俺達の日常の意味
「.....コンビニ行ってくるわ。」
朝8時の始まり、飲み物を買おうと外を出た。
8時という事もあり、小学生や中学生達が学校へ登校する姿が見える。
少々懐かしみを感じつつ、一人コンビニに入る。
「飲み物飲み物~.....あっ、売り切れとる......まじか....何買おう....」
お目当ての飲み物が予想外にも売り切れていてどうしようかと思い、飲み物売り場をうろうろしていると、横から女性がやってくる。
俺は邪魔になると思い避けた。
すると前を通る時に女性からなぜ故か睨まれた。
「......?俺今、めっちゃ睨まれてなかった~?」
しかしあまり気にせず、プリンを買って家に戻った。
───────
「あーうまいなぁプリンというのは~!あーうまいうまい!」
『お兄ちゃん私のはぁ?』
そう言って期待の目を向ける空。
「お前の分?そんなのあるわけないだろ?買って来いよ自分で。金あんだろ?」
『ひどーい!買ってきてくれないなんて!買ってきてよー!』
そう言ってポカポカ肩を叩いてくる。
「えーやだよ自分で買えったらよー.....外にもろくに出ねぇくせによぉ.....」
『買ってきてーーー!!!』
空が叩いてくるのを肩叩きとして堪能しつつプリンを食う。
しかし肩叩きの威力が上がってきて、俺はついに折れた。
「っ~....!!分かったよっ!クソっ!せめてお前の金よこせ!ほらっ!」
そう言って空の前に手を突き出す。
空から金を強引に貰い再度コンビニへ向かった。
「クソっ....なんで俺が買いに行かなくちゃならん...!」
グチグチ文句を垂れながらコンビニに向かう最中、見覚えのある女性が現れた。
《.........》
「.....なんです?どいてもらってもいいです?」
しかし俺の言葉には何も答えず俺を睨みつけるだけ。
「......いいですか?行っても...?」
《........》
俺は女性の横を通り、気まずい気持ちになりつつコンビニでプリンを買って帰る。
《家の前》
「さっさとあいつの顔にプリン投げつけてやろっ」
家の前につき、ドアを開ける。
すると家の雰囲気が何か変だった。
「空ァー!?帰ったぞー!?」
名前を呼んでも応答が無い。
「空...?ん?なんだこの靴.....空のか...?」
不思議に思いながらもリビングに入ると―——
「お前返事しろよ........あれ?」
リビングにいるはずの空が居なかった。
「空ァー!?買ってきたぞー!?.....トイレか...?」
そう思いトイレの方へ行くが、トイレのカギはかかってなく居なかった。
「居ない......空...?」
リビングに戻ったが俺はそこでもうわかった。空が居ないのはトイレに行ってるとか部屋で寝てるとかでは無いのだと。
この家に居ない......そう思う事が自然だ。
「異様だ.....何かが起きている......」
突然の事で焦りを感じていると、俺のスマホから着信が掛かってくる。
「非通知...?どこからだ...?」
そして通話に出ると、女性の声が聞こえた。
《もしもし....そのスマホは、氷都 美夜様のでお間違いないでしょうか?》
「.......誰だ...?」
《私は詐忌。貴方の妹様はこちらに居ます。
今から指定するロケーションに───》
さも当然のように話を続ける相手の言葉を遮りこう言う。
「待て待て待て待て。何言ってんだお前誰だ?いきなり何がしたいんだ?一般人に向かって何してんだ?」
《一般人?貴方はエリートなので周りの人間とは違うじゃないですか。ご謙遜はいりませんよ?》
俺はすげぇ驚いた。この通話相手の女は俺がエリートだと知っていた...!
「なっ...お前っ!なぜその事を...!?
何者だお前は!!」
《....."桜木町駅前広場".....そこで貴方を待っていますよ.....では───》
そう言って通話は一方的に切れた。
「待てっ.....クソっ...!なんなんだ今のは....
桜木町駅前広場...?......行こう。」
銃といっぱいの予備弾を持って桜木町駅へと向かった。
《桜木町駅》
到着するや否や、待ってましたかのように女が空を連れて立っていた。
空を見ると目隠しと、口に猿轡をつけられていた。当然手を後ろに回し縛られていた。
「お前....空を返せ...!」
その女の見た目は明らか女子高生。
状況に合わないストリート系の着こなし。
コイツの存在の異様さが一際際立つ。
《社交辞令は通話だけ。ここからは普通に話すけど君....エリートだよね?》
「.....だったらなんだよ」
《同行してくれない?君の身柄をAll本部に引き渡したい。抵抗しないで。》
そう言って手錠を取り出す女。
「何をする気だ?空の方だって何の真似だ?あんなまでに拘束する必要無いと思うんだが?身柄を引き渡してどうするつもりだ?」
《君達をAllの言うことを聞くようにしたいんだ。略して言えば奴隷。エリートだけで構成された組織に入ってもらいたい。
仲間にならない、私達に敵対するならどこに居ようと必ず殺すよ?》
俺はそんなあほらしい話につい嘲笑してしまった。
そして俺はその話にこう返した。
「っ.....悪いがその話には乗れない。俺も空も。他を当たって、さっさと空を返せ。
殺すぞ?」
《......あぁいいよ?殺せるもんなら.....殺してみな?》
俺は銃を女に向け睨む。
そしてすぐに銃を撃とうと引き金を引く......
その瞬間———
「.......っ!?なっ!?」
引き金が引かれる瞬間、意識と関係なく俺の手首が曲がり自分の方に銃口が向いた。
俺は弾が出る瞬間思いっきり仰け反り銃弾を避けた。
《おー避けた避けた。凄い動体視力。》
「ハァ——ハァ——ハァ——今何がっ....俺の手が....勝手に俺の方に...?どういう.....」
突然俺が俺を撃とうとした。
その事実に酷く狼狽えていると、女が言った。
《アタシに攻撃しようとするなら、目を瞑った方がいいよ?最も、目を瞑った状態で当てられるもんならね?》
目を瞑って....この言葉....何を意味してるんだ....ヤツの能力の事を言ってるのか...?
警察A〘ちょっとお前!その子はなんだ!?誘拐か!?〙
警察官が市民の通報で駆けつけてきた。
警官の一人が女の腕を掴もうとしたその時———
〘っ....ぐぉぉぁあああ!!!〙
その警官の男の手が逆方向に折れ曲がった!
男は手を押えて地面に伏した。
《あーあ....可哀想.....》
「男の手が....逆に...?」
そう思っていると突然女は空を置いて逃げ出した。
俺は空の事も心配したいが、逃がす訳にもいかなく、仕方なく空を放って女の後を追った。