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3.夫の浮気3


 夫……、もう他人だから元夫ね。彼とは残念ながら縁を切ってお終い――という訳にはいかない。何しろ『夫の有責で離婚』なのだから。

 


「ああ、忘れていたわ。こちら慰謝料の請求書ね」


「っ!? 何だこの額は!!? こんな大金払える訳ないだろう!!!」


「あら、これは正当なものよ?」


「何が正当だ!!」


「だって、貴男の有責で離婚だもの。当然、私には慰謝料を請求する権利はあるわ」


「だ、だからといって……」


「それに、これだけの額になったのは貴男の自業自得だわ」


「なっ!?」


「だってそうでしょう?この半分は貴男が愛人に貢いだお金ですもの」


「ふざけるな!あれは僕のお金だろう!!」


「違うわ。子爵家のお金よ」


「僕は子爵家の人間だったじゃないか!なら僕の金だ!!」


 そんな訳ないでしょう。

 馬鹿なのかしら?


「何度も言うけれど、子爵家のお金は貴男の金ではないわ。私のお金よ」


「一緒だろ!!」


 どこが!?

 全然違うでしょう!

 結婚のときに婚姻契約書にサインしたでしょう?内容を読まなかったの?


「貴男は飽く迄も子爵家の婿という立場でしかないわ。養子縁組をした訳でもない。ただ私の夫という地位でしかないの。当主である私が貴男にお小遣いを渡した訳でもない。勝手に使ったお金は世間で横領と言うのよ」


「はぁ!?」


「元夫で娘の父親という立場を考慮して訴えなかったに過ぎないわ」


「何を言って……」


「まだ分からないのかしら?貴男は最初から最後まで、私の財産を食い潰していただけなの」


「う、嘘だ!!」


「嘘ではないわ。貴男、子爵家の仕事を何一つしてこなかったじゃない」


「それはアザミが……」


「ええ、そうね。私が無理に仕事をする必要はないと言ったわ。でもね、それは貴男に浮気を許す事でも、女性を囲い貢がすためでもないの。これは子爵家に限った話ではないわ。貴族に愛人は付き物とは言うけれどね、それは義務を果たして仕事をこなしてからの話よ。貴男は何もしていないでしょう?」


「……」  


「ましてや貴男は入り婿。愛人なんて持てる立場じゃないでしょう?違う?百歩譲って持てたとして、それは正妻の許可があっての話だわ。もっとも正妻だって極潰しの夫に愛人なんて許さないでしょうけどね」


 私の言葉に元夫は黙って頭を垂れた。

 

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