こよりモデル
「美少女が欲しい」
思わず本音がでた。
わたしは百合崎白百合。漫画家だ。ペンネームは野獣☆白百合。連載中の作品「百合の子」が売れてアニメ化。印税もガッポガッポで笑いが止まらない。
百合の子は母親を何者かに殺害された姉妹が犯人に復讐する物語。美しい姉妹の愛を描く作品だ。ガチ百合だけど。
「そういえば最近まったく喰ってないぞ」
もちろん食事のことではない。可愛い女の子をはべらせて百合成分を補給する行為をしていないのだ。
「あー、美少女ほしぃー」
でもデリバリーもトラブルの可能性がある。それにプロよりも素人が喰いたい。新鮮で初々しくてスレてない美少女が喰いたい。
ふと脳裏にあの子の顔が浮かんだ。そう神人こよりくんだ。奇病で男から女に性転換した妹の恋人がいた。
女になってお金がかかるからアルバイトを探してると聞いた。これはモデルになっていただくしかない。
いただくしかない。そう美味しくいただくしかない。
あの子ならいくらでもモデル代を出そう。それに女同士だから浮気にもならない。妹は怒るかもしれないが、その時はその時。
「おーい、百合ーっ」
「なぁにお姉ちゃん」
「こよりくんにアルバイトの打診をしてくれ」
「いいよ」
「絵のモデル。三時間で三万円」
「わかった。こよりくん喜ぶよ」
わたしは黒く笑う。
ふふっ、その喜びが歓びに変わるかもしれないけどね。
「こんにちはー」
「やぁ、こよりくん。いらっしゃい」
「白百合さん、今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。キミのような美少女にモデルをしてもらえると本当に助かるよ」
時刻は午前九時。契約は三時間。撮影が終了したら近くの回らない寿司をごちそうする約束になっている。
「では適当に撮影するからポーズをとってもらえるかな」
「はい!」
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ
さすが拳法をやってるから動きに無駄がない。さらにファッション雑誌のモデルだからポーズにキレと優雅さがある。彼女はプロだ。
わたしは興奮した。奇病はこの世界に天使を誕生させたのだから。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ふぅ」
「こよりくん、お疲れ様」
「いえ白百合さんが喜んでくれるならって、つい頑張っちゃいました」
ドクン
「ヤバい。この子かわいい」
妹の百合と幼なじみの男の子。いまは性転換で女の子に変身してしまったけれど、実の弟のように思っていた。
ほとんど家族みたいなものだ。
でも二人で一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、それ以上の気持ちがドンドン湧き上がってきた。
もしかして、これが媚薬効果のある誘惑フェロモンか。
いけない、飲み込まれる。
「こよりくん。お願いがある」
「なんでしょう白百合さん」
「キミの裸が見たい」
「えっ」
「撮影はしない。どうしても作品のために美少女の裸が必要なんだ」
嘘だ。美少女の裸なら妹がいる。
「でも。恥ずかしいよぅ」
「十万円。追加で出そう」
「ボク男だったんですよ」
「気にするな。むしろ作品の質があがる」
それも嘘だ。いまはこの子の裸が見たいだけ。
「わかりました。作品のためなら」
「感謝する」
この子ちょろい。
「では上着から一枚ずつ、ゆっくり頼む」
上着。パサッ
「ふぁあ」
ブラウス。スッ
「チュパラッチ」
ブラ。パサリ
「ブッチッパ」
若い。まだ穢されていない色素の薄い蕾に目を奪われる。指でコリコリしたい。舌で転がしてみたい。
「白百合さん、近いぃ」
しまった。興奮してガン見してしまった。
「すまない。あまりにも美しかったから」
スカート。シュル
「こいよー、こいよー」
そして最後の一枚。おぱんつ。スルリ
「イキスギィ!!」
やばい鼻血でそう。神様ありがとう。こんなキレイな子を生み出してくれて。
本当に恥ずかしいのだろう。こよりくんは顔を真っ赤にして目を閉じている。
チャンスだ。わたしはこよりくんの胸元に顔を近づける。若い蕾に狙いを付けた。
「いただきまぁす」
その時、部屋のドアが開く。
「お姉ちゃん、撮影は順調!?」
わたしの妹でこよりくんの恋人でもある百合は目撃した。姉が全裸のこよりくんの胸元に顔を寄せているところを。
「百合、ちがうんだ。これは」
「なんでこよりくんが裸なの!」
「ひゃあ」
「こよりくん、早く服を着て!」
あやうく妹に決定的瞬間を目撃されるところだった。
今度は自宅ではなく、作画スタジオで撮影会をしようと計画を練る悪い姉だった。
はい異世界シニアです。
この世界でも白百合さんは白百合さんでした。
こちらの思惑どおりの動きをしてくれます。
次回こよりトランスレーション。こより◯◯(未定)
明日はどっちだ。