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06 おふたり


 気が付くと、三人手をつないで、大きな大木のそば。


 あの黒い何かは、もう無いみたい。


 って、大きな大木って言い方、おかしいですかね。


 そもそも大きいから大木なわけですし。


 などと余計な事を考えていたら、



「こんにちは」


 うひゃぅ、びっくり。


 すぐそばに誰かいたよ。



 そばにいたのはふたり。


 ひとりは同い年くらいの男の子。


『鏡の賢者』と呼ばれているそうです。


「モノカさんたちは、けんちゃんと呼んでくれています」


 よろしくです、けんちゃん。



 もうひとりは、信じられないくらいに素敵なメイドさん。


『伝説のメイド』のアヤさん、だそうです。


 よろしくです、アヤさん。



 お互い自己紹介の後、大木のそばで、お茶会。


 アヤさんが煎れてくれたお茶が、びっくりするほど美味しかったです。


 エルミナさんも驚いていたから、本当に美味しかったのでしょうね。



 エルミナさんとシスカさんは、モノカさんたちからおふたりのことを聞いていたみたい。


 この世界の人たちでは手に負えないような厄介ごとを解決してくれているすごいおふたり、ですって。



「はぐれ迷宮、どうでした」


 けんちゃん、わくわく顔。



 ずいぶん昔からこの世界を旅してまわっていたおふたりでも出会えなかったほどの、すごいレアイベント、なんだそうです。


「そんなすごい迷宮に、僕なんかが入っちゃって良かったのでしょうか」


「カミスさんたちだったから良かったんですよ」



 どうやら『天秤の迷宮』っていうのは、人によってはとんでもなく危険な場所だったみたいです。


 探索者のそれまでの人生の善行と悪行の積み重ね次第で、難易度が激変するとか。


 つまり僕みたいな冒険者なりたて初心者だったから、あんなに簡単な迷宮だったのですね。



「いいえ、善行の積み重ねが大きく上回っていたからこその『伝説級』ですよ」


 なるほど、僕はともかく、エルミナさんとシスカさんはすごく良い人ってことなんですね。


「カミスさんって、いつもこんな感じなのですか、エルミナさん」


「そうなんです、アヤさん。 もっとぐいぐいして欲しいと思っているのですが」


 ぐいぐいって何ですか、エルミナさん。



 そうだ、僕の指輪のこと、詳しく聞いてみよう。


「『絆結びの指輪』は、共有型のアイテムですね」

「誓いを結んだ相手との気持ちの結びつきが強いと、精神状態やステータスにプラスの付与効果が働きます」

「あと、取得経験値の増加と共有の効果もありますね。 指輪の所有者が前衛の戦士だと、通常より多めに得た経験値を、共有している後衛のヒーラーも得られる、みたいな」

「もうひとつ、感情共有効果もあるので、共有相手の嬉しいとか悲しいを、より深く感じられるようになります」


「つまりは、すごくお得な結婚指輪、ですね」


「まさにその通りです」


 なぜだか、エルミナさんが嬉しそうですね。



「ひとつだけ質問が。 『鑑定』結果に『複数契約可能』とあったのですが」


 僕も気になってたんですよ、シスカさん。



「先ほど結婚指輪と言いましたが、ご夫婦間のみならず、信頼のおける仲間たちにもばんばん使ってくださいって事です」


 なぜだか、エルミナさんがとても嬉しそうですね。



 楽しいお茶会も終わって、お別れのご挨拶。


「今日は、いろいろとありがとうございました」


 三人で、深々と礼。



「こちらこそ、楽しかったです。 モノカさんたちにもよろしくお伝えください」


「そうそう、シスカさんの剣。 同じ名前の盾もありますので、もしよかったら探してみてください」


 おふたり、深々と礼。


 そして静かに『転送』で去っていきました。



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