1、鮮血の死神
初めまして、足です。
よろしくお願いします。
「ひぃっ!」
周りには同僚の兵士だったものが大量に転がっている。それらは首が切断された状態で転がっておりその目には光が宿っていない。地平線まで死体は転がっており、今もその死体は増え続けている。
「な、なんだあの化け物は…!勝てる訳がない…!」
そう、この死体の山を作り出したのはたった一人の少年なのだ。たった一人の少年…十代半ばほどの少年がたった一人で何千もの兵士を殺したのだ…
真っ黒なフード付きコートを着て、手には刃まで真っ黒なナイフが握られており、紅い瞳をしていた…
「あの目は…まさか…!」
聞いたことがあった。敵国には紅い瞳をした人間兵器がいると…黒いナイフ一本で戦場を駆け回り気が付けば首だけが落ちているという…ナイフも銃弾も効かない化け物だと…
またの名を…
「鮮血の死神…」
「正解」
スルッ
そうしてまた、気付かぬ間に首が一つ落ちた…
………
……
…
「おい科学者、帰ったぞ」
返り血まみれで軍の施設に戻った鮮血の死神と呼ばれていた少年は自分の寝床である研究室に入った。研究室には黒髪の女性がひたすらパソコンを弄っている。
「実験材料、帰ったのか。どうだった」
お互いが名前を呼ぶことはない。『科学者』と『実験材料』と呼べば大体は理解できるので名前を覚える理由が存在しないのだ。
「楽しかった」
「そうか」
この会話は毎日の事だ。実験材料は先程まで戦場で人の首を切り落とし、それについての感想を語ったのだ。
「食事だ」
「あぁ」
科学者は実験材料に「食事」と言ってサプリを一粒渡す。実験材料はサプリを受け取り飲み込んだ。これがいつもの食事、これ以外は食べるものはない。食材を軍から受け取ることも出来るが必要性がないと二人は思っている。
「実験材料、返り血が書類に飛ぶから洗ってこい」
「そうだな」
これが毎日の光景、周りの兵士からも異常だといわれているが二人自身は何が異常なのかまるで分かっていない…
♢♢♢
20xx年、日本は世界に向けて重大な発表をした。
異世界を発見した…と。当時世界中が議論になった。何故なら異世界には大量の資源、魔法という文明、どれも地球では見たことのないもく貴重なものばかりだったのだ。
世界に発表する前に異世界を研究していたのだが結果は魔法という日本の科学では解明不可能な文明が分かったという程度、そのため他国の知恵を借りようとしたのだ。
しかし人類は二種類に分かれた。異世界と交流をしようとするもの、異世界の資源を略奪しようとするもの、日本は異世界との交流を目指すものだ。
現在、日本は戦場となっている。日本に異世界へのゲートがあるため、それを狙ってくるのだ。日本の政治家や一般人は既に日本を捨て異世界に本拠地を開いている。
日本には外国からの協力者と自衛隊、侵略者、歩いている人間はそのぐらいだ。
『セツナ』
「………」
シャワー室でシャワーを浴びているとどこからともなく声が聞こえる。実験材料……セツナはシャワーと止め、後ろを振り返る。
するとそこには十歳ほどの女の子がいた。綺麗な黒髪のロングヘア、血のように真っ赤な瞳。その容姿は恐ろしいほどの整っており、人形の様であった。
『セツナ?』
「……付喪神、どうした」
『私にはルナって名前が…』
「付喪神、敵か?」
『はぁ…うん、そうだよ』
付喪神…、長い間大切に使われていた道具に宿る精霊の類。この少女…ルナはセツナの使っているナイフに付いた付喪神だ。
付喪神は特有の能力を所持している。それは強力で核兵器を超える破壊力を持つ。しかし付喪神は大量生産が出来ないのだ。理由は付喪神は持ち主にしか力が貸せないからだ。
さらに付喪神は【魔法】のように詳しいことがよくわかっておらず。現時点では付喪神はルナ以外発見されていない。ルナとの比較対象がいないので付喪神の詳細が分からないのだ。
「付喪神、パーティの始まりだ」
『はぁ…どうしてこんなに戦闘狂に…』
「何か言ったか?」
『…』
ルナは思った…このままでは戦争が終わればセツナは生きる目的を失う…と、そして決意した…
『絶対更生させてやるーー!!』
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