兄妹のやり方
【前回のあらすじ】
エリート兄妹の美夜と空。
その二人は暗殺の依頼をボスから受け取り空港へ向かう。
首都高湾岸線を走る二人の車が、走行中突如として車に衝撃が走る。
その時車の後ろから火が燃え上がる。
この二人の先は───
「っ!?なにィ!?」
突如車のケツから火が着いた!
ミラーを見ると車体に何かが付いているのが見えた。
「あれはなんだ!どこから付けられたんだ!
クソっ!やはりタイヤがパンクしている...!
コントロールが出来ないっ!マズイっ!」
コントロール出来ず車がハイウェイから落ちるギリギリのとこで止まり横転した。
爆発する前に俺達は車を出た。
「クソっ.....なんだあれはっ...!?何か車の側面に付いていたぞ...!」
『粘着爆弾か何かだよ.....絶対そう......車が無くなっちゃった....どうしよう.....』
道路で突っ立ってんのはあまりにも危険な為、横にある物流センター前に避難した。
─────
場所を移動し、ボスに連絡をする。
するとボスは想定していたのか、その物流センター付近に車を用意していたらしい。
驚いたがとにかくその車を使い、再度ハイウェイに出る。
《道中/首都高速湾岸線》
「あの人は何故こうなると知っていたんだ?しかし今はそんな事は考えてる場合じゃない。気を付けろ?お前の短所は次の予知能力が見えるのは予知してから10秒経ってからだ。
とにかく周りを警戒しておけ。」
『大丈夫分かってる。警戒しとく。』
到着するまで何事も無く走行出来た。
数分後空港に到着し、空港内に駆け込む。
《第2ターミナル》
『黒のスーツにネクタイ無し.....まさかアレ!?
いやあれはネクタイある.....いや違う.....同じ格好の人の中に誰かいる...?』
「......あれだな。周りのヤツはボディーガードだな。ガッチリしてる奴等だぜ。」
空が指を指す方向には、旅客達も物珍しく見ている黒いスーツの男5人程に囲まれ、その中心にターゲットが居た。
「しかしボスの言う通り今日は人が多くて、誤って関係無い人を撃つ可能性があるな.....」
『近づこう....近距離で仕留めようなら.....』
俺達は銃を服の中に隠し、乗客に扮して近づく。
ターゲット[演説場はここから何分だ?急ぐんだ。]
男との距離が残り2mくらいになってきた頃、護衛の男の1人が俺達の方を見て怪しみだした。
「っ......気付かれたか...?」
護衛A〈.....何故こっちをじっと見ている?〉
「っ?いえいえ、なんでも?貴方に用はありません。そこの男に用があるんですよ。」
そう言って護衛男の後ろにいる男を指差す。
〈貴様何者だ...?このお方に用があるだと...?〉
「えぇそうです。ですから早く退いてくれよ。でないと......撃つぜ?」
護衛の男は俺が暗殺者という事に気づき、俺を取り抑えようと腕を掴まれる瞬間、銃を懐から出し護衛Aの頭に向けて撃つ。
銃声が響き空港中が騒然としだす。
[っ!?今の音は!?おい護衛共!私を守れ!]
そう叫び護衛男達が男を取り囲む。
俺は残りの護衛を全て撃ち殺す。
最後に男を始末するべく射撃する時、運悪く弾詰まりを起こした。
「何っ!?マズイ!クソっ!こんな時に...!
弾詰まりなんてっ...!」
その間に男はエレベーターを上がり逃げる。
それを既に見越してか空が男の後を追う。
『逃がさない!待てっ!』
急いで私もエレベーターを上がり男を追う。
『あーすみませんちょっといいですかね~どいてどいてどいてーーー!!』
そして猛ダッシュでエスカレーターに居る客を強引に押しのけ急いで駆け上がる。
[な...なんなんだあの女はっ!?]
『えぇい待てぇ!!逃げるなぁ!!』
[うぅぉぉぉぁああ!!?]
2階の窓付近に男は逃げ、私はその後ろを追いかける。
窓の前で男が行き止まりで左右をキョロキョロしている瞬間、男にタックルし窓ガラスを突き破り、身体が宙に投げ出される!
『うわぁぁああ!!!』[何ぃぃぃ!!?]
《一方兄は》
「.......クソっ...弾詰まりだと...?昨日整備したばっかだぞ...?」
まさか整備不足かと思っていると、後ろから視線を感じた。
振り返ると、エレベーターを駆け上がっていく謎の人物の姿が。
俺は怪しさ全開な人物の後を追っていく。
すると奴は展望デッキへ行っていたのを追い、俺も展望デッキへと出た。
すると待ってましたかのように俺を待ち構えていた。
「......お前...俺の事見てたろ?何者だ?」
【....なんだよ...俺はただの旅客だぞ?何者だってお前こそ何者だよ。】
ヤツはニヤケ顔で俺にそう聞き返す。
「お前....特殊能力保持者だろ?
俺昨日銃の整備したんだ。なのに弾詰まりを起こしやがった。寝る前に整備したのにだ。
お前....物やその他に...."欠陥"を引き起こす能力だろ...?そんなやつが居るのを聞いた事がある。お前だろ?」
そう言って銃を男に向かって構える。
【......よく分かったな。でもその弾詰まりは俺の仕業じゃない。んで?お前は何者だ?】
「言うわけねぇだろばーか」
そう言うとソイツは、鼻で笑い俺にこう言った。
【フッ...まぁいいだろう。俺はあくまであの男の護衛であって、今からお前と戦うだとかそう言うのはやらない。今日の予定に戦闘の予定は入れてないからなぁ。】
すると男は俺の横を通り、展望デッキを出ようとする。
俺はソイツにこう言う。
「待て。お前や俺のような特殊能力保持者は、他にいるのか?」
【......さぁな。なんの事かな───】
そう言いヤツはその場を去る。
そしてその瞬間、何かが割れる音がした。
何だこの音は....ガラスの割れた音?
それになんだ?耳を澄ませると声が聞こえてくるぞ....?
『うわぁぁああ!!!』
[ぬわぁぁああ!!!]
なんだと!?空に......ターゲットの男...?
何やってんだアイツ!?なんでこんな事...!?
─────
『うわぁぁああ!!!やばい怖い怖い怖い!!!』
死ぬ事を悟った男は死体のように何も喋らない。そんな事そっちのけで私はこの瞬間をどう切り抜けるか考える。
『.......っ!車っ!車の上だ!』
地面との距離がもう5メートル。落ちる───
───何かが強くぶつかる音が周囲に大きく響き渡る。
『────っ〜.....痛ったァ〜.....痛すぎる.....
これ骨イってるよなこれぇ〜......ってうぅわっ!やっっっばっ...!!オエェ〜......』
偶然あった車の上に私は着地したが、男はそのまま地面に落ち体から血を死ぬ程流し死んでいた。
『うわやっばァ〜......っ?』
«「おい!お前何やってんだ!」»
生存してた事に安堵していたのも束の間、無線から物凄い怒号が聞こえてきた。お兄ちゃんはいつでも元気だ。
『あ〜お兄ちゃん〜.....氷都 空はこの通り生きてます!タフガールです私!』
«「お前正気か!?なんで窓から落ちんだよ銃で殺して終わりだろうが!取り敢えず早く戻ってこい!」»
『あいりょーか〜い.....』
満身創痍な身体だが、何とかお兄ちゃんの元へ戻ってきた。
《数分後/車内/帰路》
『今日の私!凄かったでしょ?2階から飛び降りたの。バリン!とガラスを割って2階から登場!かっこよかったでしょ〜?』
.....コイツはいつも調子の良い奴だ。
どんだけミスしようが、何をしようがずーっと明るいヤツだ。
今回はまぁ.....派手にやったとはいえやってくれたのは事実。ちゃんと褒めてやらんとな。
「あぁ凄かったよ。お前の手柄だ。良くやったな。」
そう言い左手で空の頭を撫でた。
『えへへ〜ふふ〜ん♪』
《後日/朝》
ニュース《昨日の午後16時、東京都大田区羽田空港の第2ターミナルから滑走路の方へ1人の少女が飛び降り、その後姿を消しました。
下敷きになったであろう車は、非常に深い凹みができていまして───》
「──お前ニュースに載ってるぞ〜〜〜」
『ま、私有名人だもん!』
「反社会的にな」
『さ、さぁね〜アハハ〜....』