こよりビーストデュエル・ツヴァイ
シヤァァアアア
いまシャワーを浴びているボクは神人こより。
都立第三女子中学の三年生で十五歳。ある日、性転換症候群にかかり、男性から女性に性転換した。
性転換者のもつ異能力は様々。ボクの能力は触れた女性を即時に天国へ逝かせるものだった。ボクはこの能力をハンドパワーと呼ぶ。
姉のイタズラで無意識のうちにハンドパワーを解放したため、ボクの体は紛れもなく「抜き身の刀」になってしまった。
街で偶然ぶつかった会社員のお姉さんが白目をむいて倒れてしまったこともある。とても満足そうな顔をしていたけれど。
このままでは普通に生活することもできない。手を繋いだだけて失神してしまうのでは、恋人の百合ちゃんとデートすることもできないのだ。
それは嫌だ。
なんとかしなければ。せめてこの能力を使いこなせるようになりたい。そのために百合ちゃんのお姉さんの白百合さんに助けを求めた。
白百合さんの答えは無意識下で能力を半解放したのなら、意識して能力を全解放して自分のモノにすればいい。そんな内容だった。
これからボクは白百合さんに治療をしてもらう。きっと何度も果ててしまうだろう。恋人のお姉さんなのに。恥ずかしいけれど、どこか期待してしまう自分がいた。百合ちゃん、ごめん。
これは浮気ではない。あくまでも治療だ。そう自分に言い聞かせる。女同士だからノーカンノーカン。
ガチャ
「え」
「お邪魔するよ」
「白百合さん!?」
全裸の白百合さんがお風呂に入ってきた。驚くボク。
「すまない。さっきの握手で下着を汚してしまった」
「あ」
「気にすることはない。キミは何も悪くないのだから」
「はい」
「せっかくだ。背中を洗ってあげよう」
「はい」
白百合さんは本当にボクのことを考えて時間を使ってくれている。忙しい売れっ子漫画家なのに。
「キレイな肌を傷つけたくないから手のひらで洗うよ」
「はい。ボクもそうしてます」
「では」
「あ」「うそ」「や」「はん」「い」「くっ」
あっという間に果ててしまった。なんだこの人の指は。性転換者でもないのにボクのハンドパワーに匹敵するかもしれない。
「キミの姉さんは凄いよ」
「おりがみお姉ちゃんですか」
「キミと手をつないだまま歩けるんだから」
「ボクのはそれほどなんですか!?」
「そうだ。肉親でさえそうなる」
「ボク、なんとしてもこの力を制御したいです」
「わたしも全力を尽くすよ」
シャワーで体を洗った白百合さんは、ベッドで待ってると言い残してお風呂場から出ていった。
まだ、白百合さんの指の余韻が全身に残っていた。
ヒャッハー!!最高だぜ!!
叫び出したい気持ちを抑えてガッツポーズを決める。これから愛しいこよりくんを治療という名目で好き勝手できる。
おりがみくん、本当にありがとう。キミは最高の恋敵だった。わざわざ最高級の食材を最高の下準備までして用意してくれたのだから。
カモネギとはまさにこのこと。
後はわたしがきっちりと料理するだけ。もちろん料理したあとは美味しくいただくけどね。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
カチャ
部屋の前にバスタオルを巻いたこよりくんが姿を現す。
「シャワーありがとうございます」
「気にしないで。ここにおいで」
「はい」
恥ずかしいのだろう。こよりくんは耳まで真っ赤にしていた。バスタオルを巻いたままベッドに腰をかける。
「いいかい。これはあくまでも治療だ」
「わかっています」
「キミが緊張して力を解放できないと失敗する」
「はい」
「肩の力を抜いて。すべてわたしに任せればいい」
「お願いします」
目を閉じたままベッドに横になる。
「では治療を開始する」
なーんちゃって。治療なんてウソウソ。ここからはすべてわたしのターン!!
バスタオルをゆっくりと開いていく。以前も見たが本当にきれいな肌をしている。まだ色素も薄い蕾とトレードマークの無毛もじっくりと堪能する。
(いただきまぁす)
「あ」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
あれから何度、達しただろう。もう回数さえ覚えていなかった。
白百合さんの治療は凄かった。ボクの体がバラバラになるのではないかというくらい、あらゆるところを刺激された。
朦朧としていたのだろう。いつのまにか白百合さんとキスをしていた。大人のベロチューで口内をお掃除してもらった。
「百合ちゃん・・・」
思わず彼女の名前を呼んでいた。百合ちゃんに会いたい。百合ちゃんを抱きしめたい。心のどこかが暖かくなってくる。
白百合は感じた。キてます。緊張の解けたこよりくんの体から別のオーラを感じる。
「さあ解き放ちなさい。全力で」
白百合は指の動きを速める。
「あああああ」
限界が近い。さあ逝きなさい。
「エクス・・」
(エクスタシーかしら)
「エクスッカリバァーーー!!!!!」
こよりが達すると同時にこよりの左手が白百合の股間に触れる。
ドオオオオオオオオーーーン
まるで激流だった。白百合の意識は一瞬で流される。股間から伝わる稲妻は全身を突き抜けた。潮は噴き出し、口からはよだれを垂れ流したまま白百合はこよりに倒れ込んだ。
約束された勝利の剣。
その日、こよりは性転換者の中で最強の能力を手にしたのであった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
午後八時。
ピンポーン。
あれお姉ちゃん、寝ているのかな。百合は母親に頼まれた着替えを姉の作業スタジオにもってきた。仕方ない、合鍵で入るか。
ガチュリ
「なんか変な音のするドアね」
「お姉ちゃーん、百合きたよー」
作業場にいない。靴はあるから寝ているのだろうか。そういえば小さい革靴があったけどお客様かしら。
「寝てるの?お姉ちゃん」
カチャリ
そこで百合は見た。見てしまった。ベッドの上の二人を。二人は全裸だった。寝ているこよりの上に姉が覆いかぶさっている。
「なんで・・こよりくん」
「お姉ちゃんもひどい」
バサッ
足元に姉の着替えを落としたことも気づかずに百合は部屋を飛び出した。
はい異世界シニアです。
シリアス展開になりそうです。さすがに姉は言い訳できません。
本当は姉が倒れたところに百合ちゃんが現れるのも考えていましたが、それだとこよりモデルと変わりませんし。
次回こよりトランスレーション。こよりエクスカリバー。
喜べ少年。君の願いはようやく叶う。