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第五回 一行、武昭山へ道をとること (逃亡編⑤)

これは複数の歴史小説を読んでそれをもとに考えた作品ですが、決して史実ではありません。混合なさらないでください。また同じく登場人物においても実在の人物ではありません。(モデルとなる人物はいる場合がございます。)


また、これを書くもとになった小説とは別物であり、それが考えるもとになっているのであって決して二次創作物ではありません。


日本人と中国人の言葉が通じる、という独自の設定をご理解ください。


李秀(り しゅう)の家が近づいてくる。新たに燕玄(えん げん)が加わり、九人になった一行はその燕玄を先頭に北へ進む。


燕玄と会ってから呼延恒(こえん こう)は落ち込んでいる。彼の言葉から、前回の勘違いが生じたからだ。しかし李秀の家が近づくにつれだんだん呼延恒の顔も上ってきた。一行は急ぐ。


突然、牛邦(ぎゅう ほう)が立ち止まった。

「おい、張恭(きょう ちょう)王弘(おう こう)、あそこ!」


張恭と王弘は振り返って牛邦の指差す方向を見た。山が見える。

「ああ、武昭山じゃないか。懐かしいな。」


今はもう、皆三十を過ぎたがまだ二十歳にもなっていなかっただろうか。牛・張・王の三人は岳政、湯盈を加えた五人で武挙(中国の武官選考試験。文官選考試験は科挙と呼ばれる。)を受け、賄賂による不正な合格わ狙ったもののおかげで不合格となったことがある。

その後、性格が穏やかならぬ牛邦ら三人は同じ会場で武挙を受け、同じく不合格になっていた「施荘(し そう)吉隆(きつ りゅう)梁保(りょう ほう)趙志(ちょう し)周弁(しゅう べん)の四人と共にその武昭山に立て籠もったのである。

それも、山賊になるのを嫌がった岳政と湯盈の諌めを無視してである。それによってしばらく五人は不仲になっていたのだが・・・


余談はさておき牛邦らが武昭山を眺めていると、二人の馬に乗った男が一行の近くを通り過ぎ、武昭山の方向に向かっていく。よく見れば宋の人間のようだ。

「なぜ、こんな所に?あれは確かに漢人だ。馬に乗っているのでどこかの軍の者だろう。しかしここは金領だ。そうか、金に降った宋将か。」と燕玄が言うと、


「なんだと。宋の人間のくせに敵国に降るとは憎い奴だ。」と牛邦。


すると湯盈はしこし考えてながらつぶやいた。

「今の漢人・・・・・岳公子に似ている。」


「ほんとだほんとだ。どこかで見たことがあると思ったら岳叡(がく えい)に似ているじゃないか!」と牛邦もはしゃぐ。


その男は、服もかなり汚れていて、まるで何かから逃れるように顔を伏せながら通り過ぎたのである。


「公子なら宋の者に見つかっても捕まるし、金のものに見つかっても宋将として知れてるから捕まるだろう。逃げていても、身を伏せていてもおかしくない。もう一人の者は顔が完全に隠れていて見えなかったが。」と湯盈。


先ほどから公子とか岳叡とか言っているが、一体これは誰なのか?

岳政の息子である。父親に似て武勇に優れ、兵を指揮するのも上手かったのに23歳という若年で追われる身になっているのである。


「ならなんで岳叡は武昭山の方に向かっているんだ?もう一人の奴は誰なんだ?武昭山に知り合いがいるとは思えんし。俺が武昭山にいたなら武昭山に向かっていてもおかしくないが。」とあの牛邦でさえ疑問に思っている。


「私は岳叡殿に会ったことはないが、」と燕玄は言いさらにこう続けた。

「あの方が岳叡殿という確信はないようだが、もしそれが本当に岳叡殿ならかなり危険だ。」


皆、燕玄の言葉に「それもそうだ」と思い、彼を追おう!という意見にまとまった。


さて一行が武昭山へ道をとり、その先どうなるのかは次回のお楽しみ。


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