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こよりクラブリーダー

身体からだから。性欲から始まる恋ってあると思うっす。


ども都立第三女子中学の拳法部の部員A子っす。とうとうこの前書きにも呼ばれる時が来ました。


あ、別にB子と呼ばれても大丈夫っす。姉妹ではありませんがアニメ化したら声優(中の人)は同じなので。


えっと身体から始まる恋もあるってお話でした。


笹飾ささかざりねがいちゃんや七夕短冊たなばたたんざくちゃんは劇的な出会いが原因で神人かみとこよりさんを好きになったわけです。


でも主将ふくめてあたしらはいきなり敵対っすから。憎みこそ、恨みこそすれ好きになる要素は皆無でした。


さらに主将もあたしもこよりさんの足蹴り一発でされました。あれは本当に効いた。あ、別にマゾとかじゃありませんから。


あたしら頭はよくないけれど運動だけは得意なんですよ。その運動バカがこよりさんに瞬殺しゅんころされたわけです。


強いものに従う。強いものが総取りする。それが弱肉強食の世界。負けたのなら潔く従うのがスジ。


気づかなかっただけで主将は男だった時のこよりさんに一目惚れしてたみたいっすから。トイレから出て、すぐに土下座しに行きました。


きっとヒドイことをされる。元が男なら身体だって要求されるかもしれない。ウリだってさせられるかもしれない。柄にもなく怯えました。こうみえてまだ処女っすから。


ところがこよりさんが命令したのはねがいちゃんに謝罪すること、これまでカツアゲした金をすべて返すことだけでした。


なんて甘いお人だろう。それでもボスはボス。黙って付いていくだけでした。


こよりさんへの想いが変わったのは修学旅行の夜っす。そうお風呂と寝室でのハンドパワー実験でした。


あれは言葉にできない体験でした。あたしら全員、同じ女の子に首と腕と背中を洗われただけで果ててしまったんですから。


さすがに恥ずかしいので寝室での実験の詳しい話はやめておきましょう。結果は全員アヘ顔さらして大洪水の失神祭りだった。それだけっす。


それからですかね。あたしもB子もこよりさんを目で追うようになったのは。そうするとよく見えるんすよ、あの人の可愛さ、優しさ、男らしさが。


気づいてしまったんですよ。惚れていることに。たとえこの人の一番になれなくても一緒にいたいと思ってることに。


うちの中学は隣の高校にエスカレータ式に進学します。何もなければあと四年間、こよりさんといられる。


女として好きな人と長くいられる。こんなに幸せなことってそうはありませんすよね。


でも・・・たまにでいいのでハンドパワーの実験台に使ってほしいっす。

帝織姫みかどおりひめです。皆様どうぞよろしくお願いいたします」


悪役令嬢が転校して来ちゃったよ。


ボクは神人かみとこより。性転換症候群トランスレーションで男性から女性に性転換した中学三年生。


ここは政府が指定した性転換者トランスレーターが登校する第三女子中学校。その修学旅行先のトラブルで一戦交えた縦ロールお嬢様がなんと神戸から転校してきた。


しかも同じクラスって。あまりにもご都合主義ジャマイカ。


「こより様!」


あー、見つかった。どうしよう。もしかしたら六人目なの。こよりハーレムの。また彼女の百合ちゃんにお仕置きされちゃうよボク。


その時、短冊ちゃんが織姫ちゃんの前に立つ。


「帝様、お久しゅうございます。七夕家の短冊でございます」

「まあ短冊さま、お久しゅうございます。以前お会いしたのは総理の就任祝いのパーティーでしたかしら」

「はい。お元気そうでなによりですわ」

「これはご丁寧に。ところで短冊様はこより様とどのようなご関係で」

「妻でございます」

「「え」」


短冊ちゃんがコロコロと笑う。


「冗談ですわ。いまはまだ側室候補というところでしょうか」

「まあご冗談でしたの。わたしてっきり本気かと思いましたわ」

「驚かさないでよ、短冊ちゃん」

「こより様。わたし本気ですから」

「ッ」


重い。愛が重いよ短冊ちゃん。


「こより様!京都では失礼いたしました」

「もういいよ、織姫ちゃん」

「そうは行きません。勝負に負けた以上、わたしはアナタの所有物ものです。なんなりと命令してください!」

「いやいや」

「たしか帝様の実家は神戸でしたわね」

「この学校の近くのマンションを買いましたわ。最上階まるごと」


さすが帝財閥のお嬢様。スケールがでかい。そのお嬢様と会話できる短冊ちゃんも公家のお嬢様らしい。なんでボクのところにばかり上流階級の人たちが集まるのさ。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「こよりさん!オナシャス!!」


土下座三人衆がまた土下座していた。またろくでもない頼みごとなんだろうなあ。


「どうか拳法部の主将をやってください!」

「やだよ」

「あたしら今年が最後の大会なんす」

「こよりさんがいてくれれば全国狙えるんです」

「あら、それならわたくしも入部いたしますわ」

「「「帝織姫!?」」」

「こより様の露払いは正妻であるわたくしがいたしませんと」

「あのね織姫ちゃん。女同士は結婚できないんだよ」

「そんなの法律を変えればいいことですわ」


この人ならやりかねない。


そういえば全国女子中学大会の東京予選が来月あったっけ。確かに全中男子一位のボク、全中女子一位の織姫ちゃんと二位の主将、A子とB子がいれば全国制覇は楽勝かもしれない。


せっかくこの三人が揃ったのならやってみるか。


「やってみるか」

「「「あざます!!」」」

「夫婦はじめての共同作業ですわね」

「織姫ちゃん、違うって」


その日からボクらの猛特訓が始まった。


「だから無闇に突っ込むな!後の先を考えろ!」

「イエス!マム!!」

「体力をつけろ!すぐへばってどうする!」

「わかりましたわ!」

「AB!さぼってんな!」

「サーイエッサー!!」


そして全中女子東京予選大会の日がやってきた。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「白の勝ち!」


ボクたちは強かった。


なぜなら五人一組の勝ち抜き戦なのに先鋒の織姫ちゃんが一人ですべて倒してしまうのだ。さすが全国一位。次鋒以降が出ないまま決勝にまで進んでしまった。


「おーっほっほ。わたしに勝てる人はいないのかしら」

「こよりハーレムは最強ですのよ!」

「夫の露払いは妻のわたくしがいたします!」


織姫ちゃんが吠えてるなあ。


「へぇ、またハーレム要員を増やしたんだ。こよりくん」


ゾクッ。寒気がした。この声は。


「あんなにお仕置きしたのにわたしの言う事が聞けないんだね」

「百合ちゃん、どこに」

「ここにいるわよ」


なんと決勝の対戦相手はボクの道場の女子部だった。


「試合には出ない百合ちゃんがなんで」

「メンバーが急病でね。わたしが代わりに出ることになったの」

「そ、そうなんだ」

「わたし先鋒だから少し待っててね」

「は・・はひっ」


なんてことだ。これまでは目立ちたくないからと試合には一切出てこなかった百合ちゃんが今日に限って出てくるなんて。


体の震えが止まらない。そして決勝戦が開始した。


「はじめ!」

「こより様のために妻のわたくしが頑張りますわ!」


織姫ちゃんが百合ちゃんに突っ込む。無闇に突っ込んだら駄目だ。


スパーン


百合ちゃんの鮮やかな足払いが決まる。倒れ込んだ織姫ちゃんに百合ちゃんが寝技をかける。百合ちゃんの絞め技の前に織姫ちゃんは一分で沈んだ。


「こんなんで正妻とは笑わせてくれるわね」


般若だ。般若がいる。こうなったら誰も百合ちゃんを止められない。


続くA子、B子、主将も瞬殺しゅんころ。とうとう大将のボクに出番が回ってきた。


「はじめ!」

「あのね百合ちゃん」

「喋ってると舌を噛むわよ、こよりちゃん」

「くっ」


こうなったらやる前にやるしかない。前に出る。


スパーン


百合ちゃんの足払いで転がされたボクはそこからの三分間、地獄を味わうことになる。


寝技で身動きできないまま関節を決められ、さらに道着でゆるゆると首を絞められる。たまにドスドスと横っ腹を膝で蹴られるので気絶もできない。


何よりも耳元で百合ちゃんが囁く。まるで地獄の底から聞こえてくるような声で。


「わたし言ったよね」

「こよりちゃんはわたしのものでしょ」

「なんで言うことを聞けないのかなあ」

「またお仕置きしなきゃね」

「ねえ聞いてる」

「駄目よ。まだ気絶しちゃ」

「愛してるわ。こよりちゃん」

「あなたの一番は誰」


「ゆ・・百合ちゃん」


ボクの意識はそこで途切れた。


都立第三女子中学拳法部は予選敗退した。


もちろんボクには百合ちゃんの特別お仕置きコースがまっていた。

はい異世界シニアです。


百合ちゃんがだんだんヤンデレ化してきました。てか百合ちゃんが最強かもしれません。


百合ちゃん恐ろしい子。


こより正妻合戦もスタート。まだまだ伏兵も潜んでいます。


次回こよりトランスレーション。こよりガールフレンド。


あるのがいけない、あるのがいけない。


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