28、邪神と少女
「ゆっくん、何か手紙届いたよ?」
「読んだ読んだ、ギルタニア王国から宣戦布告されたようだな」
それは魔族領の中心、かつて魔王が世界を手中に収めるための居城としていた場所……ではなく、魔族領の商店街。
ゆっくんと呼ばれた赤紙の男とまだ中学生ほどに見える黒髪の少女が並んで歩いている。ゆっくんと呼ばれた男は以前ロイド・ギルタニアへと手紙を送った邪神ユートその人であった。
邪神、それは魔王を創り出し世界を破滅へと導かんとする存在、即ち人類の敵……言わばラスボスである。
しかし今は買い物袋を持たされ、黒髪の少女―――邪神ユートが選んだ魔王の荷物持ちをやらされている。
「おっ! ユート様、今日も嫁さんの荷物持ちかい?」
「見せつけてくれるねぇ! 流石新婚だ!」
「魔王ちゃんを泣かせたら許さないからな!」
商店街の人々(魔族領なので魔族しかいない)に茶化される邪神。そう、魔族領ではこの二人はかなり有名なのである。
ユートは初め、邪神ということで恐れられていたが魔王である少女の頑張りにより今ではすっかり打ち解けていたりする。
「あ、みんなにこの手紙見せとく?」
「そう言うと思って、もう既に広場の掲示板に貼っておいた」
「ゆっくん仕事速いね~」
「邪神だしな」
「偉い偉い♪」
そう言って少女はユートの頭を撫でる、ユートは特に嫌がる様子も見せずに撫でられる。
「ふふっ、やっぱり似てる~」
少女はユートの顔を見てニコッと笑う。
「何に似ているんだ?」
流れから察するとユートが少女の知っている誰かに似ていると話しているのだろう。そして自分に似ていると言われて好奇心が湧いたユートはつい聞き返す。
「私のお兄ちゃん」
「兄がいるのか?」
「うんっ! それとお姉ちゃんもいてね、お姉ちゃんはお兄ちゃんをよく撫でるの! それでね、ゆっくんの撫でられる時の顔とお兄ちゃんが撫でられる時の顔が凄く似てるの」
「姉もいるのか」
ユートは興味深そうに少女の話を聞く、兄と姉、そんな存在がいるなど今まで聞いたことも無かったのだ。
そしてもしいるとしたら、それは義兄と義姉となるのだから会ってみたいという気持ちがユートの中に浮かぶ。
「でもね……お兄ちゃんもお姉ちゃんも、死んだの」
しかし次の少女の言葉で会いたいという気持ちは気遣いが足りなかった自分への嫌悪感に変わる。
「……すまない」
「ううん、いいの。 ゆっくんと一緒だから……寂しくないよ!」
少女は笑顔を取り繕って、ユートへ向ける。取って付けたような笑顔を見てユートは胸を締め付けられたような感覚に襲われる。
「……帰ろう」
それ以上は何も言えず、ユートは少女の手を握る。
「……うん」
少女は俯きながら、握られた手をぎゅっと握り返す。
これは、邪神と少女の物語。
脆くて触れれば壊れてしまうような心は、互いを引き寄せ合う。
けれども悲しい運命は変わらない、だから二人は祈った。
――――――いつか来るその時まで、一緒に生きよう。
ここからは、しばらくセツナとルナの話からは遠ざかります。
そして……少しでも面白いと思ったらポイント入れてくれると嬉しい、です……
他にも言ってしまうと、私はポイントが変動してないと泣きそうになります。
それとポイントが下がっていたら……号泣します。
(過去の経験から言えること)




