こよりショートトリップ
バシン
油断していたら意識を失うほどの快感が全身をかけめぐる。ほどなく、わたしの太ももから透明な液体が一筋。ツーっと流れていく。
経験したことはないが、スタンガンで撃たれた人間もこうなるのではないか。
これはよくない兆候だ。あまりに気持ちよすぎて握手した手にも力が入らない。
「ありがとう。もう手を離してくれていい」
「どうでした、先生」
「ハッキリ言って、よくないね」
「え」
「キミのハンドパワーは暴発寸前だ」
「やっぱり」
今朝、姉と手を繋いで登校した。いつもなら嬉しそうな姉の顔が今日はとても辛そうだった。まるで何かを我慢しているような、何かを耐えているような顔をしていた。
そこで昼休み、先生にライムで相談した。放課後、事務所へ来るようにと先生からライムの返信がすぐに届いた。
そして今。先生の事務所でボクは先生と握手をしていた。
「また溜まっちゃったのかなぁ」
ボクは神人こより。奇病で男性から女性に性転換した中学三年生。
性欲やストレスが溜まると「触れた女性を強制的に天国へ逝かせる」異能力が発現する。きっとお姉ちゃんが苦しそうにしていたのはそれが原因だ。
「まあ治療すればいいだけだ。落ち込むことはない」
「先生・・・」
ボクを慈愛のこもった目でやさしくなぐさめてくれるこの人は野獣先生。
TVアニメ「百合の子」の原作者で、ボクの治療をいつもしてくれる恋人のお姉さん。本名は百合崎白百合さん。
「まったく百合は何をしている」
「恋人の性欲処理は百合の仕事だろうに」
「すみません」
「いやいや。妹の不始末は姉の責任でもある」
「そんな」
ボクは以前、先生に治療をしてもらっている。その時に告白された。妹と別れてわたしと付き合わないか、と。
まだその返事は保留させてもらっている。返事は決まっているが、先生が伝えさせてくれないのだ。
その後は恋人の百合ちゃんに性欲処理をしてもらっている。それでも足りないのか、ストレスが知らずに溜まっているのか。
「簡易的になるが、さっそく治療を開始しよう」
「お手数をおかけします」
「いいよ。愛するキミのためだ」
「!!」
ジュンとした。いま確実にボクの下着は濡れている。とうぜん先生は見抜いているだろう。お漏らししたみたいで恥ずかしい気持ちになる。
「なにも恥ずかしいことじゃないさ」
「ほら、わたしももう大洪水だ」
そう言って自分の太ももを指さす先生。ボクを抱きしめたあと、大人のベロチューをしてくれた。
「こよりくん」
「先生」
ガロロロロロロロ
新東名高速道路を真っ赤な猛牛が爆走する。たしか四人乗りのウラヌスは三千万円以上するスーパーSUVだ。
「うるさい車で申し訳ないね」
「いえ、本日はお招きありがとうございます。先生」
「四人で出かけるのって初めてだね」
「うん楽しみだね。百合ちゃん」
わたしは百合崎白百合。人呼んで野獣先生。本当は野獣先輩だけど、なぜか神人姉妹には先生と呼ばれていた。こよりくんは精神的に距離をあけようとしてるフシがあるけれど。
今回はこよりくんのストレス解消のために熱海への小旅行を提案した。
メンバーは百合崎姉妹と神人姉妹の四人。全員が女としてこよりくんを愛する最強のメンバーだ。そして全員、こよりくんと寝ている。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
午前十時には熱海に到着。宿泊するホテルに車をとめて熱海市内を四人で観光した。
熱海港でキレイな海をみて、熱海駅周辺の商店街でショッピング。美味しい海産物も食べる。ロープウェイでお城にも行った。秘宝館は年齢制限で入れなかったけれど、先生は入りたそうだった。
それにしてもどこに行ってもボクたちは注目された。読者モデルをしているボクたち姉妹は仕方ないけど、先生はキレイだし、恋人の百合ちゃんもかわいいからだ。
「こよりくん、こっち見て!」
「うわぁ、かわいいね」
手をつないではしゃぐ若い恋人たちを暖かく見守る。スれてしまったわたしにはとても真似はできなかった。
「これが少しでもストレス解消になればいいが」
「妹のために申し訳ありません」
「気にしないで。見返りは十分にもらってるから」
「ありがとうございます」
こよりくんの姉おりがみさんは変わった。雰囲気が柔らかくなった。以前は抜き身の刀だったのに今はペーパーナイフだ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
カポーン
午後三時。ボクたちは熱海のホテルにチェックインした。
最上階のスイートルームから見下ろす熱海の街と海は絶景だった。なんと部屋に露天風呂まである。
「ディナーバイキングは六時。それまでに一度、汗をながしておこう」
「はぁい」
さっそく百合とこよりくんが服を脱ぎだす。お互いもう慣れたものだ。わたしなんてまだドキドキするのに。
「かわいい蕾だ」
「かわいいだけでなく、あの弾力がたまりませんよね」
「ああ、あの蕾は絶品だ」
「舐めてよし、吸ってよし、摘んでよし」
「美味しいんだよねぇ」
「ええ本当に」
とつぜん姉同士のワイ談がはじまる。もちろん主役はこよりくんだ。
「そういえば知ってるかい」
「なんでしょうか」
「お尻も性感帯なんだよ、あの子」
「なんですって!?」
おおクールさが崩れたぞ。よほど悔しいのだろう。グギギという歯ぎしりが聞こえてきそうだ。
「それは姉として確認しておかなければなりませんね」
「わたしも久しぶりに味わいたくなってきたよ」
ニヤリ。二人のガチユリが握手をする。
このあと大浴場は大欲情の場所となる。まだ夜まで時間はたっぷりとあった。
はい異世界シニアです。
最強メンバーで小旅行となりました。
舞台は熱海。
そしていきなり露天風呂。部屋風呂だから邪魔は入りません。
こよりは三人の口撃に耐えられるのか。
次回こよりトランスレーション。こよりフォーピース。
感動のクライマックス!!




