表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/37

師匠

「お父様、何か良くないのですか。」

「いや、よくないわけではない。ただな、どれも攻撃系の能力ではないのだよ。」


 確かにそうだ。重力に関しては攻撃に使えそうだが、他の魔法の能力は確かに攻撃に仕えると感じにくい。


「しかし、重力変換バイタリティはどうなのですか。」

「たしかに、人の体を重くすることは可能だが、その相手は動いている。重力系魔法を学べばわかるが、この魔法はある座標の部分の重力を変える。だからかけるのは難しいんだよ。」

「そうですか。」


 これは確かに攻撃面では不利だ。ただ逆に言えば少し無茶をしてもいいということだ。


「そんなに悪いわけではないよ。それに、別に攻撃魔法が使えないわけではないんだから、努力すればいいだけだよ。」


 そのとおりである。たとえ適性がないからといって、その属性の魔法が使えないわけではない。ただ、適性があるものとないものでは5~10倍近く質が違うのだ。


「頑張る!!」

「おお、そう来なくてはな。ジェイさん、この子に魔法を教えてあげたいんだ。」

「ほう、まだ2歳と聞きましたが。」


 普通、魔法が使えるようになるのは速くても5歳か6歳。大体10歳くらいで使えるようになるのが平均だ。


「なに、普通の子はこの年でこんな流ちょうに話せないであろう。この子は少し早熟なんだよ。」

「いわれてみれば、この年でここまで丁寧に話せているのは天才といえましょう。」


 ジェイさんは僕を見て感心しているようであった。そんなこと言われても前世からの年もあわせたら21歳なのだから当たり前である。


「なるほど、わかりました。では優秀な我が弟子をつけましょう。」

「おお、それは頼もしい。」

「今呼んできますので待ってください。」


 そういってジェイさんは部屋を出ていった。まあ、僕としてはある程度学べたら独学できるので優秀な人材でなくてもいいが、よい師匠ほどいいものはない。


「バニル、よかったな。ジェイさんは、もともとうちの執事だったんだ。うちの国じゃ5本の指に入る凄腕なんだよ。その弟子に教えてもらえるんだからな。」


 そうだったのか。バニルさんはもともとうちの執事長をしていたらしい。もちろんうちにいる明度と同じく戦闘ができるのだ。ただ、家財没収によりやむなくクビにしてしまったのだ。


「お待たせしました。教育者としてアクアさんをつけさせます。」

「ほう、アクアさんうちの息子に魔法を教えてやってほしい。」


 カイルはアクアさんによろしくとあいさつをした。アクアさんは僕よりも年上だがどう見ても少女であった。見た目7歳とかそこらへんだ。


「よろしくお願いします。」

「よろしくです。カイル様とバニルくん。」


 僕があいさつするとあいさつし返してきた。しかし、彼女は何歳なのであろうか。


「カイル様、この子はガンジール男爵の第4女です。年齢は11歳と若いですが、アベガス国立中等学校を3年半で卒業された才女なのです。今は魔法研究のため我がラボで研究しています。」


 それはすごい。中等学校は7歳になると身分問わず行け、貴族は必ず行かねばならない。国立中等学校はその中等学校の中でもトップ校である。平均8年で卒業するのだが、アクアさんは3年半で卒業したのである。

 学校のシステムは各試験をすべて通過したら卒業できるのだ。だから人によっては10年かかったりもする。中等学校を卒業するとある程度の職に就けるのだ。なので国民の80%は中等教育を受ける。卒業したら職に就いたり、高等学校へ進学したりする。しかし、アクアさんはギャップイヤーを選択したのである。

 これは普通より早く卒業したものによくある話だ。大体高等学校に入学するのは16歳だ。そんな中11歳で入ると友達ができなくなったり等の普通の生活ができなくなる。なので、ギャップイヤーをとり、勉学に励んだり、世界を旅してみたり、研究室訪問をしたりするのだ。

 つまり彼女は勉強熱心な天才なのである。もちろん、男爵といえど4女にたくさんお金はかけられない。なので研究室でアルバイトもこなすのだ。そうして彼女が選ばれた。


「しかし、所長!この子は私には2,3歳に見えるのですが。」

「バニル様は2歳になられたばかりです。しかし、この年で流ちょうにしゃべるなど天才なのです。」


 まあ、天才かは置いておいてしゃべれるのは確かに早い方である。まあ、前世16歳のころは天才と呼ばれていたから間違ってはない。

 前世では英検から数検といった、ほとんどの検定の一級を10歳で撮っていた。12歳で大学院レベルも理解していた。まあ、確かに普通とは違うかもしれない。中高は突狛つくこまに通っていたからある程度頭はいいであろう。まあ、大学は行く意味がないと思っていかなかった。


「そうですか。まあ、2歳は前例としてないですけど、お仕事なので頑張ってみます。」

「おお、そうか。報酬についてはひと月100イルでいいか。」

「本当にそんなにもらっていいんですか。」

「ああ、遠慮しなくていいさ。その代わりうちの息子を頼むぞ。…バニル、アクアさんと今後について話してらっしゃい。お父さんは先に家に帰るから、家に帰るときは変装するんだよ。」


 そういってカイルは部屋を出た。正直お父さんなんだと改めて思う。カリンは一人で街を出歩くなといったが、カイルは一人で買えるよう言った。まあ、実年齢21歳からすれば余裕であるが…

 とにかくやっと魔法が本格的に学べるのだ。これからが楽しみだ。

【次回】5月20日22時

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ