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第四回 燕玄、一行に加わること (逃亡編④)

これは複数の歴史小説を読んでそれをもとに考えた作品ですが、決して史実ではありません。混合なさらないでください。また同じく登場人物においても実在の人物ではありません。(モデルとなる人物はいる場合がございます。)


また、これを書くもとになった小説とは別物であり、それが考えるもとになっているのであって決して二次創作物ではありません。


日本人と中国人の言葉が通じる、という独自の設定をご理解ください。

湯盈一行は

「昔の高恵山の兄弟(高恵山に立て籠もった好漢たちは互いに兄弟と呼び合っていた)が高恵山に来る以前にいた、文景湖(ぶんけいこ)に戻っているかもしれない。」

という呼延恒の言を聞き、北に道をとった。


金国兵に見つからないようどんどん北へ進み、文景湖のある山東半島に近づいた時、頭領らしい男を先頭に山賊が襲い掛かってきた。

「ああっ、多勢に無勢。もはやこれまでかっ!」


しかし、その頭領らしき男は、いきなり何かに気づいた様子で、手下をその場に留めて一人で湯盈達に近づいてきた。


そして山賊は呼延恒の顔を確かめると、

「呼延恒将軍ではございませぬか!」と叫び、

呼延恒の方も「おお、これは燕玄(えん げん)じゃないか」と相手のことをわかったようだ。


一体この燕玄という男は誰なのだろうか?湯盈が燕玄に直接尋ねると、


「私は、高恵山の生き残りです。方徹征伐が終わった時に、高恵山に入る前からの主人である呂盆子(ろ ぼんし)(大商人だった盆子には使用人が沢山いて、燕玄は一番気に入られていた)に向かって私は、

『朝廷に入り官職に就くことは、奸臣の手という災いに自ら入っていくことであり、貴方の身の滅亡を意味します。柴昧殿もそう申しております。どうか私と北京大名府に戻り、のんびり余生を過ごしましょう。』

と官職に就くことを諌めたのです。

ところがもともと自信家だった主人は、高恵山に登って数々の敵を倒したことで余計強気になってしまい、私の諌めを聞きませんでした。

そして案の定、主人は高述(こう じゅつ)という奸臣の手にかかり水銀を盛られて殺されました。その高述は、開封(北宋の首都)まで金軍が押し寄せ、陥落されそうになった時に失脚し、流刑になる道中、いま台湾にいる李嬰斉(り えいせい)によって殺されました。

しかし私は他の奸臣もゆるせず、それを討ちたい気持ちはあったのですがどうしようもなく、奸臣の手から逃れるようにこの宣元山という山に篭っていたのです。」


と燕玄は話し、湯盈もこれまでのいきさつを話した。


そして「この先にある文景湖にいる元高恵山の者を誘いに行く。」と話したところ、燕玄は


「そりゃ無理というものです。彼らにこの話をすれば確かに仲間になってくれるでしょう。ところが彼らの勢力が増してきた時、金軍が討伐に来て文景湖の近くに陣取っています。あんなところに行ったら貴方達は全滅です。」と言った。


「それは残念です。それなら貴方だけでも私たちについてきませんか?」と湯盈が誘うと、


「行ってもいいのだが、海を渡る準備は出来てるんだろうな?」と燕玄。


「もちろん!」と言い、湯盈が柴昧から金を借りた話をしたのだがその時に、


「みろよ、こんな大金だぜ。柴昧って太っ腹な奴だな。」と言って牛邦が借りた金を燕玄に見せた。すると燕玄、


「ちょっと、全然準備になってないじゃないか。これだけの金で日本へ渡れると思っておられるのか?しかし柴昧殿は気前のいい御方だ。ちゃんと「これこれに使うお金を・・・」と頼めばそれに必要なお金を貸してくれるはずさ。これでは食料などは何とかなっても船を手に入れられないじゃないか。いったいなんと頼んだんだ?」


「頼んだのはわしだ。日本に渡れる分の金を、と頼んだんだ。もっと具体的に言えばよかった・・・」と呼延恒。これが前回言った問題である。


「そうか。柴昧殿は、船はあるから渡航に必要な食料などを手に入れるためのお金を貸して欲しいのだと勘違いしたんだ。」

「でも大丈夫。いい考えが浮かんだよ。仲間になるからもうちょっと北に道をとってくれないか?」と燕玄。


このままでは日本へ渡れないため、湯盈はもちろん承知した。


一行は北に向かいながら

「でも北に行ってどうするんだ?」と呼延恒が尋ねると


「他の人に金を借りるのさ。将軍、覚えていらっしゃるだろう?高恵山では柴昧殿と組んで金銭糧秣の管理責任者をやっていた、済州の地主さ。」と燕玄は答えた。するとすぐさま呼延恒は、


李秀(り しゅう)殿か!」と呼延恒。「そうか彼なら柴昧といい勝負の富豪だ。」


というわけで皆、それはいい考えと手を打ち、北へ急いだ。


はたして無事日本へ渡れるのか?金軍から、奸臣から逃れ李秀の屋敷へ急ぐ彼らのこの先が気になる方は、次回をお楽しみに。


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