疲労と女子
地区予選2回戦
「坊主だな・・・」
「坊主だ」
対戦相手は全員坊主頭だった。
ただそれが野球部らしいかと言われるとそうではなかった。
どちらかといえば僧侶より・・・というかユニフォームが完全に僧侶。
あの坊主は僧侶だ。
「姉川さん坊主ですよ?」
「あれは違うわあのタイプの坊主は私の好みではないわ」
めずらしく姉川さんが坊主を否定している。
「当たりでしょ!!あんな僧侶的な坊主はちがうわ!!あくまで私が求めているのは高校球児的な青春の坊主が好きなのよ」
坊主頭の違いがいまいちわからないけど何か好みがあるようだ。
1回表
相手の攻撃
まずは竜ケ崎君の超能力剛速球でビビッてもらって・・・。
「むだだどんな能力も俺達には通じない」
そういうとバッタボックスに立ち目をつぶった。
瞑想・・・瞑想してる?
でも瞑想したところあの剛速球が打てるわけがない。
1番バッターを見ていると・・・何か感じる・・・宇宙?宇宙が脳の中に入ってくる・・・なにこれ?やばい何か自分が持っていかれる感じがする。
目線をそらし深呼吸をする。
だめだこいつらに興味とか持ったら何か持っていかれる気がする。
集中、自分のやるべきことに集中。
ミットを構える。
竜ケ崎君の剛速球が放たれる。
ぎゅぉっぉぉん!!!
うなりをあげてこっちに向かってくるボール。
カキン!!
打たれた?
ボールが高々とあがりホームランになった。
まじか・・・こいつ・・・。
「見たか我々の力を!!これが瞑想して力が覚醒している我々の力だ!!この力があれば我々の勝利は確実!!」
相手ベンチから高らかに勝利宣言される。
確かにヤバイこの感じで打たれたらどうにもできない。
打ったバッターは・・・動かない。
振り抜いたバットが手からするりと抜けて地面に落ちた。
「うぉぉぉお腕がぁ腕がぁ!!」
叫びながら地面を転がりだした。
むこうのチームメイトが駆け寄る。
「折れてる折れてるぞ」
「両腕ともだ!」
あーなるほど瞑想してボールは打てたけどその破壊力に体がついてはいけなかったということか。
「貴様らよくも!!お前らのその卑劣なやり方には負けないぞ!!」
変な力を使っているという点においてはお互い様だとは思うんだが・・・。
「敵は必ず撃つ!」
2番バッターが打席に立ち瞑想する。
また打たれる?
どうする?
中途半端はよくない!
全力のストレートを要求。
竜ヶ崎君の全力投球!!
ストライク!
バットは振らない。
2球目も3球目も振らない。
「どうした!?なぜバットを振らない!お前ならってるはずだ!」
「無理・・・腕折れるのわかって振れるやついない」
「この根性なしが!!」
むこうのベンチが揉めてるけどそりゃそうだよな骨折するのわかっていてそこに手を出せるやつなんていない。
「この俺が根性を見せてやる」
そう言いながら出てきた坊主。
打てるものなら打ってみやがれ!
直球勝負。
バットを振る。
大きくボールから外れる。
振ってみただけ・・・根性でどうにかなるものでもない。
相手打線を完全に封じ込めた。
結果
8-0 コールド勝ち
勝利の翌日
「なんか調子が悪い・・・」
竜ヶ崎君が突然つぶやく。
「調子って・・・?」
「超能力が使えない!」
えっ?超能力が使えない竜ヶ崎君なんて何の役にも立たない。
武力0の呂布だ。
「どうして?なんで?だいぶピンチじゃない?」
「疲れかな・・・?今までこんなことなかったんだけど・・・」
「疲れ?疲労回復にはマッサージね。竜ケ崎君今すぐ坊主になりなさい」
「そうそうとりあえず坊主に・・・って坊主意味なくないですか姉川さん!!」
「あるわよ私のやる気の問題よ」
「やる気?」
「そうよ疲労回復にマッサージしてあげるにしても坊主じゃないと全然やる気出ないでしょ?」
でしょって言われてもそういう感覚がないのでわからない。
まあ坊主が良いというなら坊主になってもらおう。
幸い竜ケ崎君は坊主に対して抵抗ないし、日々の投球中も随時坊主にしているし・・・。
とりあえず坊主にする。
「あぁ良いわね坊主になったとたんマッサージする気がわいてきたわ。さあ横になって」
姉川さんがマッサージを始める。
竜ケ崎君の様子はと言うと・・・とても苦しそうにしている。
「どっどうした?」
「女子が・・・女子が・・・あふれ・・・・うぉぉぉぉ」
逆効果だ逆効果、刺激が強すぎて逆に体力を消費している。
このままだと本当に昇天してしまう。
「やめてくれ!!」
姉川さんを竜ケ崎君から引き離す。
危ないところだった・・・ある意味僕は命の恩人だな。
「マッサージがダメなら睡眠をとるのが一番よ」
倒れた竜ケ崎君を長名瀬さんが膝枕する。
いやそれはうらやましい・・・っていうか逆効果・・・。
「あれ?竜ケ崎君熱があるんじゃない?顔が赤いし・・・」
違うよ長名瀬さんそれは熱があるんじゃない。
竜ケ崎君の女子の許容量をはるかに越える女子が竜ケ崎君を熱くたぎらせているんだよ。
竜ケ崎君の体温の上昇が止まらない。
「やめてくれ!!」
長名瀬さんを竜ケ崎君から引き離す。
「どうした竜ケ崎すごい汗じゃないか?」
かっ監督・・・まずい竜ケ崎君のこの状態だと・・・。
「なっなんでもないっすよ」
竜ケ崎君と監督の間に立ちふさがってみる。
「なになに?すごく気になるんだけど」
「大丈夫です監督」
「大丈夫ならどいてみろ」
ガッと肩を捕まれどかされた。
「あぁ・・・」
監督が恍惚の声をあげる。
「すごいわ竜ケ崎君すごすぎるわ、なんて素敵な汗なの・・・」
そっと監督の指先が竜ケ崎君の顔に触れる。
「もうこのまま舐めてしまいたいぐらいの素晴らしい汗だわ」
監督が舌を出し竜ケ崎君に顔を近づける。
まずいまずいまずい。
そいつは竜ケ崎君には刺激が強すぎる。
本当に死んでしまうよ。
過剰女子死してしまう。
「やめてくれ!!!これ以上やったら過剰女子死してしまう」
監督を竜ケ崎君から引き離す。
「過剰女子死とは・・・?」
「知らないんですか?穢れを知らない男子が摂取できる女子の量が限られてるんです。必要以上に女子を与えないでください」
「ちょっと本当に何を言っているかわからないんだけど・・・なんかごめんなさい」
「もういい!!彼をそっとしておいてやってください」
そういうと僕は竜ケ崎君を家に送り届けた。
その日ぐっすり寝た竜ケ崎君は翌日元気になって帰ってきた。
やっぱり睡眠って大事だよね。




