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go the west

ワシントンDCの朝靄の中。

ロイたち6人は、サルベージャーズギルドの重厚な鉄の扉の前に立っていた。


「さて、いよいよだな……」

グースが背負った巨大なバックパックを調整しながら呟く。


ギルド――それは、サルベージャーたちの拠点であり、情報と物資の交換所である。

ここで仕事の依頼を受け、装備の整備を行い、経験豊富なベテランたちから知恵を授かる。

初めて任務に出る彼らにとって、まさに成人の門出とも言える場所だった。


ギルド内は、今日も活気に満ちていた。

壁には“危険区域マップ”や“未回収データセンターリスト”が貼られ、カウンターでは粗野な男たちが酒をあおりながら笑っている。

しかし、その笑顔の奥には幾多の仲間を失った影が滲んでいた。


カウンターに立つギルドマスター、白髪混じりの大男バーンズが彼らに声をかける。


「おう、お前たちか。“ロイ隊”だな」


「は、はいっ!バーンズおじさん!僕たち、今日から正式に旅立ちます!」

ロイが緊張しながらも胸を張る。


バーンズは鼻を鳴らし、彼らを順に見やる。

「フン、ひょろっ子に能天気野郎、筋肉バカに鉄の盾持ち……それに色男と機械オタクか。まるで寄せ集めだな」


「ひでぇ言いようだな!」クレイグが笑って返す。

「でも寄せ集めでも、最高のチームになるんだぜ?」


バーンズは口元を緩め、カウンターに地図を広げた。

そこには西へと伸びる一本の道――ルート66が赤くマーカーされていた。


「日本に行きたいなら大きな目標は西だ。ここ、サンフランシスコから海を渡るのが一番安全だ。その為にはルート66を通る事になるが、ここからだと一度北上しなきゃならん。……そこまでは魔境だから覚悟しておけ。」


彼は指で地図をなぞり、険しい表情になる。

「シストゾンビはもちろんだが、感染した野生動物、シストから産まれたバケモンがウヨウヨいやがる。一歩間違えば、お前らも欲望に食い潰されるだろうよ」


場が一瞬、静まり返る。


だがロイは、拳を握りしめて言った。

「……それでも行きます。僕たちには、守るべき夢があるんです」


バーンズは数秒、じっとロイを見つめた。

やがて豪快に笑い声をあげる。

「ハハハッ!言うじゃねぇか!男のみる夢は皆同じだけどな!!よし、なら特別に俺から手ほどきをしてやる」


バーンズが取り出したのは――古びた外付けハードディスクだった。


「これは俺が若い頃にサルベージした宝だ。中身は……“伝説級のエロ動画”だ」


「な、なんだってぇぇぇぇ!!」

チーム全員の目が輝く。


バーンズはニヤリと笑い、ディスクを掲げた。

「ただし、これはまだ見せん。お前らがまず、ルート66の開始地点であるシカゴにたどり着いたら連絡を寄越せ、その褒美としてコピーを送信してやる。シカゴはこことの光回線がまだ生きてるからな。」


「うおおおおお!!」

トッドが拳を振り上げ、ハルも珍しく「やる気出てきた」と呟く。



こうして、彼らの最初の目標は定まった。

――シカゴからのルート66を突破し、サンフランシスコを目指すこと。

その果てに、日本行き、そしてその先に“伝説のデータ”が待っている。


ロイは仲間たちを振り返り、宣言した。

「行こう、みんな!俺たちのサルベージャーとしての冒険が、今始まるんだ!」


仲間たちの声が重なる。

「おうっ!!」


ギルドの扉を押し開け、彼らは西へと歩みを進めた――。

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