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【本編完結】復讐という名の友情~冷めたカフェオレと薔薇のトゲ~  作者: 三愛 紫月


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side コウキ

初めて、陽人を見つけた時から気づいていた。


「はるちゃん……」

「えっ?」

「あっ、すみません。こちらにサインいただけますか?」

「あっ、はい。今しますね」



今の会社に働く前。

俺は、宅配業者で働いていた。

そこで、陽人に出会ったのだ。



「会社に働きたくないって言ってなかった?」

「働いた方が、より夕貴の役に立てると思うんだよ。どうかな?」

「まあ、確かに。あそこの人達は、私の事を嫌ってるわけだし」

「そうだろ?じゃあ、ちょうどいいんじゃないかな?」

「でも、本当にいいの?自由に働きたいって言ってたのに……。あそこで働いたら、残業だってあるわよ」

「いいの、いいの。夕貴の役に立てるなら」


デタラメな嘘を並べても、はるちゃんの近くに行きたかった。

それが、例え。

夕貴を傷つける未来への道を進んでいたとしても……。




「結婚って、相手は?」

「女の子なんだよ」

「はあ?女?コウキ、お前自分が何者かわかってんのか?」

「わかってるよ。だけどさ、俺達みたいなので結婚してうまくいってる人だっているだろ?」

「あのなーー。思春期のよくわからないのとは違うんだぞ!俺もお前も、もう立派な大人で。どっちが好きか何か火を見るより明らかだろ?なのに、女と結婚するなんて馬鹿な事言うなよ」



高校生の時に交際していた織部保おりべたもつは、俺に呆れた眼差しを向けていた。



「だけど、女性と結婚してうまくいってる人だっているんだよ。俺は、彼女を幸せにしたいんだ」

「コウキ。それは、無理だよ」

「保には、わからないよ。保は、女性を好きになった事がないんだから」

「だったら、勝手にすればいい。だけどな、よく覚えとけ!お前は、絶対にまた男を好きになる。だってお前は、産まれた時からこっち側なんだから」



吐き捨てるように言って保は、帰って行った。

そんなわけない。俺は、ずっとずっと夕貴を愛してる。

結婚して、夕貴との子供をもって、この先もずっと一緒にいるんだ。


あの頃、思っていた気持ちは、嘘じゃなかった。

だけど……。

保に言われた、《《こっち側》》。

俺は、そうだった。



そう気づいたのは、陽人に会ったせいだ。

夕貴の会社の傘下にある会社へと働き始めた俺。

別の会社ではあるものの、陽人の会社と関わりが深く。

働き始めて、数ヵ月後には俺達はすっかり仲良くなっていた。


「栄野田さんって、いつも遅くまで残業してるの?」

「栄野田さんじゃなくていいよ。コウキって呼んで」

「じゃあ、俺も陽人でいいから」

「了解!そうだな。部長が人使い荒いから」

「それわかるわ。俺の所も同じ」

「やっぱり!今時は、そういうの駄目とか言うけどさ。まだ名残、残ってるよな」

「わかる、わかる。そういう昔ながらの体制が嫌だよな」



陽人と仲良くなれて嬉しかった。

あの頃と違って、笑ったり怒ったりできる。

それだけで、よかった。

よかったのに……。



「コウキ、俺、結婚するんだ……」



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