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こよりハーレム

ドキドキが止まらない。


私の体はどうなってしまったのだろう。この子が欲しい。この子が好きだ。わたしのすべてを捧げたい。


こよりちゃん

こよりちゃん

こよりちゃん


おかしいの。わたし女の子に恋しちゃってるの。変なの。おかしいのはわかってる。でも我慢できないの。


わたしは笹飾ささがざりねがい。中学三年生の図書委員。本が好きで目立たない普通の女の子。胸は大きいけれど女子校でメリットは少ない。


そんなときトラブルに巻き込まれた。図書室で騒ぐ拳法部の部員をわたしが注意したのだ。それから彼女たちに難癖イチャモンをつけられるようになった。旧校舎のトイレに呼び出されて何度かお金を恐喝カツアゲされた。


今日も呼び出されたがもう限界だった。ボコボコにされる覚悟で立ち向かおうとしたときに天使が現れた。


トイレの天使って笑えるけれど。


その天使はあっという間に拳法部の三人をやっつけてくれた。かっこよかった。会話からして性転換者トランスレーターらしい。


授業では決してトランスレーターと二人きりになってはいけないと教えられた。元男性の彼らは性転換時に特殊なフェロモンを発生させる異能力を手に入れる。


そのフェロモンを嗅ぐと女はメロメロのエロエロになってしまうらしい。


遅かった。五分もしないうちにわたしの心は完全に支配されていた。


ぷはっ


「ねがいちゃん!しっかりして!!」

「!!」

「よかった」

「あ、わたし」

「ごめん。ボクのせいだ」

「わたしも油断してたわ。ごめんなさい」

「ボクはいいよ。ファーストキスだったけど」

「それはわたしもだけど・・・」


「「ごめんなさい!!」」


二人で同時に頭をさげる。これは事故。それに身体的にはお互い女。普通ならノーカンだ。わたしのファーストキスは事故で消えたけれど、こんなかわいい子との事故ならば悪くないと心から思えた。


ありがとう天使さん。わたしを助けてくれて。


でもキックしたときにスカートからかわいい黒のスパッツが丸見えだったけどね。


「「「すんませんした!!」」」


旧校舎の女子トイレ前でねがいちゃんと別れたボクは教室に戻る。教室の前では土下座三人衆が土下座していた。


あ、さっきトイレで瞬殺しゅんころした拳法部の主将と不良部員のA子とB子の三人ね。


「全中優勝の神人さんに失礼な口を聞きました!」

「どうか許してください!」

「あなたの性奴隷ペットになれというのなら喜んでなります!」


ちょっ。


これどんな嫌がらせ。クラスのみんなの視線が痛い。はぁ~とため息をつく。


「とりあえず立て」

「「「イエス!マム!!」」」


三人が勢いよく立ち上がる。軍隊かっ。


「ねがいちゃんに謝れ。カツアゲした金はすべて返せ」

「「「イエッサー」」」


ほんとそれ、やめて。


「それで許す。これからは自分より弱い人間にこぶしを向けるな」

「「「サー、イエッサー!!」」」

「さっさと出てけ!!」


三人が軍隊のように縦に並んで教室を出ていく。ふと思い出したように拳法部の主将が顔を出す。


「性奴隷になる件はどうしましょう」

「いらん!!」


クラスメイトからの視線が痛い。ちくちく刺さる。みな完全に怯えていた。


そりゃそうだ。おそらく奴はこの学校を暴力で支配していたトップだろう。それを転校初日の半日で締めたのだから。


いまは何を言っても信用されないだろうなぁ。


そのときだった。後ろから声をかけられた。


「あの!!」

「キミは」

「今朝は電車で痴漢から助けてくださり、本当にありがとうございました!!」


朝の女の子だった。そういえば同じ制服を着ていたっけ。


「わたしは七夕短冊たなばたたんざくと申します」

「ボクは神人かみとこよりだよ」

「こより様」


様??


この子もしかしていいところのお嬢様なのかな。


短冊ちゃんは少し考えていたが、意を決したのだろう。目に強い意思をこめてボクの目をまっすぐ見てこう言った。


「こより様。短冊はあなたと添い遂げとうございます」

「へっ」


時は令和七年。いつのまにかボクは戦国時代にでもタイムスリップしていたらしい。


それよりもボクたち女の子どうしだよ。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


キーンコーンカーンコーン


終礼のチャイムが鳴る。わたしは神人かみとおりがみ。妹が通う第三女子中学に隣接する第三女子高等学校の一年生。


妹と一緒に帰宅するために正門で待っていた。遠くから妹の姿が見える。間違いない。わたしのシスター・アイは数キロ先のこよりを見つけられる。


そのシスター・アイが妹以外の異物を発見した。それも三つ。これはまったくの予想外だった。


確かに性転換者トランスレーターの媚薬のような効果をもつフェロモンのことは聞いていた。まさかこれほどとは。


妹が歩いてくる。とても歩きにくそうに。妹の右手にはおさげが似合うわたしよりも胸の大きな子が。左手には今朝、電車で痴漢から助けた女の子がひっついていた。


どちらも手は恋人繋ぎで。


そして後ろにはこよりのカバンを大切に抱えた拳法部の主将がこよりの影を踏まないよう三歩下がって付き従っていたのだ。


やりやがった。こいつ、やりやがった。


妹が転校初日からハーレムを築いたことを知る姉だった。

はい異世界シニアです。


ヤバいです。こより無双が止まりません。止める気もありません。


いつか強制的にR15つけられたらやだなあ。


転校初日からやらかしてくれました。こよりナイスです。


媚薬フェロモンもヤバいですね☆


さて次回は久しぶりの百合崎百合ちゃんが登場します。


こよりセカンド・ラブ。


おもしろかっこいいぜ!!


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