こよりフォーピース
なんてことだ・・・・。
そして、なんて奴だ。わたしが油断しているあいだに妹は野獣先輩に開発されていた。あの天使が堕天使になっていた。黒く染まってしまっていた。
わたしは神人おりがみ。高校一年生。性転換者こよりの姉。弟だったこよりはある日女性に性転換してしまう。妹になったこよりは天使。一目で心を奪われたわたしは天使を堕とすためにあらゆる手を打ってきた。
いっしょにお風呂。
いっしょに就寝。
いっしょに手をつないで登校。
そして夜這い。
そこで焦ったわたしは失敗した。夜這いした妹の「触れた女を一瞬で天国に逝かせる異能力」によって敗北してしまったのだ。
ダブルハンドサンダー。
なんてダサい名前の技に負けたのだろう。けれど心は晴れていた。黒く染まっていたわたしの心はダンブルハンドサンダーによってキレイになっていた。
しかし、こよりのストレスと性欲は解消されていなかった。
ダブルハンドサンダーは暴走し、何の罪もない女性たちにまでその力を発揮しはじめた。原因はわたし。寝ているこよりを半覚醒させたために、妹のストレスは限界にまで達してしまった。
その暴走を文字通り体をつかって食い止めたのが、野獣先輩こと百合崎白百合先生だった。
白百合さんはこよりの恋人、百合ちゃんのお姉さん。いま人気のテレビアニメ「百合の子」の原作者だ。彼女はわたしと同じ真正。こよりを治療という名目で開発しまくり、結果的に暴走は止まった。
しかし妹の恋人を寝取ったことになる。そのあたりは姉妹の話しあいで解決したらしい。
いや、いま重要なのはそこじゃない。わたしの天使が開発されてしまったということだ。あんなこともそんなこともどんなこともされてしまったのだ。
悔しい。口惜しい。ジェラしってしまう。
こうなったら上書きしてやる。わたしの全力でこよりを開発しなおす。百合の世界では知らぬものがいない野獣先輩。相手にとって不足はない。
わたしだって告白してきた女性をほとんど断らずに喰い散らかしてきた神喰い(ゴッド・イーター)の二つ名がある。
勝負だ。
ここは熱海にあるホテルのスイートルーム。部屋付きの露天風呂。誰にも迷惑はかからない。
待っていなさい、こより。
「こよりちゃん座って。体洗ってあげる」
「恥ずかしいよぅ」
「なに言ってるの。女の子どうしじゃない」
「半年前までボク男の子だったんだよ」
「慣れるしかないわね。それは」
ざばー。幼馴染でボクの恋人の百合ちゃんが背中にお湯をかけてくれる。そして肌に傷がつかないようボディシャンプーを両手で泡立てて、手の平でボクの体をヌルヌルと洗い始めてくれた。
「あ」
気持ちがよくてつい声がでてしまう。ヌルリヌルリ。
「ん」「だめ」
いつのまにか百合ちゃんは前も洗ってくれていた。コリコリコリシュコシュコシュコ
「らめ」
ビクン。こよりくんの体が跳ねる。軽く逝ってしまったか。やはりわたしの妹。素質がある。だが、せっかくの機会だ。なによりも百合だけで満足しないからこの小旅行が企画されたことを忘れてはいけない。
「百合。独り占めはよくないな」
「うん。お姉ちゃんもこよりくんを洗う?」
「そうだな。せっかく三人もいるんだ。みんなで洗おうか」
「三人!!」
「どうしたこよりくん。複数プレイは初めてかい」
「そりゃそうですよ!」
「ならば経験しておこうか」
そう言うと白百合さんはボクの唇を唇でふさいだ。すぐに舌がボクの口内をお掃除してくれる。座っているボクはいつのまにか立たされていた。
「お姉ちゃん・・・なんていやらしいキス」
「交代だ百合。こよりくんのお口のお掃除はキミに任す」
「わたしは後ろをもらいます」
「お姉ちゃん!?」
「ならば、わたしは前をもらおう」
「白百合さん!?」
白百合さんがボクのまえに膝をつく。
お姉ちゃんはボクの後ろ。お尻のあたりに膝をついたようだ。
ハムっ
ちろっ
え。前と後ろが同時に洗われはじめた。でもこれは指とか手じゃない。口だ。厳密にいえば舌だ。ボクの体のなかに舌が浸入してきた。
上も前も後ろもすべてに。
そのあとのことはよく覚えていない。ボクはうわごとのように何か口にしていたらしい。その口も百合ちゃんによってずっと塞がれていたのだけれど。
そこきたない
ドリルそれドリル
くぱぁいやぁ
すわないでぇ
もれちゃうう
きちゃうなんかきちゃう
あああああああああああああ
ボクは立ったまま三人に口撃され、かぞえ切れないほど果て続ける。やめてといってもとまることのない快感に身を任せるしかなかった。
気が付くといつのまにかガウンを着せられてベッドで寝ていた。
時刻は午後五時半。ディナーバイキングの時間が迫っていた。
はい異世界シニアです。
フォーピースです。フォーピーです。4ピーです。
なんて凄い。いくらこよりくんでも太刀打ちできません。
まだ夜になってもいないのに。
次回こよりトランスレーション。こよりアウェイキング。
ダテにあの世は見てねぇぜ!




