9-7 パーティ 2
可愛い子にはいろいろと着せたくなるらしいです。
評価&ブクマ、ありがとうございます。
並べられた衣装はどれも凝っていた。男の子用のいわゆるスーツ系なのに、レースやフリルがふんだんに付いている。スカートみたいなものがパンツの横に付いている服もあった。
どれも中性的な感じに仕上がっている。
一つは、これはほとんどドレスですよね?というデザインもあった。
「さあ、どれから着る?」
アルバートはボクに聞く。意見は尊重してくれるようだ。
(どれからでもいいっス)
心の中で、答える。どうせ全部着ることになる。
だがそれだと話が進まないので、一番左端を指さした。こういう時、左から行きたくなるのは何故だろう? 本とかも左端から並べたくなるよなとかまったく関係ないことを考えた。
アルバートが服を持ってくる。
着ていた服を脱がされ、新しい服を着せられた。立っているだけで、アルバートが甲斐甲斐しく着せてくれる。
ちなみに、今着ている服も着せたのはアルバートだ。自分でも着れるのにと毎朝思うが、それがアルバートの楽しみなのだから付き合うことにしている。
ボクなりのサービスだ。
更衣室はないので、部屋の片隅で着替える。
着終わると、みんなの前で披露した。
鏡に映るボクはどれを着ても似合う。
全部可愛かった。
(可愛い子って得ね)
しみじみ、思った。前世でもこうだったら、洋服選びはさぞ楽しかったに違いない。
そう思ったら、楽しまなきゃ損な気がしてきた。
開き直って、モデルばりのポーズを決めてみる。オーディエンス(ロイドとカール)が大いに盛り上がった。気分がいい。
一通り着た後、みんなの意見で二着に絞られた。それをもう一度、ボクは着ることになる。
(衣装替え、七回目。何度着ても一緒なんだけどな……)
心の中で突っ込むが、言うだけ無駄なのはわかっている。素直に着替えさせられた。
アルバートとロイドの間で議論が白熱している。
2人とも、変な拘りを持っていた。
こっちの色が似合うとか、このデザインが可愛いとか、ボク的には(別にどっちでもいいんだけど)的なことで譲らない。
というか、アルバートが独断で決めて構わないのに、どうしてロイドの意見を尊重しているのかが不思議だ。2人はよりボクを可愛く演出するために、意見を出し合っている。
「ふにゃあぁぁぁ」
ボクは欠伸を漏らした。
正直、飽きている。
それ見て、ルーベルトは苦笑した。
「ねえ。アルバートの服に合う方を選んだらどう?」
提案する。一向に進まない話し合いに、一石を投じた。
「それもそうだな」
アルバートは納得する。
「着替えてくる」
そう行って、部屋を出て行った。
ボクはほっと息を吐いた。
「疲れたにゃあ」
ルーベルトに寄っていき、苦情を入れる。何回も着替えて、ぐったりしていた。ルーベルトにもたれ掛かる。
「ごめんね」
ルーベルトに謝られた。頭を撫でて、慰められる。
お菓子も貰った。
ルーベルトの隣に座って、食べる。
損なボクの頭をルーベルトはよしよしと撫でた。
それが気持ち良くて、目を細める。
「いいな~。私も撫でていい?」
ロイドが寄ってきた。
「なんか、嫌」
ぷいとそっぽを向く。
「なんで?」
ロイドはショックを受けた。
「減るものじゃないし、いいでしょ?」
強請られる。
「ロイド先生に触られると減る気がする」
ボクはふるふると首を横に振った。
それを聞いた、カールが爆笑する。
「確かに」
大きく頷いた。
「カール」
ロイドはカールをじろりと睨む。
カールは肩を竦めた。
「そう言わずに」
ロイドは諦めない。
そこにアルバートが戻って来た。今日のパーティで着るスーツを着ている。
それはとても似合っていた。青い色を基調にしている。
(五割増し格好いい気がする)
疲れも吹き飛ぶ気がした。落ちまくっていたテンションが上がる。
手招かれて、アルバートの隣に立った。
「どう?」
アルバートは尋ねる。ロイドを見た。
ロイドはじろじろとボクとアルバートを見比べる。
「うん。同色系の青で揃えた方が、主と従者感が出るね」
大きく頷いた。
パーティは夜とは呼べないような夕方くらいから始まった。
(早くない?)
そう思ったが、パーティに参加するのは初めてなので、何が普通なのかがそもそもわからない。
アルバートは髪をオールバックに流し、いつもより大人びた雰囲気を醸し出していた。今でも十分にイケメンだが、あと数年経ったら大人になって、今以上にモテモテになるんだろうなと思う。
(なんか、嫌)
漠然と、そう思った。自分のだと、主張したくなる。ぎゅっと、アルバートの服の端を掴んだ。それに気付いたアルバートがボクを抱っこする。
首に手を回し、しがみついた。
ぎゅうっと強く抱きしめる。
「どうした?」
アルバートはボクの背中をよしよしと撫でた。
何でもないと、ボクは無言で首を横に振る。
誰かに取られる未来を予想したなんて、自分でも痛い。言いたくなかった。
アルバートもそれ以上、聞かない。答えないことを許してくれた。
アルバートはボクを抱っこしたまま、挨拶に回る。
おじさんおばさんという人たちのところや、お祖父さん世代の人のところをピンポイントで移動した。
どこでも、ボクには無遠慮な視線が向けられる。
じろじろと見つめるその眼差しは好意的なものとは限らなかった。
心の中で、口の端を上げているのが見える気がする。
野生の勘なのか、自分に向けられる視線が好意なのか敵意なのかはなんとなくわかった。
「あら、まあ。その子が噂の?」
高そうなブローチをつけた夫人が、大きな声を上げる。
(嫌味なの?)
ボクは思わず、身構えた。
だが、その人はそういう人らしい。言葉に裏はなかったようだ。ただ物珍しそうにボクを見ている。
「にゃあ」
とりあえず、ボクは愛嬌を振りまいた。
みんなと話し合って、学園と同様に喋らないキャラで行くことにした。あれこれ聞かれるのは面倒だと言うことになる。ネコ語オンリーなら、何を言われてもにゃあにゃあ鳴いていればいいので楽だ。ボクへの質問はアルバートが答える事になっている。
その分、愛想は良くすることにした。アルバートの身内に嫌われたくない。
そうやって、参加者の半分くらいには挨拶をした。
ぴくぴく動くネコミミには常に視線が集まる。
学園の人はさすがにボクに慣れてきた。半年も経つと、獣人が居るのも普通になる。もう無遠慮に見られるようなことはなかった。
今日は久々に見世物になった気分を味わう。
(いろんな意味で消耗する)
どっと疲れた。
それでも笑みは絶やさない。ネコの可愛さでみんなをメロメロにするつもりで頑張った。
偉いところにしか挨拶には行きません。
月一ペースの震度5に完全に心が折れている宮城県民なので更新、お休みしようかとも思ったのですが、結局、しています。^^;




