3.迷い込んだのは
「さぁて、何から試そうかしらね……今から楽しみだわ」
鼻歌でも歌いそうなほどご機嫌な魔女の声を、私は魔女が持ち歩く鞄の中で聞いていた。
ぐにゃりと視界が歪み移動したかと思えば、次の瞬間には有無を言わさずここに詰め込まれていたのだ。
何か魔術が施されているのか通気性がよく、息苦しくなったりはしないけれど、心は沈んでいく一方だった。
封印を受け入れて、魔女について行くことを決めたのは自分だ。私が、実の両親さえ殺した不吉の子だから。
本物の黒猫になってさえその厄災は全てが抑えられるものではないらしく、力ある魔女の傍にいることで漸く無力化できるほどに、私の呼び込む厄災は強いらしい。
だから、これから先ずっと黒猫のままでいることも、魔女の実験台にされることも、覚悟はしている。
私は、村に厄災を呼び込んだ不吉の子なのだから──何よりも、あの愛情深い両親を死なせてしまった償いとしては、余りにも軽いとすら思う。
けれどこの命で償いたくても、それすら許されないと言うのだから酷い話だ。
私の気分などいざ知らず、魔女は弾んだ声で話しかけてくる。
「色々やりたいことはあるのだけれど、とりあえず今日は食事をした後、街の宿に泊まるわよ。動物を連れて良い宿じゃないし……まぁ大丈夫な宿でも、黒猫は入れてもらえないでしょうね。だからバレないように大人しくしていてちょうだい」
飄々とそう言う魔女は、私の返事など求めていないのだろうけれど、一応みぃ、と応えておく。
封印をした張本人である魔女には私の言っていることは分かるらしいから、今ので伝わるだろう。とはいえ自分の喉から出る高い鳴き声には未だに慣れなかった。
魔女は本当に私が逆らうことなど考えておらず、かといって見下したり粗雑な扱いをするかというとそうでもない。
無関心とは違う気がするけれど、善意もなければ悪意もない、本当に不思議な人間だ。
「食事はどこにしようかしら……あ、丁度出店があるわね。そこで軽く済ませましょう」
常に高級なレストランにでも通っていそうな風体をしているのに、街の屋台で済ませると聞いて少し驚いてしまった。
魔女は孤高の存在であるイメージが強いけれど、案外市井に紛れて暮らしているのだろうか。恐ろしい魔女に、まさか馬鹿正直に尋ねることはできないけれど。
「貴女にも何か適当に買ってくるわ。かさばるからここで待っていて。認識阻害の魔術を掛けているから、鞄から出なければ見付かることはないわ」
軽い衝撃を感じて、鞄の僅かな隙間から外を覗くと、どうやらベンチの端に下ろされたようだった。正直に言うと心細い気がしたけれど、そんなことを言える立場にはない。
大人しく待つことしか選択肢のない私は、遠ざかる黒いローブを見送った。
何か買ってくると言っていたけれど、この状態の私は何が食べられるのだろう。猫の獣人はなにも本物の猫ではないから、普通の獣人が食べるものは何でも食べられる。
けれど今は本物の猫なのだし、これからは生の魚とか、ささみとか、そういうものしか食べられないのだろうか。お母さんの、あたたかくて美味しい料理が恋しい。
無意識にそう思って、それから酷い自己嫌悪に襲われた。──二度と食べられなくしたのは、自分のくせに。
ズキズキと痛む胸に、きゅ、と強く目を瞑った所で──唐突に、ドン、という音と共に、大きな衝撃を感じた。
ぐるりと視界が反転し、それから急に、視界が明るくなった。同時に、焦ったような子供の声が聞こえて。
「うわっやべ、誰かの鞄にボール当たった!」
「なにやってんだよお前! てか、あんなとこに荷物なんて──うわっ、黒猫!?」
光に目が慣れると、ざわざわと悲鳴のような声が周囲から聞こえてきた。
目を開けて周囲を見回すと、こちらに向けられているのは、産まれたときからずっと村の獣人達に向けられていたのと同じ──恐怖と蔑みの視線で。
ぶわりと血の気が引いて、代わりに毛が逆立った。
子供のボールが魔女の鞄に当たって、衝撃で鞄が落ちてしまったのだろう。その拍子に、私も外へ飛び出してしまったのだ。
そこまで何とか理解して、けれど頭の中はパニックだった。
魔女のところへ向かおうにもどの辺りに居るのか分からないし、あんな人通りの多いところへ黒猫が飛び込んだらきっとパニックになってしまう。
けれど判断する暇も無く、恐怖と嫌悪に顔を歪めた獣人が腕を振り上げた。
「不吉な……! さっさと出てお行き!! 気味の悪い黒猫め!!!」
ガッ、と自分のすぐ隣に投げられた石が勢いよく飛んできて、ぶわりと尻尾が膨らんだ。
今の石がもしも頭に当たっていたら、こんなに小さくて無力な姿では死んでしまってもおかしくはない。
どれほど罪悪感に押しつぶされて、死んでしまった方がマシだと思っても──私は、死ぬわけにはいかない。
『言っておくけれど、ここでこの娘を殺したら、下手をすれば国が滅びかねないほどの大厄災が起きるわよ』
私は、死ぬことすら許されない、不吉な赤目の黒猫なのだから。
そう思った途端、力強く前足が地面を蹴っていた。走り出すと、酷く身軽で驚いた。獣人の姿だった時よりも、余程速く走れる。
背後からはまだ怒声が聞こえてきたけれど、気にしていられないくらい私は必死だった。
とにかく、人がいない所まで逃げなくては。魔女とは後で、なんとか合流するしかない。生存本能と言えばいいのか、これまでにない身軽さで、とにかく駆けて駆けて──……
そうして気が付けば、全く見知らぬ場所で動けなくなってしまったのだった。
「みー……」
途方に暮れたような声が喉から出た。既に辺りは暗くなり始めているのに、ここがどこなのかはさっぱり分からない。どの方向から来たのかさえ怪しかった。
せめて宿の名前を聞いておけば、と後悔したけれど、それでも一人で辿り着けるかというと正直自信が無い。
誰かに道を尋ねることもできないし、それどころか人に見られた時点で生命の危機だ。
幸い暗くなり始めたことで、闇に紛れて人には見付かりにくくなったけれど、とにかくどこか安全で、休める場所を探さなくては。
人に見付かるのもまずいけれど、夜に野犬などと出くわそうものならいよいよ為す術がない。
残り僅かな体力を振り絞って人目を気にしつつ幾分か歩いてみると、横目にとても大きくて豪奢な建物が目に入った。
柵で囲われていて、重要な建物であることは一目で分かるのに、何というか、生気が無いし閑散としていた。
大規模なパーティーなどをしていてもおかしくない雰囲気なのに、門の前に門番らしき犬の獣人が幾人かいるくらいで人の気配がほとんどしなかった。
その門番達も、何というか、心ここにあらずな悲壮な表情をしていて。
──もしかしたら、ここなら案外見付からないかもしれない、と思った。
柵の中は恐らく一般人は立ち入らないのだろうし、こんなに広い敷地なのに人が少ないなら、倉庫の端っこ辺りを一晩間借りしても見付からないかもしれない。柵があれば野犬も入ってこられないだろう。
穴だらけの思考であることが分からないくらい、私は疲れ切っていた。とにかく安全な場所でゆっくり休みたいということしか考えられなくて、柵の合間を縫ってするりと敷地の中へと足を進める。
こんな細い隙間を通れるか不安だったのに、頭が抜けたら流れるように通ることができて驚いてしまった。
この生け垣はどうだろう、でも舗装された道がすぐ傍だから見付かってしまうかも、ではこっちの花壇は、などとうろうろしているうちに、いつの間にか敷地の中の豪奢な建物のすぐ傍までやってきてしまっていた。
いくら敷地が広いとはいえ、建物の傍なら人の出入りがあるはずだ。慌てて離れようとした所で、すぐ傍の窓から声が聞こえて、ぶわっと驚きで毛が逆立った。
「──ダ、……様……」
けれどすぐにそれが嗚咽だと分かり、私は困惑した。しかも、聞こえた声は初老の男性のもので。
大人の男性が泣くほどに悲しいことが、ここであったのだろうか。そういえば門番らしき人達も、どこか悲痛な表情を浮かべていた。
もしかして自分が一晩間借りしようとしている場所は、何か大変なことが起きた場所なのではないかと思うと、どうしてもその場を離れることができなかった。
それどころか、情報を得ようとつい耳をそばだててしまう。好奇心猫をも殺す、ということわざを、私はすっかり忘れていた。
「……私達一同、心からお帰りをお待ちしておりましたのに……もう、このお部屋を使われることがないなんて……」
こちらの胸まで痛くなってしまうような、酷く悲痛な声だった。拾えた言葉は少ないけれど、何となくこの場所で起きたことを理解してしまう。
門番達の様子といい、静まりかえった雰囲気といい、このお部屋を使われていたやんごとない身分の方は、ここに帰ってこられないくらい酷い状態か、もしくは亡くなってしまったのだろう。
それを、きっと使用人であるこの人は嘆いているのだ。知らなかったとはいえ、そんな状態のお屋敷に更に不吉な黒猫が潜り込んでしまったことを申し訳なく思った。
パタン、と先程の人物が部屋の扉を閉める音を聞いてから、私は考え込んだ。
やはり、不吉な黒猫が一晩だけだとしても滞在するのは良くないかもしれない。多少リスクを負ってでもここから離れた方が良いだろうか。
でも、もうそんな体力は残っていない。魔女の言うことによれば恐らく私が死んだ方がまずいことが起こるし、申し訳ないけれど今晩だけ敷地の端っこを貸してもらって──と、そこまで考えたところで、ぴくりと耳が動いた。
すぐ近くで、人の足音がしたのだ。考え込んでいて気が付かなかった。どうしよう、近くに隠れられそうな場所がない。もうすぐにそこの曲がり角から来てしまうのに。
私は慌てふためき──そうして視界に飛び込んできたのは、ほんの僅かに開け放たれたままの窓だった。考える暇も無く、ぐっと腰を上げ、前足を強く踏み込んで──……
「……ん?」
「どうしたの?」
「……いや、今何かいた気がしたんだけど……気のせいだったみたい」
私は上体を伏せて、ばくばくとうるさい鼓動を感じながらその会話を聞いていた。どうしよう、咄嗟のことだったとはいえ、思わず目の前の部屋に飛び込んでしまった。
しかも窓のすぐ傍にベッドがあったらしく、見事に素晴らしい寝心地のベッドに着地してしまった。
当然美しく整えられていたシーツには皺が寄ってしまっていて、心底申し訳ない気持ちになる。
きっとここがもう使われることがないとしても、主人を想う気持ちで整えられていたのだろうに、私が駄目にしてしまった。
無駄な足掻きとわかっていつつ前足でちょこちょこと直そうと試みるけれど、むしろ余計に広がってしまった気がする。
ひとつため息をついて皺を伸ばすのを諦めると、私はぺたりと腰を下ろしてくるりと部屋を見回した。
月明かりだけではよく見えないけれど、天蓋つきのベッドといい、酷く豪華な部屋だ。きっとこの部屋の住人は、本当に身分の高いお方なんだろう。
そんな人の部屋に不吉な黒猫が入り込んでしまったことは背筋が凍る思いだけれど、すぐに体から力が抜けた。
この部屋の住人は、亡くなってしまっている──かは分からないけれど、少なくとももうここを使うことはないらしい。
だとすれば、自分やシーツの皺を見咎める人物が、今夜ここを訪れることもないだろう。
そう結論付け、早めに部屋からお暇しようと前足を浮かせて──ぴたり、と止まった。出来心だったとしか言いようがない。
言い訳をさせてもらえれば、封印され猫にされてから、精神的な意味でも身体的な意味でも、本当に疲労が溜まっていたのだ。
それと、仮にも元は年頃の猫獣人の娘であるからして──天蓋付きの高級ベッド、というものには、憧れがあったりもして。
「……み、みゃあ」
ちょっと丸まってみるくらいなら、許されるかな。
──あとはお察しだった。ほんの少し、寝台の柔らかさを堪能したら、すぐにお暇するつもりだったのに。溜まりに溜まった疲労の末に、いつしか瞼は自然に落ちてしまっていて。
そういえば猫の語源は寝子から来ているだとか、どこかで聞いたことがあるような、ないような。
そんな益体もないことを思いながら、私は自然と眠りの世界に引きずり込まれていた。
──どれくらい経ったのだろう。しつこく残る睡魔に瞼が開かないまま、しかし自身がすっかり寝てしまっていたことに気が付いて、慌てて起きなければ、と自分を急かした。
しかし、どうにもこの小さな体は思うようには動いてくれなくて。自分が考える以上に疲労が残っていたのか、それとも動物の本能なのか、もう少し、どうかあともう少しだけ、と自分を甘やかしてしまう。
そうしてとろとろと夢と現実の狭間をさまよっているときに、ぶわりと、これまでに感じたことがないほどの良い匂いが広がった。
これは、夢だろうか。夢の中で匂いを感じることがあるなんて初めて知った。こんなに良い夢は初めてだった。両親が亡くなってからはずっと、あの日の悪夢ばかり見ていたから。
勝手に借りてしまって申し訳ないけれど、高級な寝台の効果だろうか。むにゃ、と緩む口元を動かせば、酷く優しい手つきで、誰かに触れられた感覚がした。
その手があんまり温かくて、心地よくて、涙が出そうだった。本当に、良い夢だ。
こんな風に私に触れてくれるのは、大好きだった両親だけ。私が死なせてしまったのに、あんまり都合の良い夢だった。
けれどどうしようもなく嬉しくて、夢ならばきっと許されるはずだと、その温かくて大きな手にすり寄った。
すると、息を詰めるような音がして。それから、私の体に触れる温かな手が、僅かに震える感覚がした。
「──俺の、……俺の、番。……漸く……ッ」
そんな、押し殺したような呟きが聞こえて。あぁ、この温かな手は両親ではなく私の番だったのかと、すとんと夢うつつのまま理解した。
こんな夢を見るなんて、そんな余裕はなくて考えたこともないと思っていたけれど、自分は両親のような想い合う番に憧れていたのだろうか。
不吉な黒猫の私に、そんなものいるはずないのに。いたとしても、きっと出会わない方がいい。だって、相手が不吉な黒猫だなんて、あんまり可哀想だ。
だけど、だけど、夢ならば。私だけを愛してくれる、私が愛しても受け止めてくれる番の存在に、少しだけ寄りかかってもいいだろうか。
泡沫の幸せを噛み締めながら、その大きな手にすり寄って、ちいさな前足で抱き込むように捕まえてぺろぺろと毛繕いをする。甘えるように軽く噛んで、まるで子猫が親にするように。
石になってしまったように動かない手に焦れて、急かすように額をぐりぐりと擦り付ければ、おそるおそる、というのに相応しい動きで頭を撫でられた。
それが驚くほど心地よくて、自然にごろごろと喉が鳴る。
夢だから。誰かにちょっとだけ、甘えたいと思っても許して欲しい。そんなふうに好き放題していたら、物足りないほど優しい力でそっと頭を撫でていた温かな手が、ぴたりと止まった。
それからその指先が、探るように、はめられた金属の首輪を撫でて。
「……誰かに飼われていたのか。道理で……」
低い声で呟いたと思えば、丁寧な手つきでもう一度首輪を──そこに刻まれた文字を、指先で辿って。
「────……『ノエル』」
確かめるように辿々しく、しかし愛しいものを呼ぶようなその声に──パチンと、弾かれたように意識が覚醒した。あれだけ重かったはずの瞼も、ぱちりと開かれて。
そうしてその瞬間──月明かりに照らされた、この世のものとは思えないほどに美しい男性と、目が合った。
月明かりが反射してきらきらと光る金髪に、エメラルドのような吸い込まれそうな瞳。
天上に住まう人だと言われれば信じてしまいそうなその男性と視線がかみ合って、頭が真っ白になった瞬間──その人が、酷く愛おしいものを見るかのように、とろりとその宝石のような瞳を蕩かせて。
その瞬間、理性より先に本能が、理解してしまった。
────……この人は、私の番だ。
疑いようもないほどに。苦しいほどに。理性など全て無視して、本能が狂おしいほどこの人を求めていた。
何よりも愛おしいと、尽くしたいと、永遠に共に在りたいと。本物の猫になってなお、焦げ付くような獣人の本能に急かされて、何を考える間もなく導かれるようにその胸に飛び込もうとして──
『不吉な黒猫め!!!』
今までに数え切れないほど投げかけられた怨嗟の声が、すぐさま頭に反響した。す、と頭が冷えて、ぴたりと、浮かせかけた前足が止まる。
そう、前足だ。……今、私は獣人の姿ですらないのに、何を。
──いや、獣人の姿であったとしても、私は不吉な黒猫の獣人だ。番の傍に居て良い理由なんて、どこを探しても見付からない。
突然のことで頭の中は大混乱で、何が何だか分からないし、どうしたらいいのかもさっぱりで──けれど、一つだけはっきりしているのは。
この人から、離れなくては。厄災を運ぶ私は、この美しい人の傍に、ほんの少しも居てはいけない。
ぱ、とすぐに身を起こして距離を取ると、番は怪訝そうに眉を寄せた。けれどそれに構っていられない私は、じり、と目を合わせたままベッドを後ずさって。
反射のように伸ばされた手を、するりと躱して──呆然とした表情をする愛おしい番を、最後とばかりに目に焼き付けて、それから。
──身を翻して勢いよく跳び上がり、開かれたままの窓枠に足を掛けた。
行く当てなんてどこにもない。どうしたらいいかわからない。それでも、厄災を運ぶ不吉な黒猫が、ほんの少しだって愛おしい番の傍に居るわけにはいかない。
とにかくできるだけ遠くへ離れて、心を落ち着けて、それから先のことを──……
「────『動くな』」
魂の底まで響くような、本能的な畏怖を抱かせる声だった。
窓から飛び出すはずだった前足は、比べものにならない強者の威圧に簡単に動かなくなって、ぺしゃりとベッドに転がるように、ちいさな体は部屋に逆戻りした。
どくどくと心臓は逸って、ぶわりと毛が逆立って。そうしてつま先すら動かせない私を掬い上げるように、酷く優しい手つきで抱き上げられた。
温かくて、心地よい手。なのに、その腕に抱かれても、本能の底に刻まれた畏怖で、体が震えて仕方がない。
そんな私を酷く優しく撫でて、番は底の見えない、昏い瞳で笑った。
「──ねぇ、俺から、逃げようとしたの?」
酷く優しい声なのに、ぞわぞわと、本能の底から湧き上がる畏怖と恐怖が、体を支配していく。
──番を見つけた強い喜びに支配されていた私は、気が付いていなかったのだ。
「……逃がさない。絶対に、逃がすものか。──君は永遠に、俺と共にあるんだ」
己の番が、獣人の頂点に立つ竜人であり、全ての獣人の本能に刻まれた王であるということを──




