奴隷商人、奴隷と二人きりになりたがる
一応、鏡で髪型や服装をチェックする。
何事も第一印象が肝心。
奴隷から見た奴隷商人なんて印象は最悪だろう。
少しでも印象を良くしておかないと口も聞いてくれないかも知れない。
コンコンとドアがノックされる。
「若旦那!連れてきました!」
「ひゃ、ひゃい!どうぞ!」
なぜかすごく緊張して声が裏返りそうになる。
ドアを開けてフォルクさんが黒髪の子供を抱えて入ってきた。
「言われた通り連れてきました!ほら、若旦那に失礼のないようにな!」
フォルクさんはそう言いながら小脇に抱えていた子供を下ろした。
子供には鎖で繋がれた手枷と足枷がはめられている。
これでは速く走ることは出来ない。
だから、フォルクさんは抱えて運んできたんだろう。
「あの、フォルクさん。出来れば二人にして貰いたいんですけど?」
「奴隷と二人きりですか?それはう~ん」
フォルクさんがあからさまに嫌な顔をした。
「だ、大丈夫ですよ、心配ありません!まだ子供ですよ!?」
私が慌てて胸の前で手を振る。
「まあ、そうですな」
フォルクさんは渋々といった感じで納得してくれた。
そしてそっと私に近付き囁いた。
「くれぐれも注意して下さい。子供とはいえ刃物とかには近付かせないように。何かあったら大声を出して下さい」
そう言うとフォルクさんは部屋を出ていった。
ユニークが三桁になりました。
ありがとうございます。