生徒会からの使者
部員が集まらない・・・。
野球の練習もまともにできない。
グランドでダラダラ過ごしながら女子に絡む日々。
今日も適度にダラダラしていると知っている顔の大人がやってきた。
お父さん!
なんでここに?って言うかみんながいる状態でお父さんとか恥ずかしすぎる。
野球していることを内緒にしていたんだがバレたのか?
野球していることに反対するなら家でどうぞ・・・なんだが・・・。
ずんずん近づいてくる。
「あっいや・・・これは野球しているわけでは・・・というか出来ない状態って言うか・・・なんでここへ?」
「翔真・・・」
やべっやっぱり怒ってるかな?怒るとしてもここじゃなくて家でやってほしいんだが・・・。
「野球始めたのか?そうか・・・勉強も忘れずにな!」
「えっ?それだけ?止めに来たわけじゃ?何しに来た?」
「何しにも何も俺はこの学校の教師だ。そりゃいるだろう、野球部に入ったってのは蓮杖監督から聞いてはいたので様子を見に来ただけだ。」
なにぃ?知らなった・・あいつ学校の教師だったのか・・・辞めさせられるのかと思ってドキドキした。
まあ今のところ野球してないけどさ。
さあ気を取り直して軽く練習でもしてみるか。
「ちょっと良いかしら?」
女性の声・・・またマネジャー希望だろうか?
さすがにもうお腹いっぱいだ。
「間に合ってます」
全力で拒否してみた。
「何を言っているのかしら?こちらは何も間に合っていないんですけど」
声の主を見る。
なんか気の強そうな女性だ。
黒く長い髪にぱっつんの前髪そして何より気の強そうな顔。
美人ではあるけどちょっと苦手かもしれない。
「最近野球部が乱れていると聞いて見に来たけど本当のようね」
「乱れては・・・いない」
とは言いきれないけど・・・。
「そもそも部活動として活動するのに必要な人数が足りないんじゃなくて?部活動として認めるには部員数5人、まして野球部ならば最低9人いなければ部活動として成立しないはずよ」
ごもっともだ。
ごもっともだけど・・・そもそも誰?
「あの・・・どちら様・・・?」
「何?わたくしの事を知らないの?わたくしは生徒会長の飛竜院玲子、今回は野球部が部活動として成立していないとの報告があったので確認しに来たのだけど本当のようね」
「なっ何を言う部員だって8人います。あと1人入れば問題ないはずです!」
飛竜院がすごく冷たい顔で僕を見る。
「ふーん女子マネージャーは試合には出られないわよね?」
ばっばれてる。
「でも部員募集してますよ」
佐々原さんの援護射撃
「そうですよ監督だってちゃんといるんですから」
・・・監督?
監督は沈黙している。
「監督?」
「飛竜院さんの言っていることは・・・正しいわね」
認めたあっさり認めた。
「やはり野球部は解散ね。部費も必要ないわね」
まずい、せっかく出来た女子の園が・・・じゃない野球部がピンチだ。
「ちょっといきなり来て解散って横暴じゃない?」
姉川さんが抵抗を試みる。
「活動してない部活が部費を使うことのほうが横暴よ」
その通りではある。
「じゃあ野球部が残るにはどうしたら良いんですか?
長名瀬さんの建設的な反論。
「来週水曜日の部長会までに部員をそろえることね。無理だとは思いますけど」
「9人集めれば良いんですね。集めますよ。誰でも良いんですよね」
「ええ公式戦に出られる人であればね」
こうして部員補充は急務になった。
約束したのは良いけどそもそも野球部の部長って誰なんだ?
部長会には誰が出るんだ?
柿崎?頼りないな・・・不安要素万歳だった。
「っていうか部長会って?」
「そうね1年生のあなたは知らないかもしれないわね。部長会っていうのは学部の年度予算を決めたり・・・」
「そんな生易しいものじゃないわ!戦争よ!」
監督の説明を姉川さんがさえぎる。
しかし戦争って・・・。
「特に年度始めの部長会は予算獲得の場!奪い合いよ!ここで負けた部活は1年間低予算で過ごすのよ!貧乏生活よ!バットもボールも買えない道具とかもどんどんボロボロになっていくのよ!!」
・・・確かに野球部は負け続けた感がある。
見渡す限りここにある道具は古くてボロボロだ。
なんだか問題山積みだけどまずは部員探しだ。
でも野球部の人気は低く、誘えども誘えどもお断りされていた。
坊主頭が良くないと思って長髪OKをアピールしてみたけどそこじゃないらしい・・・。
全然部員が集まる気配がなく途方に暮れていた。
そんな中、竜ケ崎君が1人スカウトで来たというのでさっそく会ってみることにした。
「将棋部の人間を1人引き抜けたよ」
「将棋部・・・野球とは縁遠い感じだね」
「でも将棋も向いていなかったみたいだから部内での成績も0勝300敗、無勝の男って呼ばれてたみたいだから」
それだけ負け続けるってそれはそれで逸材かもしれない・・・。
竜ケ崎君の後ろにいる人・・・なんかデカい。
2m近くありそうな人が立っている。
しかも腕とかもすごく太い。
これは本当に逸材かもしれない。
「俺・・・は・・・金将歩・・・やきゅう・・・やってみたい」
すごい言葉がたどたどしい。
大丈夫か?
とりあえず能力値を見てみよう。
「戸戸園さん!!ちょっと見て!!」
【わかりました。ちょっと待ってください】
名前:金将歩
年齢:16歳
右投げ右打ち
ミート力 1
長打力 100
守備 1
走力 1
特殊 50
「すごい名前・・・将棋って感じの名前だね」
竜ケ崎君、気にしなきゃいけないのはそこじゃない。
「そこじゃねーだろ気になるのは!見ろよ見ろこの筋肉、この筋肉なら絶対野球部入れるしかねぇだろ」
津賀さんの基準だとそうなるんだろうけど・・・それも違う。
長打力しかない・・・パワーだけの男、バットにボール当たらないと意味がない。
むしろ特殊に数字が入っている事のほうが気になる。
「とりあえずバッティング見せてよ」
「・・・わ・・かった」
そのパワーがどの程度のものなのか見てみたくなった。
とりあえず僕が投げて確認してみることにした。
キャッチャーは柿崎にやらせた。
他にいないから・・・。
まずは1球目ストレート。
金将君の豪快なスイング!!!
轟音とともに風を切る。
ボールからは大きく外れていて当たる気がしない。
当たれば確実にホームランになるスイングではあるけど・・・。
次はカーブ。
豪快なスイング!!
バットは空を切る。
ダメだな当たらないから意味がない。
さて最後の1球。
金将君はなんかすごく力んでいる。
そんなに力んだらまともにバットが振れる気がしない。
ストレートを投げた。
超豪快なスイング!!!
突風が起きる。
僕は風に吹き飛ばされ体勢を崩して転んだ。
ボールは?
ボールも風の勢いで飛ばされ外野に飛んでいく。
そしてそのままホームランになった。
「バットにボール当たってないよね?」
「おれ・・・ぜんりょく・・・」
パワーすごすぎるだろ。
これは特殊能力か?
「金将君のこれって・・?」
「いちにち・・さん・・・かいま・・で」
1日3回出せる特殊能力のようだ。
でもこれってホームランではなくてボールになるんじゃなかろうか・・・使えるのか使えないのかわからん能力だ。
でも、まあとにかく今は頭数揃えなきゃならないんだから。
これで野球部員は4人になった。




