第六章
―私がまだ、幼かった頃・・・・
私も中で、最も温かい記憶・・・・
私の傍には、いつも私と同い年の少女がいた。
名前は、どうやっても思い出せない。
その少女は、いつもとても楽しそうに笑って、私を迎えてくれた。
そしてそれは、今も―・・・
「千羅、どどどどうしたのっ!?」
もの凄く驚いた表情でことりが問いかける。
「・・・・ことり、私はお前に言わなくてはならないことがある」
真剣な表情で千羅は言った。ことりは困ったような顔をしたが、すぐににっこりと微笑んだ。
「うん。聞くよ。なぁに?」
「本当かどうかは分からない。飽くまで仮定だからな」
「うん」
ことりにしっかりと念を押すと、千羅は話し出し始めた。
「・・・・お前は、もしかしたら、私と同じ“地球”から来た人間かも知れない」
「えっ・・・?意味が、良く分からない。地球って、何・・・?」
ことりは何とか言葉を口にしている。
「アルタに隠された歴史・・・・。誰も気づかないし、必要としていない過去・・・・。それを今からお前に話そう」
千羅は記録を読み上げるように、淀みなく話し出す。
「今から約百年前、この惑星は、“アルタ”ではなく、他の名前で呼ばれていた。それが“地球”だ。私は昔のお前を知っている。お前は私と同じ、過去から来た人間だ」
「過去・・・・・」
ことりが千羅の言葉を反芻する。
「お前は、謎の竜巻に攫われたんだ。そして、助けようとした私も一緒に巻き込まれた。そうして辿り着いたのが、ここだ」
「たつ・・・まき・・・・・・・」
ことりは無表情で小さく呟いた。
「なん・・・だろ・・・竜、巻・・・・・」
―カッ!!
突然千羅の体が光り輝き、体の内から透明なクリスタルが現れた。
「何だ、これは?!」
「おいで・・・私の、キオク・・・・・」
見えない何かに引っ張られているかのようにことりはクリスタルに向かってフラフラと歩き出した。
―ぱあぁぁぁぁあ
クリスタルが消え、ことりが前に倒れこんだ。千羅がしっかりとことりを受け止める。
『千羅君っ一緒に遊ぼうよ!』
『こっちに来ては駄目!貴方まで巻き込まれてしまう!!』
あの時、竜巻に飲まれる直前、小さな女のコはそう言っていた。
『僕は君を助ける!』
必死だった。少女の悲痛な叫びも聞こえず、竜巻に立ち向かって行った。
『千羅君ーーーーー!!!!!!!』
その後はもうずっと、離れ離れだった。
あの時の少女とまた出会い、一緒にいられることは、千羅にとって、とても幸せなことだった。
喩えその少女が自分のことを忘れていても・・・・。
こんばんは☆最近重要な事を沢山お話しなくてはならないので内容が短くなりつつあります。申し訳御座いません(。。;)第六章、千羅とことりの秘密の一つが明かされております。もしかしたらコレが一番重要な秘密かな?でも、そんなこともないこも。。
とにかく、皆様に楽しんで頂ければ幸いです。