瞬間的闘い
俺達が所属する組織、通称【P.E】
P.Eは【perfect agency】の略で..........え?
"頭文字"が"略称"と違う?ふーむ......その事だが........
数年前俺がその事についてボスに話をした事があった。
するとボスはこう言った───
«創始者《初代ボス》のミスだろう。でもEの《《読み方》》(エ)と、Aの《《発音》》(エー)同じだしいいだろ。»
────と。妙に納得してしまうのが少し癪ではあったが、まぁ良しとしよう。
《正午/自宅》
「腹減ったな......空ぁ~お前は腹減ってないか?」
ソファに寝転がっている空に言うと、ムクッ!と勢いよく起き上がり空が嬉しそうに言った。
『ご飯食べに行くの!?だったら赤レンガの店行こうよ!!』
「えーあそこはもう何年も前から行ってるから飽きてんだよな~....別ンとこじゃダメか?」
しかし空は引き下がらない。
『えーやだやだやだやだぁ!!!いーきーたーいー!!!行かないと私組織抜ける!!!』
「...........分かった...分かった行くよ....行くったら....早く用意してくれ......」
『やった〜お兄ちゃん大好き~♪』
《赤レンガ倉庫》
「着きましたっとぉ。」
『早く早くぅ!!早く食べようよぉ!!!』
子供のようにはしゃぎ、俺の腕を倉庫の方へ引っ張る。
無邪気なのはいいことだが....金を出すのは俺だ。交通費も食費も、こいつも俺と同じくらい持ってんのにだ。財布すら持ってきやがらねぇ。
空に連れられ中に入ると中は人の海。
「あ~こりゃ席も空いてなさそうだし、まぁ別の店行こうぜ?中華街で食べ歩きとかさ....なぁ?」
横にいるはずの空に言うが、空は隣に居なくなっていた。
慌てて辺りを探すと、空が席に座る客に話しかけていた。
『すみません、そこの席....譲ってくれませんか...?』
〈は?何言ってんすか?良い訳ないじゃないすか。他探して座りなよ。〉
男は明らかだるそうに受け答えする。空も何とか粘って交渉していた。
俺は見てられず、たまらず止めようと空に駆け寄る。
「もう.....空お前やめろ!」
『........すみませんでした....あっ、でも気を付けてください....その席.....』
〈....はぁ?さっきっから何言ってんだあんた?〉
困惑する客を放って、俺の腕を引っ張って離れていく。
そして先程の席の方を指さしてこう言った。
『見ててお兄ちゃん。さっきの人の方。』
「.....?」
すると、そいつの席の方に飯を持ちながら歩いてくる友達?が。
不思議に思いながら見ていると、飯を持つ奴が突然前に転んだ!
「あっ!!ぷっ!笑」
『っ....笑笑笑』
男の頭には、オムライスの卵の部分が覆いかぶさって、俺達はそれを見て大笑いした。
「ぷははははははっ!笑笑笑笑」『あっはははははっ!笑笑笑笑』
男は恥ずかしさか、普通に怒りなのか、顔を真っ赤にして席を離れていった。
『あーはははははっ笑笑笑笑』
《倉庫外》
『追い出されちゃった』
「......仕方ない。他を当たるか。」
街をぶらぶらと歩いていると、ふと路地の方に何か人みたいなのが倒れてるように見えた。
俺は少し路地の方が気になり路地の入り口へと向かう。
『どしたのさ......んぅ?』
「.......っ!うーわまじかっ.....」
路地の入口には青色のゴミ箱があった。
異臭がし、ごみ箱の中を覗き込むと.....身体中がバラバラにされた人間の死体が捨てられていた。
「死体だ......足も腕もバラバラだぜ.....」
『うわ〜.....えぐい~.....』
死体の存在に唖然としていると、突如路地の奥から人が走り去る足音がした。
「っ......何か良くないことが起きている気がする......音のした方へ向かおう。」
俺達は路地の奥へ行き、殺したヤツの追跡を始めた。
「この死体の身元は後で調べるとして、殺した奴は?
既に路地に抜けてそうだな....このまま路地を出て町中を探そう。」
『お兄ちゃん止まって!!』
空がいきなりそう叫び、止まろうとしたが....横の隅から手が伸びてきた。
横から俺の顔の前に伸びる手は、俺の頭を掴み横の通路奥へ引きづり込んでいく。
「うぉぉぉおおっ!?ぐあっ!くそっ離しやがれっ!!」
引きずられる最中咄嗟に拾った石を男の頭目掛け投げつける。
石は男の頭にヒットし、手の力が緩む。
【っ.....】
手が離れ、地面に頭を打ちつつ解放された。
「痛って......クソっ...!」
『男が逃げていく!』
後ろから通路に入って来ていた空が、俺の先から走り去ってく男を追う。
俺も空に続いて男を追いかける。
【チッ....おい今どこだ?.....今路地を出て通りに出た。俺を追跡する奴等の始末、頼んだぞ。金は出す、俺の場所は分かるだろ?なら真面目にやれよ?じゃあな。】
──────
追い続けついでに路地を抜けるが、路地を出た時に男の姿や足音は忽然と消えた。
『あれ...?見失っちゃった.....』
「足音もぱったりと消えてしまった........とりあえず倉庫の方に戻ろ——」
そうしようと再度路地に入り戻ろうとした時───
?〈ちょっとそこの君たち?待ちなよ〉
後ろから前から銃を持った変な奴が現れた。
「.......警官?」
〈警官じゃない。でも正義の味方ではある。〉
男の見た目は先程追っかけてたヤツとは違い、一見若そうで歳も20歳くらいの見た目。暗い緑の髪色をしており、目が開いてんのか分かんねぇくらい細い。
「正義の味方?なら助けてくれよ。あそこのゴミ箱に死体が———」
〈死体?死体はこれからなるお前らの事か?〉
「......なんだと?」
ヤツの喋り方はえらく不愉快だ。皮肉じみた言い回し。
とにかく気に障るやつだ。
「何者だ貴様は.....特殊能力保持者か?」
〈さぁな。しかしお前がそう聞いたってことは、お前はエリートだってことを自白したってわけだがな。〉
男はそう言うと銃を抜き、俺ら向けて撃つ。
「訳の分からんことを...っ...!?クソっ喰らえ———っ!?」
『えっ...!?』
反撃しようと銃を抜き前に構えた時、前にいたはずの男は.....俺たちの前から消えていた。
すぐに後ろを向くと、余裕そうな感じで俺達の後ろに立っていた。
「なんだと.....貴様っ....瞬間移動...!?」
〈さぁ、お披露目会だ。お前たちの能力は?見せてくれよ。〉
『.....っ!お兄ちゃん撃って!男の右手を!』
空がそう叫び、俺はすぐさま男の手を撃つ。
ヒットし、男は銃を地面に落とした。
〈っ......ほう....女の方は...未来予知の能力か......俺が撃つのを分かっていたようだ.....それでは男の方は...?〉
男は左手で銃を拾うと、それと同時に姿を消した。
すると空がまた叫ぶ。
『後ろからきっと撃ってくる!後ろに瞬間移動する!!まだ能力を使えないから単なる予測に過ぎない!構えて!』
「っ!っぶねぇ...!」
空の勘は見事に当たり、俺は間一髪銃撃を避けた。
すると男は言う。
〈その予知能力....厄介だな。一体どれくらい先の未来まで見れるんだ?〉
「喋ってる場合じゃねぇぞ!!」
油断している男の腹に一発直撃させる。
〈っ!!〉
「分かったかよ俺の能力。あぁ?」
〈くっ...!〉
男はまたもや姿を消した。後ろを向くと奴はやはりいた。
すぐに撃とうとしたら、ヤツはまたもや瞬間移動した。
「なにっ!?どこだ!?」
〈ここだ——〉
男は俺の真後ろかつ足元にしゃがんで、銃を俺の足に突きつけていた。
蹴り上げてやろうとしたが、足に銃撃を食らい、撃った瞬間奴はまたもや姿を消した。
『これを知らないでやってんなら凄いよコイツ.....お兄ちゃんの《《弱点》》を知らないのに......』
「クソ.....これは....きついなぁ......」
ほぼ能力と弱点がばれている状況で、どうしようかとかなり焦りを感じていると......
〈ぐはっ!!〉
突然男は右胸を押さえながら、血を吐いて地面に跪づいた。
「......何してんだ...お前.....」
〈.......女っ.....お前....予知したな...!?俺が移動する位置を...!予知して....その瞬間を撃ったな...!?〉
何のことかと思い、空の方を見ると銃を男の方に向けて撃っていた。
空の持つ銃の銃口からは煙が出ていた。
『今のうちに!5秒後にまた移動し始める!早く!』
「あぁ!とどめだ!」
男を目で捉え、銃を頭に撃つ。
〈クソ.....ぐあっ!!〉
強い奴かと思ったが、意外にもあっさりと死んだ。
「あっさりだな。しかしなんだったんだこいつ。」
『しーらない。終わったんならご飯食べようよご飯!赤レンガ!』
「はいはい。分かった分かった。行くぞ。」
──────
【.....クソっ...!あいつら....エリートだったのか.....ひとまずこの事をあの方の伝えないと........】