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こよりゲットトゥギャザー

あの女、まだ諦めていなかったのか。


わたしは神人かみとおりがみ。性転換者トランスレーターこよりの実の姉だ。ある日とつぜん弟が女性化した。妹になったこよりはまさしく天使だった。わたしだけの。


弟に彼女がいることは知っていた。昔から付き合いのある百合崎ゆりざきさんところの百合ちゃん。まあ幼なじみね。


百合ちゃんはこよりとわたしの間に挟まる邪魔者になった。


「女と女の恋愛に未来はない」


女性化そうそうに一般常識を武器に彼女を排除した。はずだったのに。


昨夜、こより経由で"百合の子"のコスプレ依頼がわたしに届いたのだ。


まだこよりの周りをチョロチョロするか。こうなったら夏コミで完膚なきまでに叩き潰してやろう。


なにしろわたしがコスプレするのは、わたしの愛読書「百合の子」のメインヒロイン"パール"なのだから。そして妹のこよりはパールの妹ダイヤ。パールとダイヤの姉妹は魂で結ばれた最強カップル。つまり勝負なんてはじめからついている。


今日は採寸と顔合わせの日。わたしは仕事があるからと断った。身体のサイズはモデルという職業柄、常にキープしている。こよりに衣装製作に必要なサイズをメモした紙を渡して送り出した。


採寸が野獣先輩の自宅ときいて心は揺れたけれど、わざわざ敵のホームに飛び込むほど愚かではない。しかもこよりハーレム勢ぞろいときた。多勢に無勢とはこのことだ。


勝負は夏コミでつけよう。その時こそこよりはわたしのもの。武者震いがとまらない。


わたしは神人おりがみ。自分で投げた巨大なブーメランが体に刺さっても何も感じない女。


そして天使に会っては天使を堕とし、神に会っては神を喰らうゴッド・イーター。


「「「お邪魔しまーす」」」

「こよりくん。みんな、いらっしゃい」

「「「あねさん!お邪魔しまっす」」」


おいおい土下座三人衆。ボクのときより頭が低いぞ。本能でわかるんだろうな、誰がここで一番の強者なのか。


ここは野獣先輩こと百合崎白百合ゆりざきしらゆりさんの自宅。ボクの彼女、百合ちゃんの家でもある。


「さあ上がって。お姉ちゃんもいるよ」

「え」

「こよりハーレムが勢ぞろいだもの。朝から楽しみにしていたわ」

「さすが先生、コスプレのクオリティ維持のためにそこまでやるとは」


いや絶対にちがうと思うぞ。若い子の裸を見たいだけだ。あのひとガチだもの。


ガチャ


「やあ、よく来てくれたね」

「白百合さん、こんにちわ」

「「「お邪魔しまーす」」」

「狭いところだが、ゆっくりしていってくれたまえ」

「はい」


リビングでコーヒーをごちそうになった後、白百合さんから説明が始まる。


「こよりくんと姉のおりがみさんはダイヤとパールをお願いする」

「百合はサファイア」

「あとはもう自分が誰を演じるか説明する必要はないだろう」

「「「こくこくこくこく」」」


偶然なのだが、こよりハーレムのメンバーは百合の子ヒロインの特徴にすべて合致していた。ウィッグの必要がないほどに。


「仕事だが、サブキャラは売り子をお願いする」

「モブ三人組は拳法部の三人にお願いする。おもに本の追加とトイレ時の交代要員だ」


あれ、ボクとお姉ちゃんは何をするのかな。


「メインの二人にはとても重要な仕事がある。それは当日、話そう」


そうなんだ。一体何をするのだろう。


「衣装は制服。夏ということもあり暑さ対策もかねて夏服とする」

「下着。とくにブラの色は白以外、認めない」

「夏服はブラが透ける。黒や水色なんてキャラのイメージが台無しだからな」

「スカートが短いキャラはみせパンを履くように。まあオパールだな」

「オー、イエース!」


お嬢様学校なのにミニスカートって設定は凄いな。金髪アメリカンギャルも凄いけど。


「それでは百合、採寸を開始してくれ」

「わかった」


ベースの夏服はそれほど特殊なデザインではなかったので、一から作るより本物を買ったほうが早い。校章だけはプロに製作してもらうことになっている。


「じゃあ、こよりくんから」

「うん、お願い」


シュル

ボクの首回りや胸囲をメジャーが通るたび、なんだかくすぐったくなる。


「ふふっ、くすぐったいよ百合ちゃん」

「もう、まじめにやってよ。こよりくん」

「じとーっ」


七夕短冊たなばたたんざくちゃんのイチャコラしてんなよこより様野郎という視線が刺さる。なんかごめん。


白百合さんはニヨニヨしながらボクたちを見ている。


「青春だなぁ」


ハーレムのみんなは採寸を待っている間は暇だ。それでも、みんなこよりくんを見ているだけで幸せそうだ。


わたしもこんな眩しい時があったんだよな。


ふと隣にいるクリスくんが気になった。おもにロケットおっぱいが。


「ねえクリスくん。やはりソレは重いかい」

「イエース、男だったときのトマホークより重いデース」


おいクリスやめろ。男の股間のトマホークの話は。全員、女性なんだぞ。


「ほう。後学のために少し触らせてもらってもいいかい」

「オンナ同士デース。気にせずドーゾ!」


あ、お前そんな気軽に。知らないぞ。


「それでは遠慮なく」


サワサワ

ムニムニ

「オウ」「ソンナ」「ァ」「ンー」「オー」「マイガッ」

「これはどうだい」

「ノー!!」

「頑張るね。じゃあこれならどうだい」

「コリコリラメェ!」


部屋中にクリスの嬌声きょうせいが響く。恐るべし白百合さん。ボクのダブルハンドが効かなかったクリスをここまでメロメロにするなんて。


「ちょ、お姉ちゃん!」

「あぁ、すまない。少し調子に乗りすぎた」

「ゴクリ」


これが百合の教祖、野獣先輩の実力か。ヘタったクリスは白百合さんの腕に抱きついている。


「コヨリ。ミーはこの人にラブだ」


あーはいはい。お前もともと男だし、白百合さんに飼ってもらえよ。


全員の採寸も終わり、ボクらは百合ちゃんの自宅から帰る。


さあ、いよいよ夏コミだ。


はい異世界シニアです。


恐るべし野獣先輩こと白百合さん。


あのクリスを籠絡してしまいました。もしかしたらこよりもモデルの時にやばかったかもしれません。


さて次回はいよいよ夏コミです。この世界のこよりはどんな活躍をしてくれるでしょう。


次回こよりトランスレーション。こよりコミカ。


お楽しみに!!


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