未来へ
最終回です。
2年後-
貴臣の大学卒業後、二人は結婚した。更に1年が過ぎ、二人は新居近くにある公園のベンチにいた。
珠洲のお腹には小さな命が宿っていた。
「珠洲さん」
貴臣はドリンクを二つ持って来た。珠洲が立ち上がろうとすると貴臣が慌てて押し留めた。
「珠洲さん、身体に障るよ」
「まだ大丈夫よ。お腹だって出てないし」
珠洲は貴臣の過保護振りに苦笑した。
「医者も無理な動きはしないようにって言ってたじゃん。僕が出来る事は任せてよ。・・・珠洲さんより6歳若いんだから」
珠洲は貴臣に蹴りを入れた。顔を真っ赤にして。
「と、歳の事は言うな」
貴臣は痛いやら、珠洲が仕種が可愛いやらで複雑な表情をつくっていた。貴臣はドリンクを珠洲に渡すと、ベンチに座った。さり気なく珠洲は貴臣とくっついた。貴臣は珠洲のちょっとしたスキンシップが嬉しかった。
今日は久し振りの外出だった。つわりが酷かったため、自宅で静養していたのだ。つわりが収まり安定期に入ったので、近場に出掛ける事にした。取り敢えず近くの公園に来ていた。家族連れ、カップル、木陰で読書をする女性、それぞれが公園でのんびりとした一時を過ごしていた。
「どこに行こうか?」
ドリンクを飲みながら貴臣がさり気なく珠洲に聞く。特に行き先は決めていなかった。
「どこへでも」
珠洲は貴臣に優しく微笑みかけた。
二人は穏やかな生活を満喫していた。手を繋ぎ、今日もゆっくりと歩き出す。
「君の國」に向かって・・・
参考文献・Web等 (敬称略、順不同)
川村 裕子 平安女子の楽しい!生活 岩波ジュニア新書
川村 裕子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 更科日記 角川ソフィア文庫
坂口 由美子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 堤中納言物語 角川ソフィア文庫
佐々木 丸美 雪の断章 創元推理文庫
ねこいりねこ-JavaScript-テキスト変換-古文にする ※現代文を古文にする際、使用させていただきました。
他Web多数