表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バイオレンス魔法少女  作者: 川澄
4/5

003.マインドブレイカー

ヒロインはバイオレンス。彼女はごく普通のツンデレに企画し、ごく普通のツンデレにデザインをされました。

ただひとつだけ違ったのは…… ヒロインはぼっち魔法少女だったのです。

(今回のお話は6分ほどで読めます)


マフラーの一件。

あれ以来、春歌はこちらがいくら話しかけても全く反応してくれない。

週末を利用して私が実家に帰った時に顔を合わせても、春歌からは完全に無視をされた。 ただ表情は硬く、さげすむような眼つきをこちらに向けてくることは別にして。

「春歌・・・た、ただいま・・・あの・・・そのっ、ごめんね。あの時、私・・・どうかしてた」

春歌は、ぷぃっと顔を背けてしまう。

「ねぇ、春歌・・・。こっち向いてくれない? おーい!」

何をしても返事がない。それならこれはどうだ。

「うぷぷ・・・ ハッ!? ・・・ぷぃっ」

基本的には無視だが、たまに全力で私が変な顔をするとちょっと笑ってくれる。かわいい奴め。

恐るべき敵との闘いの末に、不本意にも妹とは溝が深まってしまったまま、アパートに戻った私を、使い魔は心無い言葉を浴びせてきた。春歌と同じく私がかつて傷つけた親友の名前を冠した小犬だ。

「そんなわけで・・・とうとう君は家族の中からもぼっちになってしまったわけ・・・悲劇のヒロインだわん」

「はっ?バカ言わないでよ。最近ちょっとだけ春歌との仲が上手くいってないだけじゃないのよ。嫌な言い方をするなっ!ビシッ」

私は魔法少女らしくツインテールを髪型に選んでいる。これはちょっとした武器にもなる。

「いたっ!痛いわん・・・でもツインで鞭のようにぶたれるのはちょっと気持ちいいわん・・・。言葉でも責めて欲しいわん・・・」

「このっこのっバカ犬~!」

「わんわおーん・・・」

この犬の使い魔は、時折おかしなフェチズムを現し、その都度動物とは思えない恍惚の表情を浮かべる。私が愛犬とたわむれている間に、今日も平日の穏やかな午後が過ぎていく。大学は今週もサボりがちだ。

XXXX団の無差別都市型テロ事件から早三カ月が過ぎ、決戦場となった町はようやく復興に着手され始め、かつての落ち着きを取り戻しつつあった。

「この町も少しづつ立ち直ってきたわん。もう魔法で人んちとか壊さないように気をつけるわんよ」

が魔法は、天才 無敵 最強の秘奥義だから手加減が難しいのよ。才能って怖いわ・・・。

あっ!ねぇねぇ、ふと思ったんだけど、あたしって攻撃魔法しか使えないの? あれだけ建物を吹っ飛ばすくらいのパワーがあるんだから、例えばお金を魔法で出して、大金持ちになったりとか出来ないの?」

「そんな大金持ちなんて無理に決まってるわん。せいぜい100万円が限界だわん」

魔獣はことも無げに言う。

「え、まじ!?」

「まじだわん」

「ひゃっほう!金だ金だー!!!」

私は魔法で100万円を手に入れた。それからの生活は一辺した。

アキバで大人買いを楽しみ、今使っている布団・家具・服などを全部捨てて、新しく機能性のある物を買いなおした。食事はもっぱら外食で済ませ、あとは大学に行かずにネトゲかゲーセンへ課金しまくった。ひたすら贅沢を楽しみ、そして一週間後・・・案の定 財布の中身はスッカラカンである。

「ねぇ・・・。千円でいいから貸してくれない?次回の仕送りの時には必ず・・・絶対に返しますから!」

大学生活と言えば貧乏。決まって月末はいつも貧しくなる。人間は水だけで七日間は生きられると言うが、この頃になると私はティッシュペーパーを食べている。

「まさか犬にお金をせびるなんて・・・でもそういうところ、ご主人らしくて大好きだわん。ちなみにもう魔法でお金は一銭たりとも出せないわんよ」

「そんなぁ・・・・せっかく魔法少女になったのに、お金も出せないだなんて、せめて好きな人と魔法でラヴラヴになりたいわ」

「ラヴラヴだなんて、そんな都合のいい話があるわけがないわん。せいぜいで見つめあうことすら恥ずかしくて、手をつなぐことすら無理、キスなんてもってのほか、そんな純情な恋愛が精一杯・・・」

再び魔獣はことも無げにつぶやいた。

「う、うおおーーーっ」

「びくっ・・・ど、どうなさいました?」

「で、出来るのね!?・・今すぐ!今すぐ教えなさい。 "あの子"と!愛しの"あの子"と付き合う方法を!!!!!」

そんな方法があるなら、なぜ今まで試さなかったのか。今こそ魔法のカで取り戻せる。

この使い魔の名前の本当の持ち主。私のかつての最愛の相手を。


次の日の日曜日。

お金がないので、公園デートを楽しむ私と"彼女"。

ブランコに乗って、ゆっくり森林の中を歩いて、噴水のそばでジェラートを食べた。

でもまだ付き合い初めて間もない二人は、お互いの距離感が微妙だったりする。と言うより私が普段のツンデレから、デレのみ状態になっている。

見つめあうことすら恥ずかしくて、純情な恋愛が精一杯になるのはあたしの方だけか・・・まともに相手の顔を見られないよ・・・。

「ねぇ」

「なぁに?。やっぱり手をつないで歩きたいとか?」

「は、恥ずかしいわよ・・・そんなの」

「うーん、 君はホントにカワユイねぇ~」

彼女は私の顔をまじまじと見つめた。澄んだ碧い瞳・・・その純粋な眼差しに、心が大きく揺さぶられた。

世界で最も私を愛してくれる"彼女"・・・しかし、結局これは魔法のカなのだ。自然な人間の感情ではない。 これは私が普段、現実逃避のために熱中するゲームのキャラクターと何が違うのだろう。 ゲームの中の恋人などというものは所詮は架空の存在だ。自分を愛するようにプログラムされたものでしかない。 所詮は魔法のカ・・・プログラム・・・偽物・・・。

使い魔には怖くてたずねることはできなかったが、魔法のお金がすぐに効力を失ったように、偽物の感情も間もなく失われてしまうのかもしれない。その楽しそうな笑顔を見れば見るほど、自分はみじめになってくる。たまらなくむなしくなってくる。


美しい銀杏並木が秋を感じさせるそんな帰り道。

"彼女"は変な鼻歌を歌いながらうきうきと陽気にスキップをしている。そして、その三歩後ろを行く私。

私は魔術の副作用と思われる強烈なデレにあらがいながら口を開いた。

「あ、あのね。今日は楽しかった・・・ありがとう。でもね、今日ずっとあたしといて、本当にあなたが楽しいのかどうなのか・・・不安になってきたの。」

「えっなんで? 久しぶりに二人一緒ですっごい楽しいよ!?」

「違うの・・・あたしは・・・本当はただ魔法で。魔法であたしを好きにさせただけ・・・」

「魔法?そうかもね。私、すっかり魔法にかかっちゃった・・・」

「そ・・・そうじゃなくて!あぁ・・・もう!うまく説明できないぃぃ」

不意に、"彼女"はデレる私の顔を無邪気にのぞき込んだ。

「君は私の嫁・・・。私だけの恋人。何があっても絶対に放さないんだからね」

その言葉に私の心は高揚と共に締め付けられた。

どさっ・・急に頭が重くなった。頭上に手をやってみると、私の上には目の前の恋人とそっくりの犬が乗っかっていた。

「ご、ごめん!ちょっとトイレに行って来るから・・・あなたはこのままここにいて待っててね!すぐ戻るから!」

「おおお!? 何で急にヘンテコなわんこを掴んだままトイレに向かうん!?」

大声で現在の状況を説明するな、恥ずかしいだろう。いろいろ頭が混乱して突っ込みを入れることも叶わないまま、私は犬を持って、大急ぎで公園の入り口に戻り、公衆トイレの裏側にまわった。

「どうしたの?、アパートでお留守番してたんじゃ・・・?」

「この近くで敵の邪悪な気配をキャッチしたわん・・・テロでも起きたら大変だわん!すぐに変身して敵の捜索を・・・」

「え~・・・そんなの知らないわよ。せっかくいいところだったのに!あたし、戻るからね!」

「何と恐ろしい正義の味方だわん」

さっきの場所に急ぎ戻ろうと、私が振り返ると、そこには見覚えのある制服の人物がいた。

「待つがよい」

「誰?」

目の前を制服姿の少女が立ちはだかった。それは私と妹、そして"あの子"が数年前に卒業した高校の制服だった。ひょっとしたら後輩なのかもしれない。しかし顔には見覚えがなく、おそらく初対面だろう。

「私は、超常のカを持っている。我がギアス(のうりょく)は自らの意思を絶対的な情報として、あらゆる環境条件に影響を及ぼす。これは思うままに世界を変革し、人の運命を捻じ曲げる。その前に貴様の魔法など無力」

「何?ちょっと急いでいるんで通して欲しいんですけど」

「狂乱の魔法少女よ、我が前に屈せよ」

少女は中二病セリフをつらつら並べるだけで、まるで私の言葉を聞いてはいないようだった。どちらがアブナイ魔法少女なんだか。

「あなたは、いったい・・・」

突然現れたこの奇ッ怪な少女は、言うまでもなくXXXX団の刺客だろう。すぐに彼女のもとへ戻るのは危険に思われた。

私はいつでも魔術を放てるような体勢を取った。その威力を知るはずの敵の少女は一切の挙動の変化を見せず、ただ不敵な笑みを浮かべた。

「お前のことは調べさせてもらったぞ。今のお前は輝かしかった高校生活から180度転落して、ぼっち大学生になり、そして魔女のカに目覚めた・・・」

「う、あたしのことをよく知っているみたいね、あんたは戦うためにここへ来たの?」

「敵と戦うのに理由はない。残念だがここで消えてもらおう」

さあスーパーヒロインに変身する時だ。 そういえば、いつの間にか犬がいない。敵を見て自分だけ逃げたのだろうか?腹が立つペットだな・・・。

私はポーチから唯一の魔術礼装 "らき☆すたーいんふぇるの"を取り出した。しかし、

「え、嘘・・・。変身が出来ない!?どうして・・・」

なぜか変身ができなくなった私。そして突然出てきてよくしゃべる謎の少女。

人智を超越した魔法決戦!!最悪の敵との一騎討ちが始まる!そして物語は最終ステージを迎える。 次回も見て下さい。



続きは近日公開。まもなく!  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ