その唇からこぼれた言葉
こんにちは!ブランダンです!
実はもう一つ別のシリーズも書いています!
『最強の戦士、家族を奪われ過去へ――そして未来を変える』という、タイムトラベルをテーマにした壮大なファンタジー小説です。
もし興味がありましたら、そちらもぜひ読んでみてください!
この作品も楽しんでもらえたら嬉しいです!
人生が変わる瞬間って、あるだろうか?
何年経っても忘れられない、あの運命的な出来事――。
たった一つの出会いが、俺の人生をひっくり返したんだ。
ケビンは床に座り込み、手を後ろについて体を支えていた。
目の前の“彼女”を見上げながら、呆然とし、ショックを受け、まさにパニック寸前だった。
彼女は、まるで炎のカーテンのように揺れる髪の下から彼を見下ろしていた。
午後の太陽に照らされたその髪は、燃えるような鮮やかな赤。キラキラと輝いていた。
「……美しい。」
それしか言葉が浮かばなかった。いや、その言葉すら、彼女の美しさを語るにはあまりに足りなかった。
髪だけじゃない。彼女自身の存在すべてが、まるで現実離れしていた。
――俺にも、そんな出会いがあった。
ずいぶん昔のことだが、今でも忘れられない。
いろんなことがあったけど、あの瞬間だけは、今でもはっきり覚えてる。
あれが、すべての始まりだった。
彼女の姿は、天使が嫉妬するほど神々しかった。
太ももまで届く長い赤髪。
息を呑むような鮮やかなエメラルド色の瞳が、喜びに輝きながら俺を見つめてくる。
形の良い唇――血のように紅くて、男なら誰もが一度はキスしてみたいと思うような唇が、楽しげに弧を描いていた。
そして何より、悪魔が「色欲」を形にしたような完璧なボディ。
視線を向けるだけで、意識が飛びそうになるほどだった。
――どんな未来が待っていようと、俺たちの最初の出会いだけは、一生忘れない。
そのキューピッドの弓のような唇が、ゆっくりと開いた。
そして、あの魅惑的な口から放たれたのは――たった一言。
それなのに、甘さが限界突破していて、ケビンは「これはアニメか?」と錯覚するほどだった。
まるで、恋するヒロインが主人公に一目惚れするラブコメみたいに――。
……というのも、この物語の始まりで、俺は彼女のことをただの普通のキツネだと思ってたからだ。
――いや、尻尾が二本もある、ちょっと変わった赤いキツネ、だけどな。
「……愛しい人……」
人生ってやつは、不意打ちでやってくる。