第2話 妄想
いつまでも彼女の顔を見て居たかったが、そういうわけにもいかないだろう。
とりあえず、彼女を斜め後ろから見れる位置の席を確保する。
後ろ姿も可愛い。
見るからにサラサラな髪質が艶やかに光を反射している。
髪型はショートボブかな。
少し前髪が長めだが、内気な印象は不思議と受けなかった。
ヘッドホンをつけてるけど、聞いている音楽はなんだろうか?
音楽の趣味が合うといいんだけど。
まさかクラシックなどではないだろう。
***
そんなことを考えているうちに、10分が過ぎてしまった。
僕の最寄りのバス停まではあと50分といったところか。
でも途中の三田沼のバスターミナルで乗り換えなきゃいけない。
三田沼までだと、あと15分くらいだろうか。
その間は彼女の後ろ姿とはいえ、見ていられることだ。
そういえば制服姿だけど、夏休み初日から学校に行くっていうことは部活でもあったのだろうか。
いや、それ以前に何歳だ?
ぱっと見の印象では僕よりも年上の高校生かな。
***
キキーっとブレーキの音がする。
誰か降りるのかな?
すると、彼女が立ち上がって出口の方へ歩き始めた。
このバス亭が彼女の最寄りなのだろう。
なんで彼女が僕より早く降りる可能性に思い当たらなかったんだ。
いつのまにか僕は立ち上がって
「降ります!」
といっていた。