奴隷商人、貴族の館へ赴く
いつもの行きつけのお店で昼食を取った後、午後の仕事を始める。
午後からの仕事は顧客への挨拶周り。
簡単に言えば「父が亡くなって私が後を継ぎました。これからもうちから奴隷を買って下さいね」とお願いに行くのだ。
最初に挨拶に行くのはウラース伯爵の館。
お金持ちの金払いが良い所謂、上客、上得意と呼ばれる存在だ。
馬車を借りるか迷ったが時間に余裕があったので昼食の腹ごなしも兼ねて歩いて行くことにした。
体感でおおよそ30分ほど歩くと豪華な屋敷の前に着いた。
門の前に立つ衛兵に名前を告げるとしばらく待たされた後、門の中に通される。
勿論、今日のこの時間に私が来る事はウラース伯爵に事前に伝え約束を取り付けてある。
そうでなければ、ただの庶民でさらに奴隷商人の私は衛兵に追い返されただろう。
いや、下手すると叩き返されていたかも知れない。
貴族様はそれ位は平気でやってくる恐ろしい存在なのだ。
ウラース伯爵の館は豪華だった。
広くて美しい庭には噴水があり、様々な綺麗な花が咲き誇っている。
庭の奥には白を基調とした美しい建物が建ち並び、離れた所に小さな教会のような建物まで見える。
所々に見える獅子を型どった飾りは伯爵家の紋章だ。
私は屋敷の豪華さよりもどこに獅子の飾りが隠されているのかの方が気になった。
好きなのだ、こういう獅子だとか双頭の鷲だとか喰らい合う二匹の蛇とかそう言うのが。
衛兵に館の前まで案内され、そこから執事に案内されてウラース伯爵に対面する。
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