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ある薬師の思い〜やり直せない後悔をどう活かすかは自分次第〜

作者: そめや むに

私は魔法薬師に憧れて師匠に弟子入りをして独立すると個人で小さな診療所を建てて診察したりしながら適切な薬を処方している。


この日は建物の一室で同業者である師匠を含めて数人が視察に来ていて私の様子を見ながら診察の合間などに現在の状況についての報告等をしていた。


そんなときに一人の患者がやってきた。


この患者は今年で15歳になる少女で偶に来る。


私はいつものようにカルテを見ながら症状を診ると特に変わった様子はなくいつもと変わらなかったので薬を渡して診察を終えた。


いつもならこの患者は診察が終わってすぐに帰るので私も席を立ち同業者の元へと戻った。


しかしこの日の彼女は珍しく動かず何かを訴える様な目で私を見ていたが少ししてから何かを諦めた様子で帰って行った。



「お前もなかなか酷い奴だなぁ…」



この人は私の師匠なのだが診察風景を一通り見て何故か困った表情をしながらこんな事を口にしていた。



「なんですか…?」



私は意味がわからず戸惑うと更に困った顔をして師匠は口を開いた。



「さっきのあの子…今頃苦しんでるぞ?」


「は?」



私が何を言われているのかわからずにいると師匠はやるせないと顔が雄弁に語っていた。



「お前は患者をみる目がないなぁ…恐らくだが…あの子は痛み止めが欲しかった筈だ。

だがお前は目すら合わさなかった。

俺も何かしてやりたかったが…あの子はお前を見ていた。

ここに来たならお前の仕事だろ?お前は人に感謝されて最近自惚れてるんじゃないのか?」



師匠がここまで言うのは珍しい。


私は今までを振り返ってもよくわからず戸惑うとなんとも言えない表情に変わっていた。



「いえ… そんなことは…」


「では改めて聞くがお前は彼女がどのような表情で何を望んでいたのかわかるか?

あんなに青白くなりながら目は分かりやすく訴えていたのに…」


「ですが…あの子は誰かに構われるのが好きではないようですし…」



言い訳しながら最後は言い淀むと師匠は溜め息を吐いた。



「それがお前の自惚れなんだよ。

患者が構われるのを嫌っていても俺達はそれをする。それが俺達の仕事の一つで患者との初めの一歩でもあるんだ。

それを疎かにしてお前があの子を勝手に勘違いして決めつけるからあの子も諦めて話さなくなったんじゃないのか?

人には感情がある。それを無視してわかった風に話してなかったか?」


「………。」



無視した覚えはないがなんとくそんな気がしてくると師匠は私の様子を見ながら更に続けた。



「とても痛いとは思いますけど頑張っていきましょう…苦しいですけど頑張りましょう。

それで納得するなら俺達はいらないんだよ。

その人に寄り添いしっかりと診てやるのが俺達の仕事の大切な最初の一歩だ。

症状で大体がわかっていても人それぞれの痛みの感覚は違う。

人によっては感覚が鈍かったり麻痺してわからない者もいる。

その時に知った振りして話すと相手もそれに合わせるから俺達も気付かない。

お前は今確実に大切な事を疎かにして一人の人の命をその傲慢な考えで殺したんだよ。

今頃は苦しんで周りが心配しても言い出せずに死にかけてるかもな」



師匠の話しが終わると何故だかわからないが不安になり自然と体が動いて気付けば急いであの子を追い掛けていた。


少し出て大通りに入ると何やら外は騒然となっていた。


近くに居た男を捕まえて何事かと尋ねた。



「あんた医者だよな?すぐに来てくれ!」



連れて行かれた場所は私のいた場所から離れた場所にある大通り沿いの乗り合い馬車の乗り場だった。


この村は割と大きいので以前は馬車があちこちで止まっていて住人達は道の往来に困る事が多々あり揉め事が絶えず村長と相談の上で定位置の馬車乗り場を設けて遠方等に向かう際には皆はそこに向かい馬車に乗っていた。


主に体調不良の人や足の悪い人が利用するので彼女がいても不思議ではなかった。


いつもは穏やかな喋り声くらいしかないのだが、この時は珍しく人が群がり騒動になっていた。



「しっかりするんだ!」


「死んだらダメだ!」


「ちゃんと生きなさい!」


「ほら、息をするんだ!」



皆が口々に生きろと誰かを励ましている。


私は騒ぎの中心に向かうとそこにはあの子が青白くなって虫の息だった。



(……嘘…だろ!?……そんな…)



心の中でそう呟いて頭の中は真っ白になっていた。


師匠の言う通りだった。


この子は今苦しみながら死のうとしてる。


私の存在に気付いた人達は道を空けて通した。



「早く診てやれよ!」



皆口々に私に罵声にも似た言葉を浴びせてきたとき何とか思考を戻して脈などをみた。


(もう手遅れかもしれない…)


処置を思い出すが何も思い浮かばす呆然としてしまいそうになった。



「まだ諦めるな!」



ゆっくり振り向くと師匠がやって来ていた。


どうやら心配で様子見に来てくれたらしい。


今日の師匠の視察に一緒に付いて来ていた師匠の弟子達も来ていた。



「よし!お前達はまず意識と呼吸をしっかりさせるぞ!」



師匠の一言で皆がやるべきことを始めるために動いた。


「おい!しっかりしろ!うちの弟子が本当にすまなかった。

あんたには何も罪はないのに……不出来な弟子ですまなかった。

しっかり生きるんだ!俺が何とかしてやる!絶対に負けるなよ!」



師匠はその子に人が頼りたくなるように力強く声をかけながら全身に刺激を送ったり触診をして症状を分析したりしていた。


その子は少しだけ目を開けると師匠に笑いかけた。


そして師匠に何かを伝えると師匠は涙した。



「…そんなことは元気になってから聞いてやるから今は諦めるなよ」



師匠は涙を溢れさせ少し嗚咽混じりの声になりながら必死に刺激を送った。


しかしその行動も呆気なく終わった。


その子は間もなく息を引き取りその顔はなんだか穏やかだった。


周りの者も一人、また一人と消えて行った。


そして残ったのは私と師匠達だけだった。


師匠は静かに口を開いた。



「お前が早く気付いてやれたらこの子は家で最後を迎えられた筈だ。

こんな…道端での寂しい最後ではなかった。

お前は一人の人間の最後を道端で苦しめて死ぬ様に促したんだ。本当に残酷な奴だよなぁ…。

私はそんな風に教えたつもりはなかったんだがなぁ…お前、この仕事は向いてないぞ。もう辞めた方がいい。

このままだとこの子の様な患者が何人も出てくる。俺はそれが辛い」



私は辛そうに眉を寄せる師匠と静かに横になる少女をみてぐっと唇を噛んだ。



「……師匠、もう一度一から教えてください。このまま辞めるのは彼女を本当に殺すような気がするんです。私は彼女の事を無駄にしたくありません。

この事を胸に刻んで今後はしっかりと生かしていきたいです。彼女が生きていた証にもなると思うので…どうか…お願いします。」



私はこの感謝される仕事に生き甲斐を感じていたがそれは夢物語であったのだと手遅れになった今やっと現実として痛感した。


感謝の裏にあるものは信頼と絶望。


この子は「有り難うございました」と口にしながらも私に向けた想いは絶望や諦めだったことにこの時にやっと気付いた。


勿論師匠の話す通りに辞めて逃げる選択肢もある。


だが私が犯した罪を償う事はこれしかないように思えて自然と頭を下げていた。



「……お前…この子の最後の言葉がなんだったかわかるか?

もし…それがわかるならもう一度教えてやってもいい」



顔を上げると師匠は私に探るような視線を向けていて私は師匠と彼女を見ながら口を開いた。



「恐らくですが…有り難うございました…ではないでしようか。

この穏やかな表情はなんとなくですがそう話している様に思えます」



師匠は私の答えを聞いて残念そうに頷いた。



「そうだ。この子は辛そうな表情を隠して『有り難うございました。もう大丈夫です』そう言ったんだよ。

恐らくだが…もう自分がもたないのを気付いていたんだろうなぁ。

だから最後に痛み止めが欲しかったのだろうね。

もしかしたら誰か大切な人がいたかもしれないし、心配を掛けたくない相手がいて出来るだけ穏やかな顔をしていたかったんじゃないのか?」


「……」



私は何も言えなくなった。


そして師匠の最初に言われた言葉。



『お前は酷い奴だな…』



これがやっと私の胸に響いて今形になろうとしていた。


(ここまでならないと分からないなんて…)


自分の未熟さと傲慢さに絶望した。



『もう同じ轍は踏まない』



そう決意した。


その後は近くにいた乗り合い馬車の御者に尋ねて身元を調べようとしたがこの子は何処に住んでいるのかは分からなかった。


このままでは忍びないと感じた私はせめてもの償いとして供養をすることにした。


この時に参列者が一人では寂しいだろうと師匠も付いて来てくれた。


他の弟子達には一応聞き込みをさせてわかる範囲で調べて貰う事になった。


この子を抱えるととてもじゃないが少女の年齢の軽さではなく、まるで幼女くらいの年齢の子供を抱くくらいの重さしかないような気がして驚いた。


何処までも自分の愚かさを思い知らされた。


近くの神殿へと赴き神官に話すと快諾してくれてすぐに準備してくれた。


ここでは以前に疫病が流行る原因が土葬だったと言うことで土葬は廃止されて火葬が一般的となっていた。


神殿の裏にある火葬場でこのような事に対応するために用意されている簡素な造りの棺に入れてこの子を焼いた。


煙が上へと昇って行く…


神官はそれを見ながら静かに口を開いた。



「煙が上へと昇るならその人も上に向かっている証拠です。

今日は不思議な程に風がなく煙は上へ上へと向かっています。

この少女はとても心の清らかな方だったのでしょうねぇ…ほら、見てごらんなさい。煙が何処までも昇ってますよ。

こんなに風がないのも珍しい…私もこんなことは初めてです」



何処までも続く煙を見ながらふと隣を見ると師匠が涙しているのがわかった。


尋ねてみて驚いた。



「……そうか…お前には聞こえなかったのか。

あの子は最後まで『有り難う』と私に伝えてくれたんだ。

俺も初めての事だが間違いない。

『最後まで看取って貰えて嬉しかった。力強く励ましてもらえて勇気が湧きました。

最後の最後でとても良い方に巡り合えたこの出会いに感謝をしています。有り難うございました』

とても穏やかな声でそう話してくれたんだ。

本当に不思議なものだな…お前には何も聞こえないということはそう言う事だ。本当に酷い奴だよなぁ…」



師匠はなんとも言えない顔をしていた。



「本当に申し訳無い事をした…気付けてやれずにすまなかった…」



私はその子を焼いている炉の火と高く昇って行く煙に向かい頭を下げて謝った。


すると一瞬だけ何かがそっと頭に触れた気がして顔を上げると何も無かった。


しかし何故かこの子が私に『もういいよ』と許してくれているような気がした。



(私はなんて事をしたのだ…)



私は心を入れ替えるきっかけを作ってくれた彼女の事は絶対に忘れず無駄にはしない事をこの燃える火と立ち昇る煙に向かい改めて誓っていた。


それから気持ちを新たに私は師匠の元で一からやり直す事にした。


全てまっさらな状態で改めて知識を入れ込み今度は師匠の人に対する接し方も注意深く観察していた。


改めてみると本当に自分は未熟者だったのだと思い知らされた。


この時に改めて師匠に酷い奴と言われた意味もわかってきた。


思い知らされ、初心に戻り学ぶ月日を過ごしていたある日……



「そろそろお前も実践したらどうだ?」



師匠にはそう話されたが私はまだまだ足元にも及ばないと思えた。



「師匠…出来ればもう少しだけ……」



こんな風に断ると面白そうにして私を見た。



「お前はあの子で学んだ事を無駄にしないように頑張っているね。

その気持ちがあれば今度こそちゃんと出来る筈だ。何かあればすぐに私に相談しなさい。

そろそろお前を待ってる村の人達がいるから戻りなさいね」



そう諭され仕方なく村に戻った。






私が再び村に戻ると村人達は喜んてくれた。


そして村に着いて初めにしたことはあの子の墓参りだった。


祈りを捧げながら改めてまたここで人を救いたい事を報告しながら決意を固めた。


この場で今度こそ人と向き合う事を誓った。


実際に仕事をしてみて思った事は師匠の言う通り先ずは話を聞くことが大切だと気付いた。


なかなか話さない人もいたが根気強く話を聞くと症状がわかった。


(なるほど…師匠はこの事の大切さを教えてくれたのか…)


改めて患者と向き合うと確かに知識と照らし合わせて終わりでは無かった。


もっと複雑だったのだ。


私は知識が全てだと思って勉学に励むだけだったが経験があって初めて生かされる知識もあることに気付いた。


命を預かる意味を軽く考えて本を読むだけではダメだったのだ。


生きているからこそ複雑であることにやっと気付いた。


様々な症状が複数現れる合併症と言うのもあることは知っていたがそれを見極める事がこんなに大変だったとは…私は気付きと反省の日々を過ごした。


そのたびに師匠の偉大さを改めて知り、きっかけを与えてくれたあの子へ感謝の祈りを捧げるのが私の日常となっていた。


月日が過ぎて気付けば私は村でとても信頼して貰える魔法薬師となっていた。







それから何年も月日が経つと弟子が出来た。


私は師匠となり彼らを教える立場になった。


するとまた気付く事が出来た。


今度は教える大切さを学ばせて貰った。


弟子の中にはやはり若気の至りで私の様な者がいた。


彼は何を言っても私の声は届かないだろうと予想出来た。


そこで私は彼に1日だけ診療をさせてみる事にした。


その時に一言だけ忠告した。



「人の命を預かる覚悟をしなさいね」



弟子はこの重さの意味がわかっておらず軽く頷くだけなのがわかった。


そして弟子が診察を初めた。


案の定やはり人を見ていなかった。


私は診療所を閉めてから弟子を連れて往診に向かうとやはり帰宅途中で倒れていた人がいた。


以前の私ならこの村の者だからと思い患者の名前しか知らなかったが、後から知ったのだがあの子は別の村から来ていたようで彼女を知る乗り合い馬車の御者を偶々探し当てる事が出来た時に自分の甘さと愚かさを痛感して、診療所を再開してからは住所等も聞くことにしていた。


今回はそれが功を奏していた。


弟子を見てあの時の師匠と同じ言葉を吐いた。



「お前は酷い奴だなぁ」



この時の弟子はあの時の私と同様に青ざめていてなんとなく気持ちがわかった。


私はすぐにその人を助けに向かい今回はなんとか命は取り留める事が出来た。


そして暫く弟子を連れて往診に向かう事にして家まで送り届けた。


建物の一室に戻ると弟子に尋ねた。



「お前は何をみて判断した?」



弟子は動揺しながらも口を開いた。



「患者の言葉と知識で照らし合わせてました」


「それは確かに必要だがそれだけで済むなら何故あの人は倒れたんだろうねぇ?」


「………」



弟子は気まずそうに視線を泳がせた。



「今回は私の目の届く範囲で大事には至らなかったね。でも、もしこれが独立して一人で対応しなければならないとしたらどうしてた?」



弟子はハッとした顔をした。


私はこれ以上は何も言わずに彼が何を話すのかずっと待つことにした。


暫く沈黙が続いたが私が何も言わなくなったために自分の意見を聞かれているのだとやっと気付いたのか口を開いた。



「私は今回と同様にただどうすることも出来なかったと思います」



「それはそのまま見捨てるということだね?その意味はわかってるのかな?」



「 ……」



弟子はまた唇を噛み締めていた。



「ではお前はこれからどうするべきだと思う?今回で何を思い何を感じた?」



私は彼を促す様に言葉を選びながら話すと彼は悔しそうにしながら口を開いた。



「…私は今まで人を生かすために学んできました。

そして知識を得ることが好きでしたけど…今はそれだけでは足りないのだと気付きました。

師匠、私はまだ師匠の足元にも及びません。

もう一度だけ私に一からご指導を頂けないでしょうか…」



彼は自分の弱さを私に示した。


私は彼を見ながら改めてあの時の自分を思い出していて師匠の気持ちがなんとなく理解出来た気がしてあの時の師匠のように静かに口を開いた。



「わかった。では一からやり直しなさい。

そして私の指示ではなく今度は自分で考えてどうするべきかを行動で示してみなさい。

私はお前の行動でどう成長したかを見極めさせて貰うよ。その時にまた意見を聞こう」



彼はその後は言われた通り自分で考えて患者とどう接するべきなのか私の行動を注意深く観察するようになった。


過去の私の様に。


そしてあの倒れた人の往診へ行ったとき…



「未熟者で申し訳ありませんでした」



患者に対して深々とお辞儀をして謝罪した。


患者は驚き目を見開いたがすぐに穏やかな顔に戻して口を開いた。



「立派になったらまた診てくださいね」



穏やかな口調でこう言われると弟子は少し目を潤ませていた。



「こちらこそ宜しくお願いします」



弟子はまた深々と頭を下げていた。


私は診療所に戻る道で彼に話しかけた。



「許して貰えて良かったね」



彼は堪えていた涙が溢れて拭った。



「はい…師匠のお陰です。手遅れにならなくて本当によかった。

僕一人ではとても対応出来なかったです。

今まで知識だけあればいいと思って勉強だけしてましたけどそれは大きな間違いでした。

知識では知っていた事でも対話して初めて気付く病もあるのだと知りました。

師匠を見てそれがよくわかりました」



彼はとても良い表情をしていた。


もう大丈夫だろうと思い、独立の許可を出すと彼は別の村へと行き優秀な魔法薬師として皆に頼られていると噂で聞いた。


私はそれから何人も弟子を取ることになった。


この頃になると私も師匠のように多少は名の知れた薬師となっていた。


名の知れた者となると皆が有り難がったが私は私の出来る事をやったまでだ。


私の弟子達は皆、対話の大切さを知る良い魔法薬師に成長してくれた。



(あの子は少しは私を許してくれているだろうか…君のお陰で少しでも苦しむ人が減ったと思うけど君はどう思うのだろうか…これからも私の動ける範囲でやれるだけの事をするから見ててくれ)



今日も彼女の墓に向き合いながらあの日の事は長い月日の経った今も鮮明に覚えている。



『後悔と感謝』



あの日、ああすればよかった。


あの時、こうすればよかった。


何度考えただろうか。


出来ることならやり直したい…


そう思うが時は戻る事はないし、それをすると彼女をまた苦しめる事になるだろう。


私は称賛されるかもしれないけど無かった事にするのはなんだか狡をした様な気になるのでこれでいいのだと思える。


罪は罪。もし戻れたとしても私の中で一人の人間の未来を奪った事は無かった事には出来ない。


だから私はこの命が尽きるまであの子の様な者が少しでもいなくなるように尽力する。


それがあの子への私なりの誠意だから…


人を助ける者が業の深さで人を殺める事をしてはならない。


私は人を少しでも良くするためにこの道を選び、日々過ごしているのだから…



『命を扱う者に奢りも傲慢もいらない』



必要なものはただ一つ。



『救いたいと思い行動すること』



だだそれだけなのだから…


私は今日もあの子を想いながら患者と向き合い人々に寄り添い治療するだけだ。





ここまでお読み下さった皆様、有り難うございました。

この作品は何となく書きたくなった話をなんとなくで書いてみたものです。

内容が重いのでここでは敢えて登場人物に名前を付けず、ある師匠と弟子の話としてさらっと読めるようにしてみました。

名前やその人物の特徴が無いので読みにくいと思われた皆様には申し訳ありません。

あまり深く入らないようにするとこうなってしまいまして…何卒お許し下さいませ。

小説を書き始めて文章の表現が単調になりやすく表現を豊かにする難しさを痛感してますがその辺りは無視して軽く読んで楽しんで頂けると幸いです。

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