見てみたい?
「ほら、会ってからまだ数時間しか経ってないのに、好きになるなんて無理があるって――」
そう言いかけた瞬間、ケヴィンはミスを犯した。
――彼女を見てしまったのだ。
途端に血が顔に一気に上った。
なんとか視線を逸らそうとした。目の前の絨毯に座っているこの魅惑的な女の子から目を逸らし、意識を保たなければならない。じゃないと、また気を失ってしまいそうだった。それだけは避けたかった。本当に、マズい。
視線を必死に彷徨わせていたそのとき、ふと目に入ったのは――彼女の体を巻くように、膝の上に置かれていたふたつの赤い毛並みの何かだった。白い先端のある、ふわふわしたそれは、彼女の秘所をちょうど隠すように位置している。
興味が勝った。
「それ、何?」
「ん?」
リリアンは小首をかしげた。「何のこと?」
「それだよ」
ケヴィンは彼女の膝にある赤い物体を指差した。「それ、何なんだ?」
リリアンは指の先を見て、あっと声を上げた。
「ああ、私の尻尾のことね」
ケヴィンは呟いた。「尻尾……?」
確かに、そう見えた。大きくて、ふさふさしていて、赤くて、先端は白い。まるでキツネの尻尾を大きくしたような感じだった。
――ていうか、あのキツネはどこに行ったんだ?
リリアンは顔を上げ、にっこりと微笑んだ。
「見てみたい?」
「いや、別に――」と言う間もなく、彼女はすでに動き出していた。
両手をついて四つん這いになると、ゆっくりと背中をこちらに向けるリリアン。ケヴィンの目の前に、またもや衝撃の光景が現れた。
彼女の裸の背中、そして……
目を見開き、瞳孔が拡がる。血が頬に集まり、呼吸が荒くなる。完璧なボディラインがまたもや視界を支配した。
華奢な肩から背中へと続く滑らかなライン。それが腰のくびれへと流れ、やがて引き締まった桃のような形のヒップへと繋がる――エリックが見たら確実にヨダレを垂らしていただろう。
(なんでこの子、全身がここまでセクシーなんだよ……!?)
視線を逸らそうとしたケヴィンだったが、ようやく彼女の言っていた「尻尾」に目がいった。
引き締まったお尻の少し上、尾てい骨のあたりから生えているふたつの赤いふさふさした尻尾――しかも、根元からしっかり生えている。
(尻尾……本当に……尻尾……)
リリアンはゆっくりと身体を元に戻し、正座のように足をたたんで座りなおした。
「尻尾……ほんとに……」ケヴィンは呆然と呟いた。「君、尻尾生えてる……」




