こよりカリバーン
欲しいものを明確にする。
いつまでに手に入れるのか期限を決める。
そのために必要な行動をする。
ダイエットでも資格試験でもビジネスでも成功するために必要な三要素だ。これは恋愛にも当てはまる。
たとえばダイエット。目標体重を決める。期限を区切る。炭水化物を減らし野菜・肉・魚を食べる。
たとえば資格試験。資格を取得した未来を妄想する。受験日をゴールに設定する。とにかく過去問を解く。
たとえば恋愛。わたしはわたしに問う。
誰が欲しいの。こよりくんが欲しい。
いつまでに手に入れるの。いますぐに。
そのために必要な行動はなに。会って堕とす。
わたしは百合崎百合。普通の中学に通う三年生の女子。性転換者、神人こよりくんの恋人だった。
昨日、姉にこよりくんを寝取られた。
悔しかった。そして悲しかった。わたしを裏切った姉もこよりくんも憎かった。でも彼にとって、それは必要な行為だった。なぜ気づかなかったのだろう。
自分で自分が許せない。本来なら恋人である自分がしなければならないことなのに。だから今日、わたしはこよりくんを堕とす。満足させる。
具体的には性欲を発散させる。そしてこよりくんの一番にわたしはなる。
ピンポーン
「はーい」
「百合・・ちゃん」
「来ちゃった」
ボクは神人こより。中学三年生の元男子。奇病にかかり女性になってしまう。自慰をせずに性欲を発散させずにいたら、触った女性が強制的に達してしまう異能力が開花した。
暴走する異能力を止めるには性欲を発散させるしかなかった。恋人の百合ちゃんのお姉さんの白百合さんに相談した。白百合さんは治療という名目でボクの性欲を発散させてくれた。結果的にいまは異能力もおとなしくなっている。
でも、それは恋人の百合ちゃんにとっては裏切り行為だ。
「お茶でいいかな」
「うん、ありがとう」
百合ちゃんの顔がまともに見られない。けれど口元に大きなバンソーコーが貼ってあるのは目立つ。
「顔どうしたの」
「自分で殴ったの。自分が許せなくて」
こんなかわいい顔なのに。だめだ、もう黙っていられない。
「百合ちゃん、ごめん!」
「謝らなくていいよ。ぜんぶ知ってるから」
「え」
「ごめんね。ずっと辛かったんだよね」
「うん。女性の体を知らなかったから」
「女にも性欲はあるんだよ」
「百合ちゃんも」
「バカ」
そういうと百合ちゃんはボクに抱きついてきた。ボクたちは三度目のフレンチキスをする。
ヌル
ボクの口内に百合ちゃんの舌が入ってきた。やばい気持ちいい。
ビクン
軽く達してしまった。それを気づいた百合ちゃんが微笑む。
「口だけで逝くなんて、かわいい」
百合ちゃんの口撃は止まらない。ボクは体のあらゆるところを口撃されて、そのたびに達してしまった。
「百合ちゃん」
「こよりくん」
「「大好き」」
そのときボクの心の中が暖かくなった。
接触なんてなくても女は心で逝ける。未亡人は愛する旦那様の位牌を抱いても達すると聞いた。
「どうしたの」
「百合ちゃん!!」
もう心が抑えられなかった。百合ちゃんを抱きしめる。
「カリバーン!!」
その瞬間、百合は幸せに包まれた。
「これが第二の剣、カリバーン」
スヤスヤと腕の中で優しい寝顔をみせる百合を見る。この人が恋人でよかった。
心からそう思うこよりだった。
はい異世界シニアです。
シリアス編はこれにて終了!
次回からは体育祭。借り物競争、騎馬戦、応援合戦、玉入れとネタが浮かんでいます。
次回こよりトランスレーション。こよりスポーツフェスティバル。
だっちゅーの。




