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18、邪神

セツナとアリシアの戦いを見ていた騎士はすぐさま、二人を勧誘するが―――


「騎士弱かったからいいや」

「僕はセツナ様に着いていくますぅぅぅ!」

「抱きつくなホモ」


そんな事を言って全く興味を示さなったのである。

そうして授業を終え、セツナ達はその日は帰った。


♢♢♢


その頃、王宮ではある報告書が上がっていた。

その報告書を眺めながら執事らしき男性と、とある男性が話していた。

男性は執事に渡された報告書に目を通す。


王都内の村に派遣している領主が定期的に報告する書類であり、王宮に通されるようなものではなくその土地のまとめ役が処理するものだ…普通では…


「各地の魔物が狂暴化している?」

「はい、ほとんどの村が魔物の被害にあっており、魔物が異常なまでに強く対処が出来ない…とのことです」

「どういうことだ…?」


ある程度の範囲にいる魔物が狂暴化し、村を襲ったことは過去に何度かあったのだ。けれどそれは魔物の中で十年ほどに一体は現れるユニーク個体が原因だったのだ。

しかしそれは十年に一度ほどの騒ぎ、なので同時期に複数の範囲にそんなことが起こったのは過去に例がない事だった。


「王にご報告をしますか?」

「あのデブに言っても無駄だろう…昔ならまだ良かったものの…」

「そのような言葉が誰かに聞かれたら大変ですよ?」

「気にするな、いつものことだ。お前もそう思っているだろ?」


男性は何の躊躇も無く王をデブ呼ばわりする。執事はそれを慌てずに注意する、しかし王を侮辱する言葉を発するのは一度や二度ではないので執事は慣れている。


「……確かに国政を仕切っていた女王様がお亡くなりになってからはかなり好き勝手やっていますね…、第一王女であるソフィア様を随分甘やかしているようですし……」

「あのデブにこの件が伝われば魔王がどうだの言いそうだしな…」

「何故魔王ではないと?邪神の加護を受けた魔王なら魔物を操るのも可能だと思いますが…」


そう、この世界には魔王と呼ばれる存在がいる。魔王は邪神の加護を受けた生物の事を言い、過去に何度も人類は危機に立たされた。

魔王になった生物には能力が与えられ、過去にはユニーク個体を作り出せる魔王もいた。


「それに邪神は歴代の勇者達の力で封印されています、魔王はもう生まれないはずですが…」

「…この手紙を見ろ」


男性は執事に一通の手紙を渡す。執事はそれを黙って受け取ると中身を見る。

すると中にはカードが入っており、執事がそれに触れると重々しい男の声が聞こえる。


『我は邪神…ユートと言う名を嫁に付けられた。今回は人間と和平を結びたいと思ってこの手紙を送った』

『ゆっくん!緊張しなくても後でやり直せるからね!』

『ちょ、人前でゆっくんって呼ぶのは……コホン、紹介しよう。我の可愛くて可愛くてマジで可愛い嫁で、ついでに加護を与えて魔王となった嫁だ』

『あー、誤魔化したー。もういいもん!これ送っちゃうから!』

『え、ちょ、それはかんべ―――』


声はそこで途切れた。部屋は沈黙と謎の気まずい感に包まれる。


「…これ邪神?」

「和平がしたいそうだ」

「これ邪神で合ってる?」

「封印をどうやって解いたか知らないが、魔王も既に決めている…しかしあのデブが知れば戦争を引き起こすだろうな」


男性は椅子から立ち上がり窓から見える月を眺めて誓ったのであった。


(戦争は起こさせない…このロイド・ギルタニアが起こったとしても止めて見せよう…)


ギルタニア王国王位継承権一位、ロイド・ギルタニアの名に…


♢♢♢


「なんでここにいるんだ…」


セツナは放課後に自主訓練をした後、寮の自室に戻った。何故か毎回先回りされているのはセツナはもう考えるのをやめた。しかし、それとは別に言わなくてはいけないことがあった。


『そろそろご飯にするからね~』

「ルナちゃん!今日のご飯何!」

『野菜があると良いがの』


ルナ、ティア、ギンはセツナとしても別に構わなかった。しかし―――


「私はお肉がいいです!」

「アリシア、なんでここにいるんだよ」


そう、アリシアが部屋にいてもう既に荷物も持ってきているのだ。これからセツナの部屋に居座る気満々だった。


「隣の部屋なんですが、貴族だからって緊張してる子だったので~」

「カズキか…」


隣の部屋の住人…カズキは小心者なので貴族というだけで緊張したのだ。そして隣がセツナの部屋だと分かったアリシアはそこに来たのだ。


『今日は鍋だよ~熱いから敷物しいて~』

「はーい」


そんな会話をしている内にルナは夕飯を作り終えたらしく、とりあえずセツナもテーブルに座る。


「ルナちゃんルナちゃん!鍋のシメは?」

『ラーメン用意してるよ~』

『ワシの好物の白菜じゃ!ルナ殿とって!』

「私は肉を!!」


セツナはテーブルに座りながら、そんな光景を見て懐かしく感じた。


「……ただいま」


セツナはそんな言葉を気が付いたら口にしていた。その声を聞いたルナはセツナに優しく『おかえり』と言った。

そしてこの言葉にはまだ続きがあることもセツナは知っている。


『皆、食べる前に手を洗ってきなさい!』


あ、そうだった…と言わんばかりの顔で手を洗いに行くティア達、セツナは一足遅れて手を洗いに行った。


『ふふっ、セツナがあんな風に笑うところ、久しぶりに見ちゃったな』


ルナはしっかりと見ていた。

昔のように無邪気にとはいかずとも、

確かに幸せそうに笑っていたセツナの顔を…

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