こよりファーストデイズ
不覚。
民間といえど、要人を警護する重要な任務の途中で気を失ってしまうとは。
わたしは牽牛ひこぼし。帝織姫お嬢様の専属警護を任されている。ひこぼしという名前だけど二十五歳の女性だ。
性転換者の神人こより恐るべし。
昼間、あの子に日光浴でクリームを背中に塗ってもらった。あの手が味わえる。その欲望が抑えられなかったのだ。
結論として、わたしは敗北した。つごう三度も逝かされて、しまいには気絶していた。正直、至福の時間だった。またお願いしたいほどに。
いや待て。公私混同してはいけない。わたしは要人警護のSPという仕事に誇りを持っている。それなのに仕事そっちのけで自分が快感を得ることばかり考えてしまっていいのか。
いいわけがない。気を引き締めろ、牽牛ひこぼし。まだ合宿一日目は終わっていない。
まだお風呂と就寝が残っている。
そう、まだお風呂と就寝が残っている。ジュルリ。
カポーン
「わぁ、大きなお風呂!」
「ヒノキのカオリデース」
「お嬢様、こちらへどうぞ」
「ありがとう」
ここは七夕家のプライベートビーチに隣接されている別荘の大浴場。さすが公家の七夕家。合宿の全員が一度に入浴できる大きさがあった。
もちろん織姫様を警護かつお世話するためにわたしも同行する。
織姫様の洗い場を準備する。いつもであれば、お背中をお流しするのもわたしの仕事のひとつだった。
「こより様!よろしくお願いしますわ!」
「は?」
「はーい」
なぜか神人こよりが全員の背中を流すことが当たり前になっていた。なんてうらやまけしからん状態だ。
「じゃあ順番に洗っていくねー」
「あ」
「い」
「う」
「え」
「お」
「は」
「ま」
生徒の七人が瞬殺だった。織姫様を含む全員が一人一分程度でくたっとしていた。
「お嬢様、大丈夫ですか!」
「ハァハァハァ・・大丈夫ですわよ。ひこぼしも洗っていただきなさい」
「え」
「ひこぼしさんも遠慮なくどうぞー」
振り返ると、神人こよりがボディシャンプーをニギニギと手で泡立てていた。
「いや、わたしは自分で洗いますので」
「まぁまぁ」
「ひぃいいい」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「また逝ってしまった。いや、やってしまった」
首と背中と腕しか洗われていないのに、また三度も達してしまったのだ。
このところの欲求不満が一日で解消されていた。お肌が心なしかツヤツヤプルプルしている。性生活の充実って大切だと思い知らされた。
就寝する時間だ。わたしはもちろん織姫様と同衾させていただく。
ガチャ
部屋に入る。
織姫様と短冊様がわたしに向かって土下座をしていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
深夜一時。皆が寝静まっているのを確認して神人こよりの寝室に入る。
鍵は閉まっていなかった。たとえ閉まっていたとしても、ここは七夕家の別荘。七夕家の長女がいれば鍵は意味をなさない。
カチャリ。静かにドアを閉める。
神人こよりは規則正しい寝息を立てている。いまからわたしは神人こよりに夜這いをする。何度も逝かせなければならない。
さきほどの織姫様と短冊様の悲痛な顔を思い出す。
「「お願いします!!」」
「こより様と寝てください」
「あなたに恋人がいることは知っています」
「でも、わたくしたちではとうにもならないんです!」
詳しく話を聞く。神人こよりの異能力は彼の性欲とストレスが溜まることで発現する。みんなを気持ちよくするかわりに、自分はどんどん我慢しなければならなくなる。
だから定期的に性欲とストレスを発散させなければならない。しかし、この場にソレができるのはわたししかいない、というわけだ。
お可哀想な織姫様と短冊様。箱入りだからこそ神人こよりを悦ばすことができないでいる。その方法がわからないのだ。
まあこれが男性相手なら浮気になるので断るところだが、相手は肉体的には女性。しかも神人こよりとなれば話は別だ。
「わかりました。でも一つ条件があります」
「「条件とは」」
「お二人にも参加していただきます」
そう、魚の釣り方がわからなければ誰かが教えてあげればいい。女の歓ぶ場所がわからなければ教えてあげればいい。
なによりも何も知らないお嬢様二人を導くことができる。少し黒い感情が湧いてきたのはここだけの秘密だ。
「「わかりました」」
後ろに二人がついてきていることを確認する。
シュルリ
床にガウンを脱ぎ捨て裸になる。お二人も続く。夜這いに会話は不要だ。相手が起きてしまう。ことに至るまで口を開かないよう、わたしの真似をすることをお二人には約束させた。
ベッドに上がる。あらかじめ配置と順序は決めてある。神人こよりを中心として左右にお二人。足の真ん中にわたしが座る。
ゆっくりと静かにパジャマを脱がせる。月明かりの下でかわいい突起とつるつるな秘部が露わになる。無毛か。これは珍しい。
全裸にすると三人で目配せをする。作戦開始だ。
お二人が交代で寝ている神人こよりと唇を重ねる。二度目からは舌を入れるように教えてある。
もちろんここに来る前にお二人ですべて練習済みだ。
まったく眼福だった。何も知らない箱入りお嬢様二人に性技を教え込むのは。世界広しといえど、経験できる人間は数えるほどしかいないだろう。
「う・・ん」
そろそろ目を覚ましそうだ。お二人の膝を軽く叩く。次の口撃に移る合図だ。
お二人がまだ育ちきっていない蕾を同時に左右から口に含む。舐める、吸う、甘噛みする。この三つの動作を繰り返させる。
短冊様が織姫様が顔を真っ赤にしながら、お互いの蕾をいじりあっていた光景はまだ目に焼きついている。
「うっ」
その時だ。神人こよりの体がビクンと跳ねた。どうやら達したらしい。
「あ・・・誰」
「こより様、織姫です」
「短冊でございます」
「夜分に失礼いたします。ひこぼしです」
「え・・なんで三人が・・・」
「夜這いに伺いました」
「駄目だよ二人とも君たちは穢れちゃいけない・・むっ」
その先を遮るように短冊様が唇をふさぐ。
「こより様。あなたは誤解されています」
「女はいつか穢れるもの。ですが愛する相手と結ばれることは穢れるとはいいません」
「それは女にとって、これ以上ない幸福なのです」
短冊様が唇を離す。
「でもボクには心に決めた人がいます」
「「わかっています!!」」
「それでもお二人はここに来ました。女の決死の覚悟をあなたはドブに捨てますか」
「それは」
「できないのならお二人の好きにさせてあげてください。お願いします」
観念したようだ。わたしもエンジンをかけるか。予備動作もみせずにいきなり無毛地帯を攻める。
ぱくっとな。
「うあっ」
効いてる効いてる。よだれいっぱい垂らしちゃって、やらしい子。あら、この子のよだれ美味しいじゃない。さらに追い打ちをかけてやろう。
ズビズビズバババババ
「おぅ」
どう、この吸引力。伊達に七年も男と付き合ってないんだから。わざと派手に音を立てることで耳からも気持ちよくさせてあげる。
「ズビズビらめぇ」
その間も織姫様、短冊様の同時攻撃は続く。さらに下を攻める。ここも開発済みなら必殺技だ。
ひこぼしスパイラル!!
「スパイラルらめらめぇ」
なんだか楽しくなってきた。さあ、お手本はみせしました。お嬢様たち、朝までたっぷりと時間はございます。
どうぞお楽しみくださいませ。
わたしは帝織姫様専属SPの牽牛ひこぼし。本日も無事に業務を終了できそうだ。
はい異世界シニアです。
ようやく合宿一日目が終わります。
次回こよりトランスレーション。こやりセカンドデイズ。
たたりじゃ〜。