05 三階
これで三度目。
目の前に見えるのは、やはり通路が一本のみ。
「進む前に、調べます」
広範囲探査魔導具で探査開始。
地図が……出ますね。
「ここも一本道みたいです。 魔物もいないです」
警戒は怠るべからず。
迷宮内部を『鑑定』してみると
『天秤の迷宮』3/3
「三階層のうちの三階です」
にこにこしているエルミナさんと、きりりとしたシスカさん。
「それでは、進みますね」
警戒しながらみんなでゆっくりと前進中。
エルミナさん、つないでくれたのは片手だけ。
うん、もう一方の手には、さっきの杖があるし、しょうがないよね。
残念に思っちゃう僕、だいぶ調子に乗っているみたいなので、
シスカさん、後でお説教、お願いします。
到着したのは、そこそこ広い部屋。
中央には、小さなテーブルに乗っている、小さな宝箱。
「宝箱を『鑑定』します」
『探索者の長の想いに見合った贈り物』
罠は、無し。
「最後は、僕の分の宝箱みたいです」
思い切って開けると、
「指輪、かな」
宝箱の中には、質素な指輪がひとつ、のみ。
「『鑑定』します」
『絆結びの指輪』
種別:指輪
希少度:伝説級
特殊効果:所持者の守護対象への想い次第で誓い人と絆が結ばれる
※複数契約可能
『鑑定』結果を聞いたふたり、顔を見合わせました。
「『誓い人と結ばれる』って……」
エルミナさん、お顔が真っ赤です。
「『複数契約可能』とは……」
シスカさん、お顔が少し怖いです。
最後も、伝説級アイテム。
なんだけど、僕の指輪だけ効果が分かりづらいな。
結婚指輪っぽいけれど、複数契約って、なんなんだろう。
「とりあえず、ここから出ようか」
シスカさんから言われて、みんなで手をつなぐと……