第1章 レインの長い夜②
今回は第2話に引き続き、第3話も更新しました!
楽しんでいただければ幸いです。
それでは第3話のはじまりはじまり~♪
「さあ、次はそなたの番だ」
「私か?」
「そうだ。なにか隠しておるのだろう。言え」
「……なんでもない」
自分自身、身体の異変には気づいているはずだ。
だが男は、頑なに話そうとはしなかった。
「そなたが仕える主は、わらわの薬で熟睡しておる」
「どうしても嫌だと言うのであれば、わらわが直々に脱がしてやってもよいのだぞ?」
不敵な笑みを浮かべるレインにピクリと反応した男は、上半身の衣服を脱ぎ捨てた。
「素直でよろしい」
レインは満足げな表情を浮かべながら答えた。
だが、背中の傷口を一見し、今度は言葉を失った。
3カ所ある傷口すべてが化膿しているのだ。
「これは……、矢を受けた傷であるな」
「……あぁ」
「他にはどんな症状がある?」
「しょう、じょう?」
「身体の不調だ」
「そう言えば、昨日の昼頃から……呼吸、が」
「呼吸がしづらいのか?」
激しく頷く男は、我慢できなくなったのか、強く胸を押さえた。
「おそらく、矢に毒が仕込まれていたのだろう」
「どく……」
「あぁ。多少手荒だが、いまからそなたの身体にある毒をすべて抜き取る」
「わか……っ」
本人からの承諾を得て、早速治療に取りかかった。
まず、化膿している3カ所すべてを治癒で回復させた。
その後、腕に小さな切り傷をつけ、そこに細い管を差し込んだ。
ここからが正念場である。
「収集」
魔法で体内の毒を吸い取っていく。収集と同時に探索を使用することも忘れない。
毒が残っていないか念入りに確認し、血が噴き出さないように布を当てながら管を引き抜いた。
その後、治癒で腕の傷をきれいに治した。
この収集は、最大使用距離が2mという欠点がある。
そのため、身体の部分ごとに管を通し毒を抜き取らなければならないのだ。
闇夜から開始した治療は、空が白み始めた明け方に無事終了した。
レインは、男が寝る前に薬草茶と念のために解毒薬を調合して飲ませた。
これで起き上がるころには体力がある程度は回復しているだろう。
小鳥のさえずりが、レインの長い夜の終わりを告げた。
第3話、いかがでしたか?
実は、これまでの話しの中で、シエルもほとんど話してないんですよね。
(なんかこんなのばっかりだな……反省します。)
第4話ではシエルが直面している問題が明らかとなってきます。お楽しみ!
それではまた。第4話でお会いしましょう。