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君の國(ほし)  作者: mocha
第3部(未来編) 第2章 諸々
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一重の独り言

 佐名木 一重(さなき ひとえ)は藤原 輝明と会っていた。藤原は「Nocheノーチェ tranquilaトランキーロ」のバーテンダーであり、一重(ひとえ)や珠洲の高校の同級生でもあった。大学は二人とは別々になり、一旦交友は途絶えたが、社会人になってたまたま寄った「Nocheノーチェ tranquilaトランキーロ」で再会を果たし、今に至っている・・・珠洲と一重(ひとえ)の公式の見解はそうなっているが、実は大学時代になっても一重(ひとえ)と藤原の交流は続いていた。

「珠洲姫と野々宮は上手く行ってるのかい?」

 最近すっかり「Nocheノーチェ tranquilaトランキーロ」に姿を見せなくなった珠洲を心配して藤原は一重に聞いた。

「もうすっかり安定期に入ったみたいで、ラブラブみたいよ」

「それは良かった」

「こっちがサポートする必要もないみたい」

 一重(ひとえ)はちょっと寂しそうに笑った。

「昔と違って二人は健康体だし、こちらが手を差し伸べる必要がなければそれが一番いい」

「ま、こっちの珠洲姫は体力が有り余っているみたいだからね」

 一重(ひとえ)(かたわ)らの藤原に寄り添った。

(今日は随分(ずいぶん)甘えてくるな。珠洲姫の世話が出来なくて寂しいのだろうか。そう言えば、昔は珠洲姫に付きっ切りだったもんな。)

 ・・・かつて、一重(ひとえ)は珠洲姫の乳母(めのと)・六条 (さぎ)、右大臣家の遠縁に当たった。そして、藤原は珠洲姫の専属医師であった。

 二人はかつて夫婦であった。

 一重(ひとえ)は高校時代に3人が前世の記憶がある事に気付くが、野の君の生まれ変わりがおらず、珠洲に話しそびれた。その頃は藤原も前世の記憶を(ほとん)ど持っておらず、一重(ひとえ)も藤原がかつての夫であったかどうか断定出来なかった。大学時代もちょくちょく会ってはいたが、前世の記憶に関しては進展が見られなかった。

 一重(ひとえ)は社会人になり、藤原はバーを転々としていた。数年前に藤原が「Nocheノーチェ tranquilaトランキーロ」にスカウトされ腰を落ち着けるようになり、偶然を装って珠洲と藤原を引き合わせた。珠洲姫と野の君が再会した事によって、何かが作用したように藤原に前世の記憶が戻った。

 自分たちが転生して来た理由は、珠洲姫をサポートしなさいと言う事だと思っていた。だから珠洲姫であった珠洲と再会した時、運命だと信じた。珠洲姫と野の君の再会を契機に藤原の記憶が戻ったからだ。でも、現世の珠洲は前世の珠洲姫とは違い、健康体で超ポジティブな女の子だった。赤い糸を自分で引っ張って強引に手繰(たぐり)り寄せてしまった。二人が何のサポートもなく上手く行っているのを見て、神様が自分たちに夫婦の時を再度プレゼントしてくれたのではと思うようになったと藤原に告白する。二人の薬指には指輪が輝いていた。(しばら)くは二人だけの時しか付けないが、珠洲に話した後、会社にも報告するつもりでいた。二人は既に同棲を始めていた。

 二人が付き合い始めたため、珠洲に話すのは思い止まっていた。いずれいつか話す事もあるだろうと・・・

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