模索とアクア
「さて、バニル君。私はアクアって言います。今日からよろしくね。」
「バニルといいます。よろしくお願いします。」
「すごい礼儀正しいね。私のことは先生って呼んでね。」
「はい!せんせい」
アクアさんは11歳といっているが、見た目は5,6歳に見える。まあ、幼女見た目なのだ。といっても僕は2歳なのでショタにしか見えないから言い返せない。
「バニル君、明日から訓練しようと思うけど大丈夫?」
「うん。」
本音は今からでもやりたい。まあ、明日からでも変わらないから、この欲は押さえつける。
「私はね、炎と風と温度と治癒のバイタリティもちなんだ。バニル君は何のバイタリティを持っているの?」
父もそうだが、アクアさんも4つのバイタリティを持つ。4つというのはあまりいない。普通は環境バイタリティだけか、2つバイタリティを持つのだ。ちなみに4つもつのは0.1%くらいだ。僕は3つもちだが、これも3%くらいしかいないので希少ではある。
「バニル様は今さっき計って、重力と治癒と防壁3つもっています。」
「そうなんですか。バニル君は攻撃というよりは後援型なのですね。」
ジェイさんは僕の代わりに僕の属性について答えた。確かに後援型だが、領地を将来的には取り返すのだ。攻撃もしっかり学ぶ。
「では、明日から毎日9時から12時まで練習しましょう。」
「はい。」
「しかし、場所はどうしましょか。」
「ハップンベル宅には大きな庭があります。そこでやってみるといいでしょう。」
確かにジェイさんの言う通りうちの庭は大きいから適している。僕も家のそばだしそこがいい。
「そうですね。ではそこで練習を行います。それにしても、カイル様は貴族と聞いていましたが、まさかハップンベル家だったとは。辺境伯家の坊ちゃんに教えるとなると腕が鳴りますね。」
アクアさんはそういうが今は子爵家だ。それよりも坊ちゃんというのはやめていただきたい。
「先生、僕の家は子爵家ですよ。5年前までは伯爵家でした。」
「そうなのですね。それでも私はバニル君を一人前の魔法使いにしますよ。」
そういってアクアさんは僕を撫でた。近づくとわかるがアクアさんは僕と10センチくらいしか身長が違わない。僕は今大体90センチだからアクアさんは100センチくらいであろう。
撫で終わるとアクアさんは僕の隣に立った。
「アクアさん、バニル君を家まで送ってください。」
「あの、僕一人で帰れますよ。」
ジェイさんは僕の安全を考慮してくれるが、正直家まで一人で帰れる。変装していれば、自分の身分もばれることがないから襲われることもない。
「そうはいきませんよ。アクアさん一緒についていってください。」
ジェイさんの押しもあり僕は言い返せなくなった。これは心配しての行為だから、今回は指示に従い僕はあきらめた。
「バニル君、一緒に家に帰りましょう。」
そういって研究所を出た。もちろん手をつないで。
「先生は、ギャップイヤーを終えたら高等学校に行くんですか。」
「はい、そうですよ。高等学校では本に書いてない魔法が習得できたり、いろいろな優遇措置が取られますからね。」
知らなかったが高等学校でしか学べない魔法があるみたいだ。
優遇措置については知っている。例えば毎年一定の生活費が支給される。寮生活で、将来の仕事も高位なものが約束される。ただ入るのが難しい。中等学校はたくさんあるのだが、高等学校は王都に一つしかない。もちろん倍率も高いのだ。
「それまでは魔法を研究しているのですよ。」
「そうですか。将来は何かあるんですか。」
「まだ決めてないですね。」
まあ、10歳の少女に将来どうするというほうが間違っているであろう。それを2歳が効くのもおかしいことだが。
アクアさんとしゃべっているうちにいつの間にか家に着いた。
「では、バニル君また明日。」
こうしてアクアさんとわかれた。
【次回】明日22時
※来年から一週間に5本ペースの大規模投稿を行います。