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第二回 高恵山の好漢、官将呼延恒のこと (逃亡編②)

これは複数の歴史小説を読んでそれをもとに考えた作品ですが、決して史実ではありません。混合なさらないでください。また同じく登場人物においても実在の人物ではありません。(モデルとなる人物はいる場合がございます。)


また、これを書くもとになった小説とは別物であり、それが考えるもとになっているのであって決して二次創作物ではありません。


日本人と中国人の言葉が通じる、という独自の設定をご理解ください。


4人の男が近づいてくる。遠くから見たところ官軍の鎧を着た50すぎぐらい威厳ある男と、その息子らしき者が3人である。一体誰だろうか?


「官軍じゃねえか!どうせ奸臣(秦胡亥)の手の者だろう。くそ、こうなったらあいつらをあの世へ送ってやる!」と牛邦が言い、4人が武器を手に取ったとき、


「おーい、貴公らは岳家軍のものだろぅ?」と50すぎの将が叫んだ。張恭・王弘・牛邦はまだ武器を放さない。しかし、さすがと言うべきか、賢い湯盈は気づいた。「呼延恒(こえんこう)将軍ではありませんか!」

「呼延恒将軍だと?」牛邦らも分かった様だ。


この男は誰かというと、元・山賊である。宋啓(そうけい)を首領として高恵山(こうけいざん)に立て籠もり、官軍と戦った後、朝廷の招安をうけて、賊としては最大勢力だった方徹(ほうてつ)を多くの戦死者・病死者を出しながらも討伐した山賊の生き残りである。



「よくわしと分かられたな。分からなくても当然だ。なんせ南京応天府で一度会ったきりだからな。」と呼延恒。

方徹征伐から帰って高恵山軍が解散してから、彼は息子と共に官軍に戻って金国との戦いに参加していたので、岳家軍のことをしっていて、岳政にも好意的に接してくれていたのだ。


湯盈が問う。「では、そちらの三人が御子息ですか?」すると、


「いやいや、1人はわしの息子だがあとの二人は別だよ。この双鞭(打撃用の武器の名前)を持っているのが息子の呼延賀(こえんが)だ。」


「そして金鎗槍(何かを引っ掛けられるような鈎鎌鎗という槍)を持つのが方徹征伐で戦死した徐弗陵(じょふつりょう)の息子で徐欣(じょきん)という。武器は父親譲りだ。」


「あとの一人は我らが高恵山の首領だった宋啓殿の弟、宋嬰の息子で宋侘(そうた)という。彼は、開封(元々、宋の国の首都があったところ)を占領した金軍に連行されそうになっていたので救ってきたのだ。武勇には優れぬがなかなか学識があるぞ。」と呼延恒は息子たちの紹介をした。


「息子たちの紹介はいいのだが、貴公らは気の毒だなぁ。一体これからどうするのだ?」


そんなとき牛邦が宋侘に話しかけていた。

  「お前、親父も伯父も死んじまったんだな。残念だな。」


牛邦の言葉に湯盈が怒った。「牛邦言葉も選べぬのか!」


しかしそんなことは気にせず宋侘は「いやいや、父さんは死んでませんよ。なくなったのは伯父だけです。奸臣に暗殺されたのです。」と答える。


疑問に思った湯盈は尋ねた。「なら、なんで親父さんは君と行動を共にしないのか?」


「父さんはもう郷里を出ませんよ。方徹征伐の後は官職を辞し、郷里で田畑を耕しています。柴昧(さいまい)さんのように」との宋侘の言葉。


「なにっ!今、柴昧殿と言ったか?」湯盈は驚いた。良い考えが浮かんだのだ。


「湯盈どの柴昧がどうかしましたか?」と呼延恒が問えば、


湯盈は嬉しそうに確かめた。「柴昧とは高恵山軍にいた大富豪の柴昧どのですな。」


「そうだが・・・」


柴昧とは 北宋の前代の王朝である後周の最後の皇帝・世宗の末裔で滄州に広大な邸宅をもっていた。


湯盈は思いついた良い考えを言った。「将軍、私たちは日本に渡り力を蓄えて奸臣を討とうと考えたんです。しかし、お金がありませんでした。それを柴昧殿に借りるのです!」


これに呼延恒は驚きかつ喜んで、「なにっ!日本にわたられるのか。それなら私も連れて行ってくれ。李嬰斉(りえいせい・これも高恵山の水軍の総帥)らが台湾に渡っていると聞き羨ましくおもっていたところじゃ。もうあんな朝廷に未練はない。さっさと海を渡ろう!」とせかした。


「しかし、それなら李嬰斉を追って台湾へ渡られた方が・・・」

嬉しかったのだが湯盈は呼延恒が自分たちと行動を共にすれば後々彼が後悔すると思ったのである。


「甘い、台湾に渡ったぐらいで奸臣を倒す力が蓄えられるか?無理だろ。だから日本へ渡るのだ。」との呼延恒の意見に


「そこまで言われるなら・・・共に行きましょう!」と湯盈はうなずいた。




こうして、新たに4人の仲間が加わった。しかし、まだ海を渡るまでの道は遠い。この先どんな風に物語が展開するのか?それは次回のお楽しみ。


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