『飛ばした紙飛行機が運命の人に当たる薬』
それはアタシがアルバイトしているドラックストアで見つけた。
――『飛ばした紙飛行機が運命の人に当たる薬 カミヒコーイ』・・・。
叔父が経営しているこの店では主にこういった変な薬を取り扱っている。それに『カミヒコーイ』のような恋関係の薬は種類が多く、新米アルバイターのアタシにはかなり荷が重い。
――でも昨日見た『大怪我して入院した先で運命の人に出会える薬』よりロマンチックかも。
アタシも当然恋愛や異性に興味はある。こういった薬はアタシみたいな奥手な子の背中を後押ししてくれる重要文化財なのかもしれない。
――飲んで紙飛行機飛ばすだけで理想の相手が見つかるんなら・・・。
バイトを始めて早10日目。アタシが初めて飲んでみたいと思える薬に出会えた瞬間だった。
――でも紙飛行機折ったことないんだよな。
アタシが折り紙で作れるものといったら犬とチューリップだけだ。三角に折って両端を三角に折るだけ。引っ繰り返すとチューリップにもなる。3回折るだけで2作品作れちゃうなんてアタシ天才すぎない?
「いや3歳児?」
「はぁー!?そう言う店長はどうなんですかぁ!?」
そう挑発すると10分で4足で立つ柴犬を作ってくれた。机の上に飾ろ。
――まぁまずは紙飛行機を折ってみよう。薬を飲むのはその後・・・。
その日の夜、アタシは紙飛行機作りに挑戦した。しかし、現在折り紙レベル3歳児のアタシでは3回以上折る作品をまともに作れる筈もなく。勉強そっちのけで紙を折り続け、何度『折り紙が玄人並に上達する薬』を飲みたくなったか分からない。それでも――
「見てください!ちゃんと飛ぶ紙飛行機作れました!」
「おー!全ての折り目が合ってねぇけどよく頑張ったな!」
――あとは薬を飲んでコレを飛ばすだけ・・・。
店長曰く『カミヒコーイ』は飲んだ後であればどんな紙飛行機でも自動的に運命の人に当たるとのこと。市街でも県外でも国外でもアタシの作った紙飛行機はギネスの記録を軽々超えて飛び続け、雨の日も風の日も雪の日も――目標に接触するまで破れないんだそう。
「・・・やっぱ止めます。この紙飛行機はアタシの折り紙レベルが上がった証明だから」
「そうか」
店長はこっちも付きっきりで紙飛行機の行方を追わなきゃいけないの地味に大変だからなとか無粋なことを言わず、笑ってアタシの頭を撫でた。




