?」

「なんでって昨日」

「いやなんかあったけどなんでうちにいるの?」

「だめ?」

 うるんだ瞳?でみつめてくる。光の反射具合でそう見えるだけかもしれないのだが、免疫のない僕なんかでは断れない。

「とりあえず昨日の事は学校行きながらで話すから」

「あ、ああ」

「これ、朝食」

「あ、ありがとう」

「学校の支度はしてあるから」

「う、うん」

「いろいろありがとう」

 本当は様々なことを問い詰めたかったのだが、とりあえず学校に行くことにした。

「そういえば、僕の学校の道具ってひったくられたはずなのになんであるの?」

「それは取り返した」

「あ、あの」

「何?」

 やっぱり美人だ・・。こっち向かれると顔が少し熱くなる。赤くなったりしてないといいんだけど。そして顔が直視できないと今度は胸に目がいってしまう。80?90あるのかな?・・・いやいや今はそんなこと考えてないで昨日の事聞かないと。

「き、昨日さ」

「うん」

「力がなんとかって」

「うん」

「で、手を握ったあたりから記憶がないんだけど」

「うん」

「…………………」

「……………………」

「………………………………………」

「………………………………………」

「………………………………………………いや答えろよ!」

「!!」

「……ああごめん」

「ううん」

「で、どうなったの?」

「暴れた」

「…………うん。ちょっと抽象的すぎてわかりにくいかな?いやまぁだいたいわかるんだけど」

「その、僕は何か超能力的なものに目覚めたの?」

「うん」

……マジ?本当?

「ちなみにどんな?」

「わからない。」

「へ?」

 思わず気の抜けた声を出してしまった。ちょっと考えてみてくれ。普段話もろくにしない女の子に超能力に目覚めたといわれて何の?と聞き返すとわからないという。誰でも気の抜けた声が出ると思う。

「あの」

「うん?」

「放課後開けといて」

「…………なんで?」

だいたいわかってはいたがわざと聞いてみた。

「連れていきたいところがあるの」

「もしかして……」

暗がりに連れ込んで…………ってそんなわけないか。

「え?」

「……いやこっちの話。まぁわかった。放課後ね」



 今日は道具もあるので怒られることもなかった。だが僕も予想だにしないことが起こってしまった。それは「僕と鮮紅が付き合っている」、という噂がたったことだった。普段一人の鮮紅が男と二人で登校。まぁ当たり前の事だった。僕も違うと言ったのだが、鮮紅が「絶対無い。」と言った時は結構心が折れそうだった。そのようなこともあり、わざと二人ばらばらに校門を出て、違う場所に集まることにした。

「ごめん。遅くなった」

「大丈夫。行こ」

「う、うん」

「ついてきて」

 結果からいってしまうと、その後20分程歩いた。狭い道を通ることや、秘密の抜け道などがあることを期待していたが、特に何の変哲もない大通りなどを通っていった。連れていきたい所ってどこだろう?たぶん場所が目的ではなくて、人物に会わせるのが目的だと思うんだけどなぁ・・・どんな人だろう?怖くない人だと助かるんだけど・・・・などと思っていると一つのビルの前で鮮紅が止まった。

「着いた」

「え?ここ?」

 僕は指を指して言った。どう見ても目の前にあるのは飲食店で、現在PM5時。少しずつ人が集まり、少しの騒ぎ声が聞こえる。

「3階にある」

「あ~そういうこと。ん?ちなみに2階は?」

「空いてる。今のところ使ってる人はいない」

「へ~」

そんなくだらない会話をしながらビルの非常階段を上っていく。3階に着くとそこのドアには


      ASG

   ~Anything・Solution・Group~


と書いてあった。

「ASG?」

「このグループの名前。会わせたい人はここのリーダー兼社長」

そう言いながら鮮紅がドアを開けた。そこには

「ん?ふぇんこう。しょいふがほまへがひってたひゃつか?」

きれいな黒に少し赤みがかかった髪につり目がちな目、そして吸い込まれそうなほどの紅い目をしている人がしわのついている服を着て、横になり、菓子をほおばっていた。

「よいしょっと。で、君が煤良木君?」

突然立ち上がって僕に寄って来る。背は僕より高く、目の前にはにはその豊満な胸があった。

「あ、あの」

少し驚いている僕に対して彼女は

「私は魅蓮香(みれんこう)。突然で悪いんだけど、死ぬか、記憶喪失になるか選んでくれない?」



               「え?」

初めて小説を書きます。僕はまだ十五歳(投稿時)で未熟で文も拙いと思いますがよろしくお願いします。できるだけ早めに続編を出していきたいと思います。少しでもこの物語を読んでくださった読者様、心から感謝申し上げます。これからよろしくお願いします。もしよろしければ感想などを書いて頂けると幸いです。


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